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日影規制が全てじゃない、日照権裁判からみるトラブル事例

361 views 2017.1.13
日影規制が全てじゃない、日照権裁判からみるトラブル事例
住宅地に注文住宅を建てる際、日影規制で苦渋の決断をした人もいるかもしれません。日影規制は、近隣住民の日当たりに考慮した制限です。

近隣住民の日当たりの確保に関しては、日影規制だけ守ればいいというものではありません。法令に則って建てられた建物でも、日照権を侵害しているとして、訴訟に発展することもあるのです。
目次

1.日影規制は、日照権保護のトップバッター。新築のネックになることも

2.近隣住民が勝ち、建築差し止めや損害賠償が認められた事例

3.建築側が勝った事例。日影規制だけでなく、近隣住民への配慮が必要

4.まとめ

1.日影規制は、日照権保護のトップバッター。新築のネックになることも

建物を建てる際、高さに関する規制として、絶対高さの制限、斜線制限、日影規制などがあります。このうち日影規制は直接建物の形や構造を規制するものではなく、建物によってできる影が一定の大きさ・時間を超えないように規制するものです。「日照権」を保護するために、最も重要な規制といえます。主に住居地域に適用され、原則として、商業地域や工業地域の建物には適用されません。

日影規制は、1976年の建築基準法改正で導入されました。改正に至る最初のきっかけとなったのは、1972年の最高裁による判決です。ここで初めて、住まいの日当たりを確保する権利である「日照権」の存在が、法的に保護するべきものだとして認められました。その背景には、建築技術の高度化によって、このころ高層マンションが次々と建築されていったことがあります。

特に狭い敷地にマンションを建てようとするときに、日影規制がボトルネックとなることがあります。さらに、日影規制を守って建てた場合でも、近隣住民への配慮が欠けると、裁判沙汰になることもあります。

2.近隣住民が勝ち、建築差し止めや損害賠償が認められた事例

近隣住民が勝ち、建築差し止めや損害賠償が認められた事例
日影規制は高さ10メートル以上の建物が対象になります。ギリギリ10メートルにならないように設計された建物の建築が、近隣住民の訴訟によって差し止められたという例はいくつかあります。例えば平成6年に名古屋地裁で下された判決では、高さ9.5メートルの3階建が建築差し止め処分を受けています。建築物自体は適法であることを認めていましたが、日照権の侵害が著しいなどの特別の事情を考慮した判決となりました。

差し止めまでは認められなくても、損害賠償が認められた例もあります。平成7年の東京地裁の判決では、近隣住民らが完成済マンションの一部撤去と損害賠償を請求していました。日照権侵害は認めるものの、建築基準法上の違法性はないとして、一部撤去は却下。150万円の損害賠償が認められました。

建築確認を問題なく終えたものの、近隣住民が建築審査会(建築確認をする建築主事などの決定に間違いがないか、第三者として調べる機関)に訴えたことによって、取り消された例もあります。平成10年に名古屋建築審査会が調査を行い、建設中マンションの図面が間違っていることが判明。正しく計算しなおすと日影規制に抵触することがわかりました。結果、マンション建設の中断を余儀なくされています。

これらの事例は、日影規制にギリギリ抵触しないように設計された建物は、建築基準法に則っているものの、民事訴訟による損害賠償が発生する場合があることを示しています。

3.建築側が勝った事例。日影規制だけでなく、近隣住民への配慮が必要

もちろん、訴えられた建築主側が勝った裁判例もあります。平成15年に神戸地裁で下された判決の事例です。隣の敷地にマンションができたために日照時間が減り、苦痛を感じたため、損害賠償を請求しましたが、我慢できる範囲のものだということで、認められませんでした。冬の日照時間はかなり減ったものの、他の季節ではそれほどでもないということです。仮に他の季節でも日照時間を確保できない状態になっていたとしたら、損害賠償が認めらえていたかもしれません。このような事例は他にもたくさんあります。

これらの事例と判決の趣旨をみてわかることは、たとえ日影規制をクリアしていても、日当たりの悪さが我慢の限界を超えるような場合には、建築の差し止めや損害賠償が認められることがある、ということです。我慢の限界は判決では「受忍限度」と言われています。

逆に、隣にできたビルのせいで日当たりが悪くなり、そのせいで相当の我慢が強いられている、という場合には、裁判や建築審査会に訴えることで解決できることもあります。相手の建物が適法に建てられているからといって、あきらめる必要はないのです。

4.まとめ

・マンション建築の際、近隣住民と日当たりの問題でトラブルになった事例は多くある。日影規制にとらわれずに、近隣の日当たりは実際にどうなるのか検討することが大事。
ファイコロジスト 山田

ライターファイコロジスト 山田

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