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マンション買い替えの初心者が知っておきたい注意点や税金についてご紹介

中村 昌弘

中村 昌弘

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マンションの買い替えは、単にマンションを売却するだけではなく、新しくマンションの購入もします。そのため、マンション買い替えならではの注意点や、知っておくべきことがあります。

今回は、マンション買い替え初心者が知っておくべき点を、マンション買い替えの流れや税金も含めて解説していきます。特に、税金関係は複雑な箇所もあるので、しっかりチェックしておきましょう。

目次

1 . マンションの買い替えのキホン

まずは、マンション買い替えのキホンと言える以下の点を解説します。
・マンションを買い替えるタイミング
・残ローンがあっても買い替えは可能
・売却金額でローンを完済できない場合


そもそもマンションを買い替えるときはどのような状況のときか?が分かれば、自分が買い替えるタイミングがいつ頃かイメージが沸きます。また、ローンがある状態での買い替えや、買い替え時にしか借りれないローンも知っておくべきです。

さらに、マンションは一戸建てと違い、増改築出来ないという点がマンションの買い替えに大きく影響しています。つまり、部屋の広さを変えたいときには、増築することができないので、買い替えという選択をするということです。

1-1 . マンションを買い替えるタイミング

では、まずマンション買い替えはどのようなタイミングで行うかという話です。具体的には以下のようなタイミングでマンション買い替えをするケースが多くなります。
・家族数の変化
・ビジネス環境の変化
・支払い金額を抑えたいとき
・市況による不動産価値の上昇


最も多いのは、家族数の変化によって、今住んでいるマンションが手狭になってくるケースでしょう。また、ローン支払い額もマンション買い替えに大きく影響してきます。 ただ、「マンション購入後○○年に買い替える」のように、マンションの買い替えタイミングに明確な基準はありません。基本的にはケースバイケースであり、人によって買い替え時は異なってきます。自分が描いているライフプランが、上記に該当するか確認してみましょう。

家族数の変化

家族数の変化とは、結婚や出産による家族数の増加だけでなく、子供の独立など家族数が減少するときもあります。家族数が増えるときは、今住んでいるマンションが手狭になり、広いマンションを買い替えるパターンです。このパターンが最も多いでしょう。

逆に、家族数が減少したときは、広いマンションからコンパクトなマンションに買い替えるときもあります。いずれにしても、家族数の増減によって、今住んでいるマンションの広さが自分に合わなくなった時に、マンションの買い替えは起こります。

ビジネス環境の変化

ほかにも、ビジネス環境の変化による買い替えもあります。ビジネス環境の変化とは、たとえば以下のようなことです。
・転職して職場が変わり今のマンションから通えない
・転勤になったので引っ越しをする
・転職や異動で夜遅い帰宅になったので会社から近いところへ引っ越す


要は、転職や転勤、異動などを機に別の場所へ引っ越しするときです。ただ、このようなケースは前項の「家族数の変化」よりは機会が少ないので、ケースとしてはそこまで多くはないでしょう。

支払い金額を抑えたいとき

マンションは住宅ローンを組んで購入しているケースが多いです。そのため、ローンの返済が毎月発生しますが、以下のような状況になり支払金額を減らしたい場合もあります。
・給与が下がって支払いが厳しくなった
・将来のために支払い金額を抑えたい
・金利が上がり支払い額が上がってしまった
管理費や修繕維持積立金が増額した


このほかにも、上述した家族数の変化や転職などによって、支払い金額を抑えたい場合があります。その場合は、ローンの借り換えを検討する場合もありますが、安価なマンションへ買い換えるケースもあります。

また、変動金利の場合は、金利が上がれば支払い額は上昇します。ほかにも、マンションのランニングコストである管理費や修繕維持積立金が増額して、支払いが厳しくなるケースもあります。

市況による不動産価値の上昇

また、市況により不動産価値が上がるときも、マンションの買い替えをすることがあります。つまり、「今売れば高く売れるから売ってしまう」ということです。不動産価格は日本全体の市況もありますが、エリアによっても価格帯は異なります。

そのため、たとえば「再開発をした」など自分のエリアの不動産価値だけが上がるケースもあるのです。そのようなときは、高く売れるタイミングなのでマンションを売却してしまい、その売却益を元に新しいマンションを購入するケースもあります。

1-2 . 残ローンがあっても買い替えは可能

マンションを買い替えるということは、今住んでいるマンションのローンを原則完済する必要があります。言い換えると、残ローンがあったとしても、そのローンを完済することができれば、マンション買い替えは可能ということになります。

ただ、その際は以下の点を認識しておきましょう。
・残ローンがあるケースが多い
・残ローンを完済する理由


残ローンについては、マンションの売却益や手持ち資金など、金銭的な要素が絡んできます。そのため、上記を良く理解しておく必要があります。

残ローンがあるケースが多い

マンションの買い替え時は、残ローンがあるケースの方が多くなります。なぜなら、住宅ローンを組む期間は30年や35年などの長期間なので、完済する前に買い替えることが多いからです。

また、マンションは1,000万円単位の商品になるので、短い期間でローンを完済するのは中々難しいです。これらの理由によって、マンションを売却するときは残ローンがある状態が多いです。

残ローンを完済する理由

マンションを買い替えるときは、基本的に残ローンは完済する必要があります。一般的には、そのマンションを売却して得た売却益を、残ローンの完済に充てるという流れです。

なぜローンを完済する必要があるかというと、ローンを組んでいると、金融機関から抵当権(担保設定)が設定されているからです。つまり、金融機関が担保設定しているまま、第三者に所有権を移転できないということになります。

その抵当権を抹消するためには、住宅ローンの完済が原則です。そのため、マンションの売却は住宅ローンの完済が条件になるのです。

1-3 . 売却金額でローンを完済できない場合

前項で解説したように、マンションの売却益をローンの返済に充てることできるので、売却益で完済することも多いです。しかし、売却益より残ローンの方が多ければ完済できないため、手持ち資金を捻出する必要がでてきます。

それが数十万円程度で済めば良いですが、数百万円の手持ち金が必要な場合は、中々手持ち資金から捻出するのは厳しいです。そんなときに利用できるのが「買い替えローン」です。買い替えローンを利用すれば、このような状況でも手持ち資金を捻出せずに買い替えできます。

買い替えローンとは?

買い替えローンとは住宅ローンの1種で、新たに購入するマンションと一緒に、今のマンションの残ローンも組むことができるローンです。

たとえば、今住んでいるマンションを売却してもローンが250万円残ってしまい、その状態で新しいマンションを購入するために3,200万円の住宅ローンを組むとします。その場合は、本来であれば残ローンの250万円は手持ち資金を捻出して完済する必要があります。

ただ、買い替えローンを利用すれば、残ローンである250万円も一緒にローンを組むことができるのです。つまり、新しい住宅ローンの3,200万円と残ローンの250万円、合計3,450万円のローンを組めるということです。

買い替えローンは審査が厳しい

このように、買い替えローンは、手持ち金を減らさずにマンションの買い替えができる点がメリットです。一方、以下の理由でローン審査が厳しいというデメリットがあります。
・借入金額が増える
・1つの担保で別の物件のローンを組む


まず、残ローンも一緒にローンを組むので、借入金額が増えるという点です。当然ながら、借入金額が増えれば審査ハードルは上がります。 また、買い替えローンを組むときの担保は、あくまで新しく購入するマンションだけです。しかし、その1つのマンションだけで、昔のマンションの残ローンまで組むので、その点でも審査ハードルは上がるというわけです。

買い替えローンの注意点

買い替えローンは、以下の理由で資金計画をきちんと立ててローンを組む必要があります。それが、買い替えローンを組む上での注意点です。
・借入金額が上がる
・残ローンが読めない


まずは、借入金額が上がるので返済額も多くなるからです。その返済額を加味して、きちんと資金計画を立てる必要があります。また、買い替えローンを申し込むときには、今住んでいるマンションを売り出し中のときになります。

つまり、今住んでいるマンションがいくらで売れるか分からないので、残ローンがいくらになるかも分からないということです。

そのため、今住んでいるマンションの売却益は、「確実に売れる金額」で読んでおきましょう。その分、借入金額も高めで審査することになります。ただ、売却益を固めに読んでおかないと借入金額が上がるので、再度買い替えローンの審査をすることになってしまいます。

2 . 売却と購入、どっちを優先するか

マンション買い替えの流れは、以下のように大きく分けて3つの方法があります。
・現在の家の売却を先に行う(先売り)
・新しい家の購入を先に行う(後売り)
・同時に決済する


ただ、上記の「同時に決済する」というのはタイミングを合わせるのが難しいため、ケースとしては多くないでしょう。そのため、まずは先売り・後売りのどちらが自分に合っているかを検証することが大切です。

2-1 . 先売りのメリットとは?

結論からいうと、先に今住んでいるマンションを売却する「先売り」のパターンが、堅実な買い替えの流れと言えるでしょう。そのため、基本的には先売りの流れでマンションの買い替えは行うべきです。その理由は以下の通りです。
・ダブルローンになるリスクが小さい
・資金計画を立てやすい
・高い金額で売却しやすい


要は、先売りの方が金銭的なリスクが小さく、買い替え時の経済的な負担が小さいので「堅実」な買い替えになるということです。

ダブルローンになるリスクが小さい

ダブルローンとは、今住んでいるマンションの住宅ローンと、新しいマンションの住宅ローンの2つの支払いが発生することです。ダブルローンは、単純に住居費の支払いが倍になるので、負担はかなり大きくなります。

だた、先売りであれば今住んでいるマンションは売ってしまうので、住宅費用がダブルで発生することはありません。この点が、先売りをする最も大きなメリットと言えるでしょう。

資金計画を立てやすい

また、今住んでいるマンションを先に売却するということは、そのマンションを売ることでいくらの売却益が出るかが分かります。つまり、先売りの場合は手元にいくらの金額が残るか分かるということです。

その状況であれば、新しいマンションの予算も立てやすいので、結果的に無理のない資金計画が立てやすくなります。具体的に言うと、以下のような状況にも対応できるということです。
・新しいマンションの頭金をいくらにするかを決める
・新しいマンションの借入金額を決める
・上記2点から新しいマンションの予算を決める


これは、後売りでは予想しにくので、先売りならではのメリットと言えるでしょう。

高い金額で売却しやすい

上述したように、先売りの場合はダブルローンが発生するリスクがありません。そのため、今住んでいるマンションの売却を焦る必要はなく、ゆっくりと売却することができます。

そのような売り方をすると、以下のような点がメリットになります。
・競合環境によって売り出し価格を変えることができる
・過度な値引き交渉には応じないですむ


要は、今住んでいるマンションを焦って売却する必要がないので、「自分の売却したい金額」に合わせてマンションの売却ができるということです。マンションは1,000万円単位の商品なので、1%売値が違うだけで数十万円の差になります。

2-2 . 先売りのデメリットとは?

一方、先売りにも以下のようなデメリットがあります。
・仮住まいが必要になる
・新しいマンションを探す時間が短くなりがち


ただし、上述したように先売りは堅実な買い替えと言えるので、上記のデメリットよりも前項のメリットの方が大きいと言えるでしょう。

仮住まいが必要になる

先売りの最も大きなデメリットは、仮住まいが必要になるという点です。仮住まいとは、新しいマンションが見つかるまで、賃貸マンションなどに「仮」で住むということです。

仮住まいになると、以下のようなデメリットが発生します。
・仮住まいを探す手間がかかる
・初期費用がかかる
・引越しが2回になる


先売りする場合は、上記のデメリットを良く理解しておきましょう。

仮住まいを探す手間がかかる

仮住まいをするということは、賃貸マンションなどを探します。しかし、子供がいれば学区を加味して探す必要がありますし、家具・家電などが入る住まいを探す必要があります。

また、仮住まいとはいえ、新しいマンションを購入するまで住む部屋なので、快適な部屋でなければいけません。そのため、ある程度希望に叶った住まいが必要であり、理想の仮住まいを見つけるまで時間がかかる場合もあります。

初期費用がかかる

仮住まいで賃貸マンションを借りると、以下の初期費用がかかります。
礼金
敷金
仲介手数料


上記の、特に仲介手数料は無料の場合も多いですが、敷金礼金は1か月分程度かかる場合も多いです。また、敷金は補修費用を差し引いて戻ってきますが、礼金は戻ってこないお金になります。

さらに、万が一新しいマンションが中々見つからずに2年経過すれば、家賃1~2か月分の更新料も必要になってきます。

引越しが2回になる

また、今のマンションから仮住まいへ引っ越す費用と、仮住まいから新しいマンションへ引越す費用がかかります。つまり、本来1回で良い引っ越しが2回になるので、その分の費用や手間がかかります。

特に、大型の家具や家電があり、引越しにクレーンが必要な場合は、引越費用も20万円~30万円以上になることもあります。この点は、先売りをして仮住まいが発生するデメリットと言えるでしょう。

新しいマンションを探す時間が短くなりがち

先にマンションを売るということは、上述したように仮住まいに居住することになります。しかし、短期間で仮住まいを探すため、決して理想の部屋ではないことも多いです。

そのため、その仮住まいから早く出たいがために、新しいマンションを早く探してしまうこともあります。そうなると、新しいマンションを探す時間が短くなり、理想のマンションに出会えないかもしれません。

2-3 . 後売りのメリットとは?

つづいて、後売りについては詳しく解説します。後売りとは、先売りの逆の流れになり、新しいマンションを購入した後に、今住んでいるマンションを売却することです。

そんな後売りのメリットは以下2点になります。
・仮住まいになることがない
・新しいマンションをゆっくり選べる


このように、先売りのデメリットを解消できるという点が後売りのメリットです。

仮住まいになることがない

新しいマンションを購入した後に今住んでいるマンションを売るということは、確実に新しいマンションに住むことができます。そのため、仮住まいが発生することはありません。

そのため、仮住まいするときのデメリットであった以下2点がなくなるので、その点は後売りのメリットと 言えるでしょう。
・仮住まいを探す手間がかかる
・初期費用がかかる
・引越しが2回になる

新しいマンションをゆっくり選べる

今住んでいるマンションを所有したまま新しいマンションを探すので、新しいマンションを探している間は住む家がなくなることはありません。また、新しいマンションを探している間は、住居費がダブルで発生しているわけでもありません。

そのため、新しいマンションを急いで探す必要はないです。そうなると、エリアや広さ、間取りなど、自分の条件に合ったマンションを粘り強く探すことができます。それは、結果的に自分の理想のマンションに出会える可能性が上がるということです。

2-4 . 後売りのデメリットとは?

一方、後売りのデメリットは以下の2点になります。
・ダブルローンになるリスクが大きい
・資金計画を立てにくい

こちらも前項と同じく、先売りのメリットが後売りのデメリットに置き換わります。また、この「ダブルローンになるリスクが大きい」という点は、非常に大きな負担になります。この点が、マンション買い替え時に先売りをおすすめする、最も大きな理由です。

ダブルローンになるリスクが大きい

ダブルローンになるリスクが大きいということは、経済的に大きな負担になるリスクが大きいということです。ダブルローンのリスクに関しては、以下の点を認識しておきましょう。
・同時決済しない限り確実にダブルローンになる
・ダブルローンはいつ終わるか分からない


特に、「ダブルローンはいつ終わるか分からない」という点が、後売り最大のリスクと言えます。

同時決済しない限り確実にダブルローンになる

詳細は後述しますが、今住んでいるマンションの売却と新しいマンションの購入の決済を同日にしない限り、ダブルローンは確実に発生します。ダブルローンが発生する期間が仮に1か月だけだったとしても、ダブルローンの負担は決して小さくないでしょう。

そして、今住んでいるマンションの売却と新しいマンションの購入を同時決済できる可能性は極めて低いので、後売りの場合はダブルローンになると思っておいた方が良いです。

ダブルローンはいつ終わるか分からない

また、ダブルローンは今住んでいるマンションの売却が完了するまで続きます。マンションの売却は、競合環境や日本全体の市況によって左右されるので、いつ売却が完了するか分かりません。当然ながら、今住んでいるマンションが売却できないと、ダブルローンは発生し続けます。

仮に、ダブルローンを避けたいがために、マンションの売却価格を下げて、マンションの売却スピードを上げたとします。その場合でも、結局手元に入ってくる資金は減るので、金銭的な負担が多くなってしまいます。

資金計画を立てにくい

また、後売りということは新しいマンションを購入するときには、今住んでいるマンションがいくらで売却できるか分からないということです。その状態での買い替えは、以下のリスクがあります。
・新しいマンションの予算を立てられない
・手元に残る資金が分からない

後売りの場合は、今のマンションが売れる前に新しいマンションを購入しているので、新しいマンションの予算はあくまで「予想」です。つまり、「今住んでいるマンションが恐らく○○万円くらいで売れるから、手元資金が××万円残るだろう」という予想の基に資金計画を立てています。

しかし、競合環境や市況の変化によって、予想していた売却金額で売れなければ、その時点で資金計画は崩れてしまいます。そうなると、手元資金は予想より少なくなり、経済的に厳しい状態になってしまいます。

2-5 . 同時に決済する方法

基本的には、上述した先売りか後売りかの売却フローが多くなります。ただ、今住んでいるマンションと新しいマンションの決済日を同日にすることで、先売り・後売りのデメリットを解消することできます

しかし、上述したように同時決済はタイミングが難しいので、同時決済できる可能性は低いです。そのため、基本は先売り・後売りのいずれかの流れになると認識ください。

同時決済とは?

同時決済になるときの具体的な流れは以下の通りです。
・(今のマンション)売却をはじめる
・(新しいマンション)物件を探し始める
・(今のマンション)申込、契約をする
・(新しいマンション)申込、契約をする
・両方のマンションの引き渡しを同日にする


要は、今のマンションの売却と新しいマンションの購入を同時に進め、それぞれの決済を同日にする必要があるということです。

しかし、今住んでいるマンションの決済日は、そのマンションの買主の事情も加味して決めます。一方、新しいマンションの決済日も、そのマンションの売主の事情を加味して決めるので、同時決済するには双方の予定を調整する必要があるのです。

だからこそ、買い替えにおいて同時決済するハードルは高く、基本は先売り・後売りの流れになるのです。

同時決済で解消されるデメリット

同時決済することで、以下の点が解消されます。
・仮住まいになるリスク
・ダブルローンになるリスク


同時決済するということは、決済日に引っ越しをするということです。厳密にいうと、今住んでいる家は決済日前日までに引っ越すのが原則なので、この点は買主の了承が必要になります。それができれば、先売りのデメリットである「仮住まいリスク」が解消されることになります。

また、両方の家を同時に所有するわけではないので、後売りのリスクである「ダブルローン」も解消されます。そのため、もし実現できれば同時決済が理想と言えるでしょう。

実際には、先売りの流れで買い替えをはじめつつ、新しいマンションも同時に探しておき、同時決済できるタイミングであれば実行すると良いです。

3 . マンション買い替えの売却益と税金

つづいて、マンションの買い替えに伴う売却益と税金について解説します。マンションを買い替えるときには、以下のことを知っておきましょう。
・譲渡所得税について
・3,000万円特別控除について
・マンションの買い替えに関する特例
・買い替え時の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例について


上記のうち、特に「3,000万円の特別控除」が重要になります。この特別控除を利用することで、税金が非課税になる場合もあるからです。

3-1 . 譲渡所得税について

まず、譲渡所得税について解説します。マンションを売却するときに売却益(譲渡所得)が発生すれば、その所得に対して税金がかかります。この税金を譲渡所得税といいます。

譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって異なり、長期間保有している方が税率は低いです。マンションを売却する年の1月1日で5年超保有している場合は長期保有、5年未満の場合は短期保有という扱いになります。

また、譲渡所得税は分離課税になります。分離課税とは、ほかの所得と合算しない税金のことなので、給与所得や事業所得とは合算せず、譲渡所得税は単体で計算するということです。

譲渡所得の算出方法

税率の話をする前に、そもそも譲渡所得はどのように算出するかという話です。譲渡所得は、「(売却価格-売却時にかかった諸費用)―(購入時のマンション価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費用)」という計算式になります。

覚えておきたいのは、決して「売却金額-購入金額」という単純計算ではなく、諸費用や減価償却費用を加味して考えるという点です。

減価償却費用などは機械的に算出される金額なので、計算式や仕組みを覚えておく必要はありません。一番簡単なやり方は、国税庁の確定申告作成コーナー※1で、一旦物件情報を入力してみることです。そうすれば、機械的に譲渡所得が算出されます。
※1国税庁 確定申告作成コーナー
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

長期保有の税率

では、税率に話に戻ります。マンションを長期保有したときの譲渡所得税率は以下の通りです。
・所得税:譲渡所得×15%
・復興特別所得税:所得税額×2.1%
・住民税:譲渡所得×5%


注意点は、復興特別所得税は譲渡所得に税率を掛けるのはなく、「所得税額」に税率を掛けるという点です。

たとえば、譲渡所得が500万円あったとします。その場合は、上記に当てはめると所得税は75万円(500万円かける15%)、復興特別所得税は約1.6万円(75万円×2.1%)、住民税は25万円(500万円×5%)となり、合計約101.6万円が譲渡所得税額になります。

短期保有の税率

一方、マンションを短期保有したときの税率は以下の通りです。
・所得税:譲渡所得額×30%
・復興特別所得税:所得税額×2.1%
・住民税・譲渡所得額×9%


たとえば、前項と同じく譲渡所得が500万円あったとします。その場合は、上記に当てはめると所得税は150万円(500万円×30%)、復興特別所得税は約3.2万円(150万円×2.1%)、住民税は45万円(500万円×9%)となり、合計約198.2万円が譲渡所得税額になります。

10年以上保有している場合の軽減

また、5年ではなく10年以上保有しているマンションの売却時は、以下のような税率・税額になります。
・譲渡所得が6,000万円以下の部分:所得税10.21%、住民税4%
・譲渡所得が6,000万円超の部分:所得税:15.315%、住民税5%


なお、復興特別所得税は上述した長期保有・短期保有と同じ扱いです。上記のように、長期保有をしているときよりも税率は軽減されます。適用条件などの詳細は、国税庁ホームページ※2を確認ください。

こちらも500万円の譲渡所得の場合で計算してみます。この場合は、上記の譲渡所得が6,000万円以下の部分に該当するので、所得税は約51万円(500万円×10.21%)、復興特別所得税は約1.1万円(51万円×2.1%)、住民税は20万円(500万円×4%)の合計は約72.1万円です。

上述したように、長期保有の場合は約101.6万円、短期保有の場合は約198.2万円なので、軽減を適用することで減税していることが分かります。なお、この軽減税率は、後述する「3,000万円の特別控除」とは併用できますが、「マンションの買い替えに関する特例」とは併用できません。

※2国税庁 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2015/taxanswer/joto/3305.htm

3-2 . 3,000万円特別控除について

譲渡所得税と合わせて必ず覚えておくべきなのは、「3,000万円の特別控除」です。結論からいうと、投資用ではなく自己居住用のマンションの売却なら、ほとんどのマンションが3,000万円の特別控除が利用できるので、譲渡所得税は非課税になるケースが多くなります。

3,000万円の特別控除については以下の点を覚えておきましょう。
・3,000万円の特別控除の概要
・特別控除を適用できる条件


3,000万円の特別控除を受けるためには「自己居住用不動産」以外の要素もありますので、自分の物件が適用条件に当てはまるかは必ず確認しておきましょう。

3,000万円の特別控除の概要

3,000万円の特別控除とは、簡単にいうと「譲渡所得を3,000万円分控除してあげます」という税制優遇になります。つまり、上述した計算式で譲渡所得を算出し、その所得が3,000万円以下であれば、譲渡所得を0円にして非課税できるということです。

一般的なマンションの売買で、譲渡所得が3,000万円を超えることはほとんどありません。そのため、ほとんどの入居用不動産の売買には、3,000万円の特別控除が適用できれば、譲渡所得税は課税されないのです。

特別控除を適用できる条件

3,000万円の特別控除を受けるための条件は以下の通りです。
・自己居住用不動産の売却であること
・売った年の前後2年でこの特例を受けていないこと
・マイホームの買い替えの特例を受けていないこと
・マイホームの譲渡損失の損益通算、繰り越し控除の特例を受けていないこと
・買主が親子や夫婦など特別な関係でないこと


ただ、上記は全ての条件ではないので、詳細は国税庁ホームページ※3を確認ください。また、ほかの特例との併用が出来ないという点は注意が必要です。この「ほかの特例」に関しては後述するので、その特例と合わせて利用できない点は覚えておきましょう。

※3国税庁 マイホームを売ったときの特例
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

3-3 . マンションの買い替えに関する特例

マンションの買い替えに関する特例とは、マンションの売却で譲渡所得が発生したら、その譲渡所得税を将来に繰り延べることが出来る制度です。ただ、その税金が非課税になるわけではなく、「今」払う必要がないだけで、将来的には支払いが発生する場合があります。

結論からいうと、この特例を適用することは少ないと思って良いです。なぜなら、上述した3,000万円の特別控除との併用ができず、3,000万円の特別控除を利用する方がメリットは大きい場合がほとんどだからです。

ただ、この特例の利用を検討している人は、以下の点を理解しておきましょう。
・特例の概要
・特例を利用するための適用条件

特例の概要

この特例は少々ややこしいです。簡単にいうと、1度目の買い替えで発生した譲渡所得を、2度目の買い替え時まで繰り延べることが出来るという制度です。つまり、1度目の買い替えでは譲渡所得税はかからないということになります。

以下に計算例を記載しますが、あくまで概算の金額です。諸費用など、諸々の金額は含めない単純計算になるので、計算方法を理解するという目的で確認ください。

1度目の買い替え

たとえば、今住んでいるマンションを2,000万円で取得したとします。そのマンションを仮に4,000万円売却したことによって、2,000万円の譲渡所得が発生しました。本来であれば、この2,000万円に対して長期保有か短期保有で異なる税率が掛けられます。

しかし、仮に新しいマンションを6,000万円で購入した場合、この特例を適用すると「譲渡所得2,000万円-買い替え費用6,000万円」となり所得はマイナスになります。つまり、譲渡所得税はかからないということです。ただ、税金が非課税になるわけではなく、あくまで「繰り延べ」しただけです。

2度目の売却

前項からの続きで、6,000万円で取得したマンションを、将来的に7,500万円で売却したとしましょう。本来であれば、「売却金額7,500万円-6,000万円」で譲渡所得は1,500万円という計算です。しかし、この特例を利用する場合は、前の物件の取得費を引き継ぎます。

つまり、6,000万円で取得したのではなく、もう1つ前の物件の取得費用2,000万円が適用されるので、「売却金額7,500万円-2,000万円」という計算になり、譲渡所得は5,000万円となるということです。

このように、前回の買い替え時は非課税になりますが、次に売却したときに繰り越されるということです。

特例を利用するための適用条件

この特例を受けるためには、以下のような条件があります。
・自己居住用不動産を売却すること
・過去2年で3,000万円の特別控除を利用していないこと(併用も不可)
・売却した人の居住年数が10年以上であること
・売却した年の前年から翌年までの3年間で買い替えを完了させていること
・親子や夫婦など特別な関係でないこと
ただ、上記は全ての条件ではないので、詳細は国税庁ホームページ※4を確認ください。


※4特定のマイホームを買い換えたときの特例
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

3-4 . 買い替え時の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例について

つづいて、買い替え時に譲渡損失が発生したときの税金についてです。譲渡損失とは、上述した譲渡所得の計算をしたときに、譲渡所得がマイナスになったときのことを指します。

譲渡損失と繰り越し控除については、以下の点を理解しておきましょう。
・特例の概要
・特例を適用するための要件

特例の概要

この特例は、マンションをはじめとしたマイホームを、平成29年12月31日までに売却して、新たにマイホームを購入したときに以下が可能になります。

・給与所得や事業所得からの控除
・控除しきれなかった分は繰越しができる


いずれにしろ、ほかの所得から差し引くことができ、節税効果がある点がこの特例のメリットになります。

給与所得や事業所得からの控除

たとえば、マンションを売却して、譲渡所得がマイナス700万円発生したとします。このとき、売主が会社員であり、給与を年間500万円もらっていたとします。損益通算できるということは、「給与収入500万円-譲渡損失700万円」と計算でき、給与所得を0円にできるということです。

つまり、本来は500万円という収入に対してかかる所得税を、損益通算することで非課税にできるということになります。

控除しきれなかった分は繰越しができる

さらに、前項のケースでいうと、譲渡損失が700万円で給与所得は500万円なので、200万円は控除しきれていません。この控除しきれなかった200万円は、3年に渡って繰り越すことができます。

たとえば、翌年の給与収入が同じく500万円の場合は、この500万円から200万円を差し引くことができるということです。そうなった場合には、本来500万円にかかる所得税が、300万円にかかる所得税に減税されるということです。

特例を適用するための要件

この特例を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
・今住んでいないのであれば済まなくなった日から3年目の年末前に売却
・売却した年の1月1日で所有期間が5年超である
・売却した年の前年から翌年までの3年間で50㎡以上の物件を購入する
・新しい物件の購入時は購入した年末時点で10年以上のローンを組んでいる


上記は概要になるので、詳しい要件については国税庁ホームページ※5を確認ください。

※5国税庁 マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたとき
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm

3-5 . マンションの購入にかかる税金

さいごに、マンションの売却時ではなく、購入時にかかる税金を解説します。マンション購入時は、以下のような税金がかかります。
印紙税
登録免許税
不動産取得税

印紙税は比較的割安ですが、ほか2つは高額になる場合もあるので注意しましょう。

印紙税

印紙税とは、経済取引に関する書面を締結するときにかかる税金です。マンション購入時にかかる印紙税は、具体的には売買契約書と、住宅ローンの本契約である金銭消費貸借契約書の締結時にかかる印紙税です。

印紙自体は切手のような形状をしています。もしくは、不動産会社の方で「ポスタリア」という、印紙代わりになるハンコのようなものを書面に刻印することもあります。切手のような形状であれば、事前に購入しておき、それぞれの契約書に貼付し、割り印することで納税したと見なされます。

売買契約書は不動産会社が事前に用意して、後から売主が支払うというケースが多いです。一方、金銭消費貸借契約書の印紙は、売主が印紙を用意しておくことが多くなります。

印紙税額は、売買契約書も金銭消費貸借契約書も同じで、以下のように売買契約金額によって異なります。
・500万円超~1,000万円以下:1万円
・1,000万円超~5,000万円以下:2万円
・5,000万円超~1億円以下:6万円

上記以外の印紙税額については、印紙税額表※で確認ください。

※6印紙税額一覧
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

登録免許税

登録免許税とは、登記にかかる税金です。マンション購入時の登記は、以下の2種類があります。
・マンションの所有権登記
住宅ローン抵当権設定登記

登録免許税は、それぞれの種類によって税率や軽減が異なります。詳しくは、国税庁ホームページ※7を確認ください。また、金額については、中古マンションであれば仲介会社、新築マンションであれば売主である不動産ディベロッパーがそれぞれ提示してくれます。

※7国税庁ホームページ 登録免許税
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

不動産取得税

不動産取得税とは、マンションをはじめとした不動産を取得したときに、1度だけ発生する税金になります。注意点は、登記面積が50㎡を境に軽減措置が受けられることです。つまり、登記面積が50㎡を切ると、軽減がないため高額になるケースもあります。 登記面積は図面や広告に記載されている面積より数㎡小さくなるので、50㎡ギリギリの物件を購入する人は気をつけましょう。また、不動産取得税は国税ではなく地方税なので、それぞれの主税局で確認ください。例として東京都主税局※8を紹介します。

ただ、こちらも登録免許税と同じく、仲介会社や不動産ディベロッパーが目安金額を提示してくれるので、その金額を確認した方が確実です。

※8東京都主税局 不動産取得税 http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/fudosan.html

4 . マンション買い替えは順番と税金を知ろう

マンション買い替えでまず重要な点は、「先売り」が最も堅実であるという点です。そのため、先売りをベースで進め、同時決済が可能であれば同時決済の流れにしましょう。

また、売却益でも残ローンが完済できない場合は、買い替えローンを検討するのも選択肢の1つです。そして、3,000万円の特別控除をはじめとした、税金についても理解しておきましょう。理解しきれない場合は、不動産会社の担当者か税務署に直接問い合わせると詳しく教えてくれます。

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