HOME 不動産売買 建蔽率とは?~容積率との違いと計算方法、増築する際の注意点~

建蔽率とは?~容積率との違いと計算方法、増築する際の注意点~

長嶋 シゲル

長嶋 シゲル

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所有権とは、目的物を自由に利用することができる権利です。従って、土地所有者も、本来はその土地をどのように利用するか自由であるのが原則です。
しかし、土地所有権については、建築基準法などの法令によって、所有者といえどもその土地全部を自由に利用して建物を建築することができない場合や、土地上に建築できる建物の大きさが制限される場合があります。
そのような制限のもっとも重要なものが、建ぺい率容積率になります。ここでは、この2つの数字の持つ意味や捉え方について確認していきます。

目次

1 . 建ぺい率の基礎知識

1-1 . 建ぺい率とは

建築基準法第53条は、「建築物の建築面積の敷地面積に対する割合は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。」と規定し、用途地域の種類ごとに30%から80%の間で建物建築に利用できる面積の割合を定めています。この割合を建ぺい率と言います。この結果、土地所有者は、建ぺい率を超える建築面積の建物の建築が出来ないことになります。
たとえば100㎡の土地の建ぺい率が50%とすると、その土地のうち、建物建築に使用できる面積の数値は

100㎡×50%=50㎡

となります。
建ぺい率が定められている趣旨は、採光や風通しの確保とともに、万一の火災の場合に建物が密集していると延焼の危険があるため、建物間に一定のスペースを設けるということにあります。

1-2 . 容積率とは…建ぺい率との違い

建ぺい率が対象となる土地上に建てることができる建築面積の敷地に対する割合という平面的な側面からの規制であるのに対して、立体的な面からの規制もあります。
こちらは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合についての規制です。
建築基準法第52条は、「建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。」と定めていて、ここで定められている数値を容積率といいます。建ぺい率との違いは、建ぺい率が「建築面積」についての規制であるのに対して、容積率は「延べ面積」に対する規制となっている点です。具体的には、対象となる建物が複数階のある建物の場合、その各階のフロア面積を合計した面積についての規制となります。
たとえば、100㎡の土地の容積率が100%とすると、その土地に建てることができる建築物の延べ面積は100㎡となります。仮にこの土地の建ぺい率が50%とすると、1階・2階とも50㎡の2階建の建物を建築できる事になります。
また、この土地の容積率が150%とすると、延べ面積が150㎡までの建物を建築することができる事になります。
その土地の建ぺい率の上限が50%とすると、最大で各フロアーの床面積が50㎡の3階建の建物まで建てることが可能となります。
規制をしなければ、技術の進歩によりいくらでも中高層の建物の建築が可能となってしまい、人口過多となるなどして都市環境を害する危険が生じます。そこで高さや容積率によって建築できる建物の大きさを規制して、その結果として、建築物と道路や公共施設などとのバランスを図り、都市環境を維持しようと容積率による建築制限が設けられているのです。そこで住居地域には低層の建物しか建てられない、また商業地域は耐火建築物しか建てられないなどの規制や規定が設けられています。

1-3 . 建ぺい率と容積率の計算方法

建ぺい率容積率は、建築基準法にもとづいて、都市計画によって土地ごとに決められています。万一、この建ぺい率容積率を超える建物が建てられた場合、その建物は違法建築となります。したがって、建物を建築したり増築したりする時は、当該建物の建築面積や延べ面積が建ぺい率容積率の範囲内かを注意する必要があります。
そこで、次に、具体的な建物の建ぺい率容積率がどのように計算されるかを確認します。

建ぺい率について

建ぺい率は、すでに述べたとおり、建物の建築面積の敷地面積に対する割合です。具体的には、以下の算式で算定されることになります。

建ぺい率=当該建物の建築面積÷当該敷地の面積×100

なお、ここで言う建物の「建築面積」については、注意が必要です。
一見すると、建物の一階部分の面積と考えがちですが、必ずしもそうではありません。
建ぺい率の算定基準となる建築面積とは、建物の外壁、もしくはそれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことを言います。多層階建の建物で、2階以上の部分の面積が1階部分よりも小さい場合には1階部分の面積が建築面積という理解でいいでしょう。しかし、1階部分の面積よりも2階以上の階の面積が大きい場合や、1階部分と2階以上の部分とが一部ずれて建てられている構造になっている場合には、1階部分の面積が建築面積となる訳ではありません。
建ぺい率に関して、もう一つ認識しておいてもらいたいのは、建ぺい率については緩和措置が認められているということです。例えば既に述べたとおり、建ぺい率による建築制限が延焼防止を目的としていることから、防火地域や区域内の耐火建築物については、一定の条件の下での緩和措置が認められるなど、実質的に建ぺい率100%となる場合もあります。それ以外にも特定行政庁が定めた角地は、緩和措置が認められている場合もあります。

容積率

容積率は以下の算式で算定されます。

容積率=建物の延べ面積(複数階のある建物の場合には、各階の床面積の合計=建物面積とも言います)÷当該土地の面積×100

ところで、容積率についても、以下のような緩和措置が設けられています。

①共同住宅の共用廊下や階段の用に供する部分の面積は、容積率を算定する場合の延べ面積には算入しなくてもいい。
②自動車の車庫や自転車置き場は、各階の床面積の5分の1までは、延べ面積に算入しなくてもいい。
③地下のフロアー、いわゆる地階で住宅の用に供する部分については、その床面積の3分の1については延べ面積に参入しなくてもいい。

などです。この他にもいろいろな緩和措置が設けられていますので、具体的に容積率を算定する場合には、専門家に確認するなど十分に注意する必要があります。

一方で、容積率の算定に際しては、上記の容積率の他に「基準容積率」というものがあります。これは当該土地の前面道路の幅によって算定される容積率です。具体的には、当該目的となっている土地の前面道路の幅が12メートル未満の場合には、容積率は前面の道路幅に0.4(住居系の用途地域の場合)または0.6(それ以外の用途地域の場合)を掛けた数値が、基準容積率と指定されるとするものです。 たとえば、住居系の用途地域において、前面の道路の幅員が10mの場合の基準容積率は、

10メートル×0.4=4(=400%)

となります。
この場合には、都市計画によって当該土地に定められた容積率と、基準容積率のいずれか小さい値が実際に当該土地に適用される容積率となります。

2 . 建ぺい率・容積率によって同じ広さの土地でも建てられる住宅の大きさが違う

具体的に、建ぺい率容積率が異なる場合、土地上に建てること可能な一戸建てなどの建物の大きさがどう異なるのかを見てみましょう。
面積が100㎡の土地の建ぺい率容積率がそれぞれ以下の通りである場合に、建築できる建物面積の広さを考えてみましょう。

建ぺい率60%、容積率200%で建てられる住宅の大きさ

建ぺい率が60%ですので、建物を建築できる面積は

100㎡×60%=60㎡

となります。
一方、容積率が200%ですので、建築できる建物の延べ面積は

100㎡×200%=200㎡

となります。
仮に、建ぺい率一杯の建築面積の建物を建てる場合、1階から3階までが各60㎡、4階が20㎡という4階建の建物を建築すること可能となります。ただし建物の高さの制限次第で4階まで造れないこともあります。

(延床面積=60㎡+60㎡+60㎡+20㎡=200㎡)

建ぺい率80%、容積率150%で建てられる住宅の大きさ

建ぺい率が80%ですので、建物を建築できる面積は、

100㎡×80%=80㎡

となります。
一方、容積率は150%ですので、建築できる建物の延べ面積は

100㎡×150%=150㎡

となります。
建ぺい率いっぱいの建築面積の建物を建築した場合、1階フロアーの面積が80㎡、2階フロアーの面積が70㎡の2階建の建物の建築が可能となります。

(延床面積=80㎡+70㎡=150㎡)

建ぺい率40%、容積率100%で建てられる住宅の大きさ

建ぺい率が40%ですので、建物を建築できる敷地面積は、

100㎡×40%=40㎡

となります。
一方、容積率は100%ですので、建築できる建物の延べ床面積は

100㎡×100%=100㎡

となります。
建ぺい率いっぱいの建築面積の建物を建築した場合、1階フロアーおよび2階フロアーの面積が各40㎡、3階フロアーの面積が20㎡の3階建の建物の建築が可能となります。

延床面積=40㎡+40㎡+20㎡=100㎡)

3 . 増築する際に考慮すべき建ぺい率と容積率

建物を増築する場合には、増築後の建物の面積が当該土地について決められている建ぺい率および容積率の範囲内となるようにしなければなりません。
通常、建物を新築する場合には、建設業者や設計者が建ぺい率容積率について適切に対応しているため、個人として建ぺい率容積率を意識することはないかもしれません。
しかし、建物を増築したり改築する場合には、その内容が建ぺい率容積率を超えないかについて注意する必要が出てきます。
特に注意が必要なのが、ベランダやバルコニーやウッドデッキ、車庫などです。
ベランダやバルコニーは建物専用の設備としての一部となりますので、建ぺい率容積率が増える事になります。
これに対して、ウッドデッキは原則としては建物の一部とはならないため建ぺい率容積率に影響はありません。ただし、例外的に屋根を付ける場合にはベランダやバルコニーと同様に建物の一部となり、建ぺい率容積率を増加させますので注意が必要です。
また、車庫も屋根がある場合には建築面積に含まれるため、建ぺい率容積率を増加させますので注意が必要です。

もうひとつ注意が必要なのは、既存不適格物件についてです。これは、当初建物を新築した時点では建ぺい率容積率に適合していたが、その後の環境の変化などによって、建ぺい率容積率が変更された結果、現時点での基準に照らした場合には建ぺい率容積率を超える建物となってしまったものをいいます。
このような既存不適格物件について、建て替えリフォームを行う場合には、現在の建ぺい率容積率に適合した建物とする必要が生じます。
実際に建ぺい率容積率が変更されることは相応にあるため、実際に建て替えリフォームを行う場合には、事前に現時点の建ぺい率容積率を確認することを忘れないようにしてください。

4 . 迷ったら専門家に相談しましょう

以上、建ぺい率容積率の基本的なことについて説明してきました。ただ、建ぺい率容積率の制限についても、社会情勢等に応じて緩和措置が設けられたり、建ぺい率容積率が変更されたりということがままあります。
したがって、迷ったり、分らない時には、専門家に相談するようにしましょう。増改築等をしてしまった後で気が付いたのでは、手遅れとなる事もあります。

また、「どうせばれないから大丈夫」といった考えは決して持たないようにしましょう。万一、違法建築をしてしまった場合、その建物に保険をかけることができないとか、将来売却しようとした場合に売れないなどの不利益を被ることがあります。その結果、余計な費用をかけて修正しなければならないといったことにもなりかねません。
建ぺい率容積率による制限は、甘く見ることなくしっかりと確認して、遵守する必要があります。

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