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行動経済学から見る賢い物件売買術

中村 昌弘

中村 昌弘

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不動産投資を語るときに「行動経済学」の話をする機会は少ないです。しかし、行動経済学を学ぶことで、その知識を不動産売買時に活かすことができます。あまり耳慣れない言葉だと思いますが、今回は「アンカーリング効果」という行動経済学を題材に、不動産投資の売買に活かす方法を解説していきます。

目次

1 . 行動経済学とは何か?

行動経済学とは、経済学と心理学を掛け合わせたような学問です。簡単に言うと、人がお金を使うときの心理、そして心理からどのような行動に移るか?を理解する学問になります。普段の日用品の買い物であれば、1つの商品を購入するときの心理描写は単純なものです。

要は、費用対効果は高いか?平たく言うと「お買い得かどうか?」を瞬時に判断して購入を決断します。言わずもがな、不動産は世の中の買い物の中で最も高額な買い物と言えます。そんな高額な不動産なので、日用品を購入するときよりも時間をかけて悩み、お買い得かどうかを考え抜いてから購入を決めます。

しかし、日用品を購入するときも、不動産を購入するときも、購入者の心理は根本的には同じです。もちろん、考える時間などは異なってきますが、「お買い得」と思いやすい心理は共通しており、その心理を利用するのがアンカーリング効果なのです。

2 . アンカーリング効果とは?

アンカーリング効果とは、「人は最初に見た数字や、その商品の印象に左右されやすい」という効果です。「人は第一印象で全てが決まる」という言葉は、人を見るときだけでなく商品を見たときにも当てはまります。このアンカーリング効果は、情報が少ない初期段階であるほど効果は大きいです。

2-1 . 事例1

アンカーリング効果を分かりやすく理解するために、まず以下の計算式を3秒で暗算してみてください。答えが出なくても良いので、「どちらの計算式の答えが大きくなるか?」を瞬時に判断してください。

A:9×8×7×6×5×4×3×2×1
B:1×2×3×4×8×5×7×9×6

冷静に見れば分かると思いますが、AとBはどちらも同じ答えになります。しかし、Aの方が大きな数字になると思った人が多いのではないでしょうか?その理由は、Aは「9」という数字が最初に目に入り、Bは「1」という数字が最初に目に入るからです。

3秒という短い時間でA,Bともに暗算するのは難しいため、計算式をパッと見るだけで終わる人がほとんどでしょう。そのとき、最初に目に入る数字の印象に引きずられ、Aの答えの方が大きくなると思う人が多いということです。

2-2 . 事例2

では、次にこのアンカーリング効果をマンションの売買に落とし込んでみましょう。仮に、あなたが投資用マンションの一室を購入するとして、仲介担当の営業マンから以下の2通りの言われ方をするとします。

A:「エリアの相場は1,700万円なので、1,700万円で売ります。」
B:「エリアの相場は2,000万円を超えますが、今なら1,700万円で購入できます。」

AとBのどちらがお買い得と感じ、購入意欲が上がるでしょうか?恐らくBと答える人が多いと思います。これもアンカーリング効果の一種であり、最初の印象が頭の中に残るのです。つまり、Aの場合は相場が1,700万円とインプットされ、Bの場合は相場が2,000万円とインプットされます。

そうなると、同じ1,700万円でも、Bの方が「お買い得」と感じます。これは不動産以外でも利用される手法です。たとえば、Tシャツを単純に3,000円で売り出すのではなく、4,000円にバツ印を付けて3,000円で売り出すという手法です。

これも、4,000円にバツ印を付けることで、「本来は4,000円の価値があるのか」と思い込むということです。不動産は金額の規模が大きくなりますが、本質的には同じことなのです。

3 . アンカーリング効果への対策

このように、アンカーリング効果は買い手側からすると、下手に印象操作をされないようにしなければいけません。先ほどの事例はAもBも1,700万円での売却でしたが、Bのケースで1,800万円を提示されれば、相場より100万円高く買うことになってしまいます。

これらは、全て「情報不足」が引き起こす事態であるので、対策としてはたくさんの情報を得ておくということです。そもそも、エリアの売り出し物件や過去の成約物件などをきちんとチェックしておけば、エリアの相場金額が分かってきます。

そのため、Bの「相場2,000万円」の時点で安易に信じることはなく、アンカーリング効果に引っかからないで済むというわけです。そもそも不動産の相場は絶対的な指標ではないので、極端に高い金額でなければ「嘘」とは言えません。

言ってしまえば、営業マン自体も相場金額の感じ方は異なっており、相場金額に正解はないのです。ただ、自分の思う相場金額を明確にして「軸」を作っておくことで、不要な情報に惑わされないです。また、逆にいうと、物件を売却する側になったら、アンカーリング効果を利用して高く物件を売ることも可能になります。

4 . まとめ

このように、行動経済学は購入時の心理と行動について言及しています。今回紹介したアンカーリング効果は、全員が一度体験したことがあるはずです。しかし、その仕組みを知っておくことで、安易に印象操作されないで済みます。下準備をしっかりとし、根拠のない情報に惑わされないようにしましょう。

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