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マンションの寿命とは?耐用年数との違いと寿命を延ばす方法

ゴンロク

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居住中のマンションの「寿命」をご存じですか?よく、「築○○年以上が目安」といった言葉で説明されるマンションの寿命ですが、これにはさまざまな誤解が含まれています。また、寿命が来たマンションは何らかの対策が必要です。住まいの寿命は、住み替えや建て替えの資金計画にも関係してきますよね。

今回は、耐用年数との違いや寿命を左右する要素に言及しながら、「住宅の寿命を延ばす方法」をご紹介します。

目次

1 . マンションの寿命とは?

日本の木造住宅は、俗に「20年から30年前後が寿命」と言われることが多いです。これらは、一体どこからやってきた数字なのでしょうか。 実は、世間一般で言われているマンションの寿命は、建物の古さや傷み具合が直接反映されているわけではないのです。

1-1 . マンションの耐用年数

「法定耐用年数」という言葉をご存じでしょうか。一般的には「耐用年数」と呼ばれることが多いでしょう。 法定耐用年数(以下、耐用年数)とは、「固定資産が使用できる期間を法的に定め、減価償却の計算根拠とする」ための数字です。 耐用年数は、建物の寿命として語られることが多く、マンションの寿命を測る上でも、参考にされることがあります。 例えば日本の税法では、建物の法定耐用年数について、以下のように取り決めています。

○構造別の法定耐用年数(住宅用のもの)※
1.木造もしくは合成樹脂のもの…22年
2.木骨モルタル造のもの…22年
3.鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造のもの…47年
4.れんが造・石造・ブロック造のもの…38年
5.金属造のもの…骨格材の厚みが3mm以下は22年、3mm超4mm以下は27年、4mm超は34年

1と2が「木造」、3が「SRC・RC造」、5が「鉄骨造」だと考えてください。この耐用年数を引用し、「木造22年」「鉄筋造47年」「鉄骨造34年」という具合に、寿命として紹介されることがあります。しかし、「耐用年数=マンションの寿命」と考えてしまうのは早計です。

※参考:国税庁 https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php

1-2 . 耐用年数=マンションの寿命ではない

実は、耐用年数=寿命という考え方は鳴りを潜めつつあります。 前述したとおり、耐用年数は「税務上で減価償却が可能な期間」としての意味合いが強いからです。 実際に建物がどういった使われ方をされ、どれだけ維持されているかを反映した数字とは言い難いのです。

また、RC造マンションの寿命としては、「37年」という数字を使うことがあります。この37年という数字は「建て替え済みマンションの平均築年数」を数値化したものです。この中には、老朽化以外の理由による建て替えも含まれています。 オーナーの都合や空室対策、都市計画の影響を受けた場合など、さまざまな事情で建て替えられたマンションも、寿命の計算に含まれているわけですね。

例えば、高度経済成長期に建てられたマンションは、配管設備をコンクリート躯体に埋め込んでいました。 そのため、配管設備の老朽化が、取り壊しに直結しやすいのです。つまり、こちらもマンションの耐久実態を表すとは言い難い数字なのです。 ちなみに現在は、躯体を壊さずに設備だけを交換できる造り(スケルトン・インフィル)が一般的になっています。

では、実際のマンションは、どの程度の寿命なのでしょうか。さまざまな研究により、下記のような耐久実態が報告されています。

・鉄筋コンクリート部材は「50年以上」…鉄筋コンクリート部材の損傷程度の実態調査から算出
・RC系住宅は「68年」…固定資産台帳の滅失データを基に、区間残存率推計法を用いて、家屋の残存率が50%となる期間を推計(2011年調査)
・鉄筋コンクリート造建物は「117年」…建物の減耗度と実際の使用年数との関係を調査した結果
・RC造およびSRC造は「120年~150年」…鉄筋を被っているコンクリートの中性化速度から算出

いずれも法定耐用年数の「47年」よりも長いことに注目です。RC造やSRC造が多いマンションでは「寿命50年以上」と推定できそうですね。

参考:国土交通省『「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書 取りまとめ後の取組紹介』http://www.mlit.go.jp/common/001014514.pdf

2 . マンションの寿命に関わる要素

次に、マンションの寿命がどういった要素で決定するのかを整理してみましょう。 マンションの寿命は、主に以下4つの要素が重要です。

2-1 . 材料

コンクリートひとつとっても、劣化の程度に差があります。つまり材料の品質にばらつきがあるのです。 セメントと水の比率や鉄筋を覆うコンクリートの厚みなどで、品質が変わってきます。

さらに給排水配管に腐食対策をしているかも寿命を左右します。錆びやすいメッキ鋼管よりも、腐食や詰まりに強い塩化ビニール管のほうが寿命は長いのです。 これら材料(建材)や配管設備の材質は、建築時の設計書や住宅性能評価書に記載されているものです。売り出し広告には載っていないため、仲介している不動産会社に取り寄せてもらいましょう。

2-2 . 構造・設計

RC造やSRC造などの「構造」や、配管設備を交換しやすいスケルトンフィルといった「設計」も、マンションの寿命に影響を与えます。 RCよりもSRCのほうが鉄筋コンクリートに鉄骨の柱を埋め込んでいる分、長寿命化しやすいでしょう。 また、耐震基準に適合しているかも見逃せません。1981年6月に施行された「新耐震基準」を満たしていないと、地震によるダメージが大きくなる可能性があります。

2-3 . メンテナンス

いわゆる「共用部分の管理」ですね。マンションは、築年数が増えるごとに管理状態による「差」が如実に表れます。 屋上の防水や外壁塗装などは、10年前後に対策しているかどうかで寿命が変わるでしょう。 また、鉄製部分の錆び防止塗装、天災で損傷した部分(窓ガラスやエントランスなど)の補修を行わないと、どんどん痛みが拡がっていきます。 共用部分の損傷や劣化は、躯体そのものの寿命を縮めます。専有部分のようにリフォームやリノベーションが施せないため、適切な管理が重要なのです。

2-4 . 立地

どんなに頑丈な材質でも、長年にわたって強い日差しや風雨にさらされれば、自然と劣化していきます。 例えば海が近い地区のマンションは、潮風で金属部分や外壁がダメージをうけやすいです。 実際に2011年に早稲田大学の小松教授が発表した調査では、気候と建物の寿命につながりがあることが報告されています。※

ただしこれは、「日当たりが良すぎるマンション」や「海の近くのマンション」を否定しているわけではありません。 立地の特性を考慮した修繕が行われていれば、問題ないのです。立地とメンテナンスは、ワンセットでチェックすべきでしょう。

※参考:建築寿命に関する研究 http://www.waseda.jp/sem-ykom/kamatani.pdf

3 . マンションの寿命を延ばす方法

3-1 . 適切なメンテナンス

ここまでの内容からもわかるとおり、マンションの長寿命化には「メンテナンス」が欠かせません。 構造や材料、立地などは購入者が手を加えられませんが、維持管理だけは別ですよね。また、管理や修繕にかかる費用をしっかりと積み立てながら、適宜メンテナンスしていくのが長寿命化への近道です。維持管理はコストではなく、「積極的に買うもの」だと理解しておきましょう。

3-2 . 修繕費の積立

充分な修繕積立金を積み立て、大規模修繕に備えることは、管理以上に重要です。 もし入居中のマンションの寿命が気になるなら、修繕計画と修繕積立金が適切かどうかをチェックしてみると良いでしょう。 10年、20年たって十分な修繕ができるか否かで、マンションの寿命が変わるからです。

マンションの外壁や屋上などに大規模修繕を施せば、1棟あたり数千万円以上の費用がかかるでしょう。 だからといって修繕しなければ耐久性は下がり、外観の劣化も相まって資産価値が下落します。 もちろん、機能的にも劣化するため、寿命が縮むというわけです。特に中古マンションでは、売買の前の修繕積立金の積立て状況が必ずチェックされます。 マンションの寿命を延ばすことは、「資産価値を維持・向上」にもつながると考えてください。

4 . マンションの寿命が近くなったら考えるべき選択肢

いざマンションの寿命が近くなったとき、現実的な選択肢は「建て替え(大規模修繕)」か「売却」かの2択になるでしょう。 そこで、それぞれのポイントを整理してみます。

4-1 . 建て替え(大規模修繕)のポイント

1.賃貸マンションでは建て替えの6か月以上前に告知し、住民に退去してもらう必要がある
2.マンション建て替え円滑化法の容積率緩和により、建て替えによって規模を大きく出来る可能性がある
3.分譲マンションであ、1戸あたりの負担が大きい(建築費用のみで1戸あたり1000万円から2000万円が相場)
4.修繕費が不足した場合は、追加で資金を用意しなくてはならない

賃貸物件用の1棟マンションであれば、住民の賛成は必要ありません。ただし、事前に入居者への根回しが必要です。 分譲マンションであっても、住民の4/5以上の合意が必要で、いずれも最初の難関と言えそうですね。

また、建て替え費用の一部を捻出する方法として、2を応用するやり方もあります。 つまり、以前よりも部屋数を増やして建て替え、増やした分を不動産会社に売却して建て替え費用にするわけです。 ただし、マンション建て替え円滑化法の容積率緩和が適用されることが条件です。 土地の面積に対して容積率が低く、なおかつ構造耐震指標が基準より低いマンションならば、「大規模化⇒一部売却」というスキームで、建て替え費用を抑えられるでしょう。

4-2 . 売却のポイント

1.中古マンションは「築10年」「築15年」「築20年」で価値が下落する
2.ローン残債を売却額で相殺できるうちに売却する
3.建物を取り壊して土地だけを売却する

寿命が近いマンションの売却は、通常に比べてやや難易度が高いかもしれません。寿命が近いということは、築15年超は間違いないでしょう。 日本では中古マンションの資産価値が「10年」「15年」「20年」の順で下がると言われています。 まず、10年で築浅と見なされなくなります。次に、15年で寿命(50年程度)から35年ローンを引いた数字よりも小さくなり、ローンを払い終える前に寿命が来ると判断されます。 さらに20年でもう一段安くなり、それ以降はゆるやかに価値が下落していく、というのが一般的な評価です。

この節目の数字とローン残債を意識し、売却後の資産状況を見極めるのがポイントではないでしょうか。 最終的には、建物を取り壊して土地だけを売る、という手もあります。ただし、取り壊し費用を考えると、余程立地がよい物件でない限り厳しい結果になりそうです。

5 . マンション寿命を見据えた管理修繕と資金計画を!

このようにマンションの寿命は、ひとくくりに「○年」と明言しにくいものです。 構造や材質、立地などによる目安はあるものの、「維持管理・修繕」が加わることで寿命は変化します。 適切な維持管理と修繕で寿命を延ばしつつ、売却も考慮した計画が必要です。

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