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2016年不動産価格の変動から見る、 2017年の展望、物件選別と注意点

浅井佐知子

浅井佐知子

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こんにちは!

不動産鑑定士、不動産投資コンサルタントの浅井佐知子です。

 

今年も早2か月が経ち、なんとなく世界があわただしく動いているように感じますね。

不動産市場も不透明な時代。「一寸先は闇」とは言わないまでも、本当にどう動いていくのか、よく分からない混沌とした時代に突入しているように感じます。

 

そんな難しい世の中ですが、2017年の不動産市場の展望を予測したいと思います。

 

まずは2017年の予測をする前に、昨年、2016年の世界及び不動産市場がどんな動きをしていたかを簡単に振り返ってみたいと思います。なぜなら、不動産は過去の経済や不動産の推移を読み解くことで将来の動きを予測できるためです。

目次

1 . 2016年の不動産の動き

2016年は、世界的に「ナショナリズム」が台頭し、大方の予想と異なる動きをした1年でした。

 

・英国のユーロ離脱決定

・米国の次期大統領、まさかのトランプ氏

 

などなど。そのたびに、株と為替は大きな変動を繰り返しました。

それに比べると、不動産市場は比較的落ち着いた1年だったと思います。

 

不動産は相対取引のため、売りたいからと言ってすぐに売れるわけではなく、売るにも買うにもとにかく時間がかかるため、株、為替の小さな変動は吸収されるのです。

過去の例から見ても、平成バブルの崩壊のように株が右肩下がりの時は、不動産も下げ続けました。また、リーマンショックの時は株安、円高。そして半年くらいした後に、不動産が下げ始めました。

平成バブルの崩壊とリーマンショックの後が、近年、不動産が大きく動いた時期です。

 

昨年の不動産市場をもう少し細かく見ていきたいと思います。

2 . 2016年の不動産市場を詳しく振り返る

2-1 . 2016年の不動産市場を詳しく振り返る ①実需不動産

自宅を含めた実需の不動産のうち、戸建て住宅用地(土地)はほぼ横ばい~若干の上昇でした。

一方、中古マンションは堅調でした。

表出典:レインズ月例マーケットウオッチより、浅井佐知子作成

グラフを見ても分かるように都内の中古マンションの成約単価は、2012年を底にしてその後の4年間はほぼ右肩上がりで上昇しています。お給料が上がっていないため、金利が低いにもかかわらず買い意欲はそれほど高くはありませんでしたが、その中でも中古マンションが堅調だったのが分かります。

2-2 . 2016年の不動産市場を詳しく振り返る ②投資用不動産

投資用不動産はすこぶる好調でした。アベノミクスが始まったころから投資家の買い意欲は旺盛になり始めましたが、2016年はさらに利回りが低下し、良い物件がすくない、物件不足の1年間でした。

 

財団法人日本不動産研究所発表の「不動産投資家調査」の利回りのグラフを見てください。期待利回りが、2005年の調査開始以来、最低水準まで下がっています。ということは価格が上がっているということです。

表出典:財団法人日本不動産研究所発表の不動産投資家調査より、浅井佐知子作成

特に観光客の増加から、ホテルのニーズが高く、物件価格の上昇、利回りの低下につながりました。また、昨年は国債の利回りがマイナスになり、銀行の金利もさらに下落した1年でした。銀行のだぶついた預金が不動産投資家に回ったという感じさえ受けました。

 

会社員や公務員の方を中心に、比較的収入が安定している高所得者に対して融資は緩く、物件や人によっては1%を切る、0.5%前後で借りられる投資家もいて、どんどん借り、どんどん物件を増やす傾向にありました。

2-3 . 2016年の不動産市場を詳しく振り返る ③賃貸市場

賃貸市場は2009年ころから賃料の下落、空室率の上昇など、厳しい環境が続いていましたが、2013年を底に徐々に回復傾向にあります。

アットホーム発表、タイプ別インデックス シングルタイプの直近の数字では、

2009年を100とした場合

・東京23区 103.28

・東京都下 96.06

・横浜・川崎市 99.88

・千葉西部 96.02

・埼玉東南部 99.04

・札幌市 106.73

・仙台市 115.66

・京都市 99.23

・大阪市 109.08

・大阪広域 99.60

・福岡市 105.80

となっており、地方を中心に回復しているのが分かります。

3 . 2017年の不動産市場の展望

さて、昨年1年間の動きを引き継ぎ、今年2017年の不動産市場はどう動くのでしょうか?

今年の不動産市場を占ううえで重要なキーワードが二つあります。

ひとつは、「トランプ大統領」

そしてもうひとつは、「銀行の貸し出し姿勢」です。

 

●トランプ大統領の動向

トランプ大統領の言動は、株・為替に大きな影響を与えます。

ただし、上でも述べましたが、不動産は売るにも買うにも時間がかかるので、株、為替の小さな動きにはあまり反応しません。

それよりもトランプ政策に注目しています。規制緩和や景気刺激策を行なう予定のようですが、これらの政策により消費が増え景気が良くなると、アメリカの不動産価格も上昇します。

投資用不動産でいえば、価格が高くなって利回りが低くなるということです。

また、アメリカの金利が上昇すると、円は売られて円安になります。

その結果、相対的に利回りが高い日本の不動産は、円安の影響も受けて海外の投資家に買われることになります。そして価格も上昇します。

2~3年前にも円安の影響で日本の不動産が大量に買われた時期がありました。

当時はアベノミクスが始まり、株高、円安に動いていました。また2020年の東京オリンピックの開催も決まった時期でした。

この時、中国や台湾の投資家がこぞって日本の不動産を購入したのです。海外の不動産に比べると日本の不動産は利回りが高いこと、オリンピック効果で転売益が狙えることから人気が高かったのです。

昨年は円高基調もあり、海外投資家の買い意欲はやや低めでした。

今年、トランプ政策により円安になればまた海外投資家による日本不動産買いが再開することになります。そうなれば今以上の利回り低下、価格上昇となります。

 

●銀行の貸し出し姿勢

昨年の9月、金融庁が「平成27事務年度 金融レポート」を公表しました。その中で、

『不動産向け貸出の現状には「注視が必要」』と注意喚起しています。

今後銀行が貸し出しをセーブすると、買いたくても買えない状況となり値崩れが始まります。そうなると、現金を持っている投資家が、良質な物件を安く買いたたいて購入する時代の到来となります。

 

●物件選別と注意点

近年、相続税対策や投資熱の高まりで新築アパートなど投資物件が増えています。

特に相続税が値上がりしたことで、相続税評価額を低くする目的で、アパートがたくさん建ちました。すでに供給過剰の地域も出てきているようです。今年物件を取得される方は、

賃貸供給過剰地域でないこと、将来にわたってニーズのある地域であること、

人が増えるもしくは減らない地域であることの見極めがますます重要になってきます。

現地の不動産会社にヒアリングを行なったり、各種統計を利用して市場の調査を行うなど、投資家も今年はさらなる勉強が必要になります。

また物件数が増えているエリアで駅から遠い物件や築古物件は、客付けに苦労することになると思います。賃貸募集に関し、昨年以上にオーナーの努力、工夫が必要になるでしょう。

4 . 2017年の不動産市場のまとめ

今年は昨年以上に物件をよく見極め、無理な融資を組まないことに気を付ける必要があります。

 

また、「損切り最後のチャンスの年」でもあります。

過去に購入し、利益が出ていなく、その不動産に思いいれもなく、資産価値も低い不動産で、今後修繕が多大にかかってくる不動産は、この際思い切って売却しましょう。

 

例え「損切り」になったとしても、負の遺産(不動産)を処分する最後のチャンスになるかもしれません。

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