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不動産投資におけるリスクについて

中村 昌弘

中村 昌弘

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osh11388-1 不動産投資の「リスク」をきちんと理解しているでしょうか。不動産投資に限らず「投資」にはリスクがあり、そのリスクを知ることが投資の成功につながります。特に不動産投資は「実物資産」になりますので管理や維持に関しても「コツ」があるのです。投資はリスクがありますが、逆にリスクを事前に知ることによってリスクヘッジすることができます。そこで今回は投資のリスクについて解説し、そのリスクをどのように軽減するかまで解説したいと思います。

目次
1. 不動産投資のリスク
2. 空室、家賃下落リスク
3. 確定申告上のリスク
4. 不動産を維持、管理する費用面でのリスク
5. 不動産の売却リスク
6. 賃借人とのトラブルリスク
7. 空室保証のトラブルリスク
8. 災害関係のリスク
9. まとめ

 

1.不動産投資のリスク

まずは、具体的に不動産投資にはどのようなリスクがあるのかを解説します。

・空室および家賃下落リスク
・確定申告上のリスク
・不動産を維持、管理する費用面でのリスク
・不動産の売却リスク
・賃借人とのトラブルリスク
・空室保証のトラブルリスク
・災害関係のリスク

不動産投資の基本は「賃料収入」による利益ですが、ずっと賃料収入が入るワケではありません。空室になることもありますし、家賃を下げざるを得ないこともあります。また、賃料収益が発生することによって確定申告も必要になるので、確定申告を良く理解しておかないと無駄に税金を支払うことになります。 さらに、先述したように不動産は実物資産なので、維持する費用や災害リスクというものが常につきまといます。これらのリスクについて次項より詳しく解説していきます。今から不動産投資をはじめる人はもちろん、既に不動産投資をしている方もよく確認ください。

2.空室、家賃下落リスク

不動産投資において、最も大きなリスクは空室・家賃下落リスクです。なぜなら、空室になった場合は収益は0円になってしまい、家賃が下落した場合は想定の収支構造が崩れるからです。収支上で赤字になれば、不動産投資で儲けるどころか、不動産投資によって支出が増えてしまいます。 そのため、空室になる事態は不動産投資では最も避けるべきことなのです。また、空室を避ける対策をしておけば、自ずと家賃下落リスクへも対策していることになります。

どんなに広くても1LDK

空室・家賃下落リスクの対策としては、部屋の広さに気を付けることです。特に1室~数室程度の規模で不動産投資を行うときは、どんなに広くても1LDKまでの広さにしましょう。 仮に一棟のマンションやアパート経営の場合は、もう少し広い部屋があっても良いですが、一棟の不動産投資の場合でも1LDK程度の広さが「メイン」になるようにしましょう。なぜ、1LDKより大きい規模を避けるべきかというと、面積が広くなればなるほどターゲットが少なくなり競合物件が増えてくるからです。 一方、1LDKまでの広さの物件であればターゲットは多く、競合物件も面積が広い部屋に比べると少ないです。

日本の人口と世帯数を考える

まず、ターゲットを考える上では、「日本の人口と世帯数」というマクロな視点から考える必要があります。2015年に総務省が発表した国勢調査のデータ※1を見ると、日本の人口は1億2,660万人という結果でした。前回調査した2010年の前回調査時と比べ、約95万人減っています。 実は、日本の人口が減ったのは1920年の国勢調査開始以来、はじめてのことなのです。ただ、一見すると人口減少は世帯減少と結びつけられそうですが、実際には世帯数自体は2010年に比べて2015年の方が145万世帯以上増えて(5,340万世帯)います。 人口が減っているにも関わらず世帯数が減っているということは、一世帯当たりの人数が減っているということです。つまり、単身者やDINKS※2が多いということになります。 また、総務省統計局のデータ※3によると、今後の人口は2030年には人口は1億1,662万人、2060年には8,674万人まで減少すると考えられています。さらに出生率※4と婚姻率※5は減少傾向にあるので、結婚する人は少なく子供も少ないと考えられます。そのため、今まで以上に単身者やDINKSは増えていくと予想されます。

※1総務省統計局 平成27年国勢調査
※2 DINKSとは「Double Income No Kids」の略称です。共働きで子供を意識的に作らない夫婦のことを指します。
※3 総務省統計局 「人口・世帯」
※4 内閣府 出生率
※5 厚生労働省 平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況

単身者とファミリー層の人口

前項から、日本の総人口は減るものの、単身者とDINKSに関しては「率」だけで考えると増えていくということが分かりました。つまり、不動産投資をする上では、単身者やDINKSをターゲットにした方が、母数が多いため空室リスクを軽減できるというワケです。 単身者やDINKSが賃貸マンションで住むとしたら、1R~1LDKが多いです。そのため、不動産投資をするときには1R~1LDK程度の広さの方が、最も母数が多い層をターゲットにできるのです。

単身者とファミリー層の居住形態

次に、単身者とファミリー層だと、どのような種類の家に住むかを考えてみましょう。家の種類とは、「賃貸マンション」「分譲マンション」「賃貸戸建て」「分譲戸建て」に分かれます。先ほど言ったように、単身者やDINKSであれば1R~1LDKの広さで、かつ「賃貸マンション」に住むことが多いです。 少なくとも、単身者で戸建てに1人で住む人はほぼいないでしょう。一方、ファミリー層であれば上記4つの居住形態の全てが考えられます。そのため、ファミリー層向けの物件に投資をしてしまうと、競合物件が増えてしまうのです。 このように、単純に単身者・DINKSの方が「母数が多い」という理由以外に、このような「居住形態」の観点からも1R~1LDK程度の物件に投資するべきなのです。

エリアの需要を考える

ターゲットを考え適切な部屋の広さがわかったところで、次はエリア的な需要を考えましょう。結論からいうと、需要がある人気エリアに不動産投資をするべきです。賃借人は住宅を選ぶときに「エリア」「賃料」「広さ」「間取り」「築年数」など色々な要素を見比べますが、その中でも「エリア」は最も重視する項目です。

エリアは妥協しない

分かりやすい例でいうと、「仕事の関係で山手線の渋谷~大崎駅間で住みたい」と思っている人が、路線もエリアも違う北千住に住むことはありません。しかし、「1DKが良かったけど1Kにした」や「築年数5年以下が良かったけど築8年の物件にした」など、ほかの要素は妥協できます。 つまり、それだけ「エリア」は妥協できない要素であるので、需要のあるエリアの物件を取得すれば、それだけ空室リスクを下げることができるのです。また、エリアの人気は長期的スパンで見てもそれほど変わりません。 なぜなら、エリア人気とは「交通利便性」「商業利便性」「街の雰囲気」など、短期的に変わるような要素ではないからです。

「施設だけ」の人気エリアは注意

需要があるエリアとは、まず「駅力」が大切です。その駅の路線や利便性、人気など、総合的に需要があるかを判断します。不動産会社や不動産ポータルサイトに掲載されている「住みたい街・住みたい駅ランキング」などを見ると分かりやすいです。 もちろん、そのような物件は価格も高いですが、不動産投資においては「需要」はマスト事項になります。ただ、注意しなければいけないのが、「大学が近くにある」「大型商業施設が近くにある」という理由「だけ」で需要がある駅です。 たとえば、大学が近くにあれば、その大学に通う学生の需要が見込めます。また、大型商業施設が近くにあれば、その利便性を評価した人の需要が見込めます。しかし、その施設「だけ」に頼っているエリアであると、その施設が移転・閉鎖した場合に需要が劇的に落ちてしまうのです。 需要が劇的に落ちるということは、空室リスクも大きく上がります。また、空室になることを防ぐためには、家賃が下落する可能性が高いです。そのため、施設はあくまで「付加価値」であり、駅本来の交通利便性が高かったり、複合的な施設が存在することが評価されていたりする駅を選ぶべきです。

目玉物件には要注意

エリアを考えるときに気を付けたいのが「目玉物件」です。このような「目玉物件」と言われる不動産は、利回りが極端に高い物件になります。利回りとは「年間家賃収入÷物件取得価格」で計算される数字です。 仮に利回りが10%であれば、単純に考えて10年間で物件取得にかかった費用を回収できるということです。利回りが高い目玉物件は、大抵の場合、価格が極端に安い物件が多いです。 価格が極端に安いということは、「駅遠」や「マイナーな駅が最寄り」など、エリアが極端に悪い場合が多いのです。エリアが極端に悪ければ、いくら家賃が安くても空室リスクは高いです。つまり、利回りが高くてもそれだけで評価せずに、きちんとエリアを吟味し需要があるかを確認しなければいけないということです。 賃借人が付かなければ結局家賃収入は入らないので、利回りは大幅に落ちてしまいます。また、どうしても賃借人が付かないときは家賃をさらに下げざるを得ないので、そのときも利回りが落ちてしまいます。

必ず現地は歩く

空室および家賃下落のリスクが小さい「需要のある」エリアを判別するときには、必ず現地を歩く必要があります。投資用物件を選ぶ場合には、色々な物件を見て回るため、車で見学することが多いです。しかし、実際に歩かないと感じることができない部分もあるのです。 駅までのアプローチは必ず歩いてみる必要があります。なぜなら、歩いてみないと「交通量」や「歩きやすさ」が分からないからです。仮に、駅までのアプローチが交通量の多い通り沿いであったり、夜になると真っ暗になる道であったりすれば、入居者の評価は落ちます。 また、信号待ちが長いなどのネックも、実際に歩いてみないと感じることが難しいネックになります。特に地元の方がターゲットとなり得る物件に関しては、賃貸希望者自身がこれらのネックを把握していることが多いので、オーナー側も確実に把握している必要があるのです。 つづいて、施設へのアプローチです。ここでいう「施設」とは、商業施設や医療施設のことです。不動産のエリアにおいて、商業施設が近かったり病院が近かったりするのは大きなプラスポイントになります。 ただし、「近い」といっても先ほどの「駅までのアプローチ」と同様、施設までの道が歩きにくければ意味がありません。そのため、前項と同じように各施設へも実際に歩いてみて、歩きやすいかどうかの検証をする必要があるのです。

昼夜での雰囲気

また、「現地を歩く」という点に加えて、できれば昼と夜どちらも雰囲気を感じておきましょう。なぜなら、昼と夜とでガラッと雰囲気が変わるエリアもあるからです。たとえば、繁華街に多いのが、夜になると雰囲気が一変する駅です。昼間は割と静かでも夜になるとお店がオープンして、騒がしくなるエリアは割と多いです。 そのため、せっかく「静かさ」を評価して不動産投資をしたのに、結果的に「夜の騒がしさ」がネックとなって賃借人が付きにくいということになるのです。 このように、空室と家賃下落リスクは、まず「ターゲット」を定めた不動産を選ぶ必要があります。その上で、需要のあるエリアを自分の足で見つけましょう。

3.確定申告上のリスク

  osh 11455-2 つづいて、確定申告上のリスクを解説します。上述したとおり、不動産投資をして収益が出た場合には、必ず確定申告しなければいけません。ただし、確定申告の仕組みやポイントをしっかり理解しておかないと、無駄に税金を支払うことになってしまいます。

不動産所得を確定申告するメリット

不動産所得を確定申告するということは「税金を支払う」ということなので、あまり良い印象は持たないかもしれません。しかし、実は不動産所得を確定申告できるということの「メリット」もあるのです。そのメリットとは、「総合課税であること」「経費計上できること」の2つです。

総合課税とは?

総合課税とは、ほかの所得と合算して計算できるということです。所得税は累進課税※6といい、所得額に応じて税率が決まります。つまり、サラリーマンの方で不動産所得がある場合には、給与所得と不動産所得を合算して税率が決まるということになります。 総合課税のときに、何がお得かというと、「万が一不動産投資で赤字になったとしても、その赤字分を給与所得から差し引ける」ことです。給与所得から差し引けるということは、所得税額が減るということになります。仮に、株やFXなどの投資は分離課税になるので、ほかの所得との合算はできません。 たとえば、株で300万円の赤字が出たとしても、その赤字分を翌年に繰り越して株の所得との差し引きはできますが、「別の」所得とは分けて考えるのです。 一方、総合課税には「不動所得がプラスの場合には税率が上がる」というデメリットもありますが、赤字の場合に節税できるというメリットの方が強いです。
※6国税庁 所得税の税率

所得税の具体例

前項の総合課税を具体的に解説します。仮に給与所得が750万円だったとします。その場合の税率は23%で控除額は636,000円になります。つまり、「750万円×23%-636,000円=1,089,000円」が税額になるということです。 このときに、不動産投資で仮に250万円の赤字を出してしまったとします。投資用不動産を購入したばかりで多額の経費がかかる場合には、初年度だけ赤字になることもあります。そうなると、所得は500万円(750万円-250万円)の扱いになり税率は20%に下がり控除額は427,500円になります。 そのため、「500万円×20%-427,500円=572,500円」の税額になり、さきほどのケースと比較すると516,500円も節税できるということです。もちろん、そもそも赤字を出している状況ではありますが、特に物件取得時は経費が高額になるので、赤字を計上することはあります。 そのときに、ほかの投資だとそのまま赤字を補てんできませんが、不動産投資であれば「節税」することで少しでも赤字を補てんできるという強みがあるのです。

経費について

つづいて、経費についてです。不動産所得を計算するときには、「年間賃料-経費」で計算します。経費とは、物件取得や維持・管理にかかる費用のことで具体的には以下のような費用になります。

管理費、修繕積立金
・賃貸管理代行手数料
・各保険料
減価償却
・室内の補修費用、クリーニング費用
・各税金
・ローン関係費用
・税理士報酬料
・その他の必要経費

このような経費を計上できるということは、逆にいうと不動産投資にはここまで経費がかかるということです。まずその点は不動産投資のリスクと認識しておきましょう。しかし、計上できる経費項目を知っておくことで、「賢く節税することができる」というメリットに替えることができます。 また、ほかの投資ではここまで多くの経費を計上できる投資商品はありません。経費が多いということは「お金がかかる」ということでもありますが、「賢く計上すれば節税できる」ということでもあります。

管理費、修繕積立金

管理費や修繕積立金は、一室のマンションやアパート投資をするときにかかる金額です。一棟のマンションやアパート経営の場合には、「建物全体」のオーナーになるので、各居室からオーナーへ管理費や修繕積立金は支払われるのです。 マンションを購入すると、そのマンション全体の管理費と修繕積立金がかかります。この支払い義務は「居室のオーナー側」にあるので、管理費・修繕積立金も加味した上で賃料設定する必要があります。こちらの費用も「経費」として計上できます。

賃貸管理代行手数料

賃貸管理代行手数料とは、主に一棟、もしくは複数の部屋を賃貸経営しているときにかかる費用です。賃貸物件は手間がかかるため、賃貸管理を代行することが多いからです。具体的には以下のような業務を代行してもらいます。

・入居者募集業務
・賃料集金業務
敷金精算超無
・滞納時の回収業務

また、一棟の不動産投資をしている場合には、「清掃費用」や「点検費用」「管理人の人件費」など管理会社に支払う金額も経費に計上できます。もちろん、一室の不動産投資で賃貸代行しているときにも、上記の金額は経費計上可能です。

各保険料

不動産投資をするときには、火災保険や地震保険に加入します。火災保険はローンを組んでいれば必須になりますが、ローンを組んでいなくても加入するケースがほとんどです。地震保険に関しては任意で加入します。 一棟の不動産投資をしている場合には、エントランスやエレベーターホールなどの「共用部」の保険もオーナーが支払います。実際には、各部屋の管理費の中に含めることが多いですが、支払い自体はオーナーに請求されるのです。これらの各保険に関しても経費として計上可能です。

減価償却

不動産は、「時間が経つにつれて劣化する」という考えになります。そのため、劣化した分を「減価償却費」として計上することが可能なのです。減価償却費は、物件の取得金額や建物構造によって金額が異なります。 金額の算出は手間がかかるので、管理をお願いしている不動産会社や、仲介を依頼した不動産会社にヒアリングしてみましょう。また、確定申告をネット上から作成するときには、機械的に算出してくれるので実際に自分で計算する必要はありません。ただ、金額のイメージは持っておいた方が良いです。

室内の補修費用、クリーニング費用

賃貸物件は退去する際に補修・クリーニングすることがあります。その金額に関しても経費として計上することできるのです。また、補修費やクリーニングは必須項目ではないので、補修もクリーニングもしない場合には、そもそも費用自体が発生しません。

各税金

不動産を購入するときと、不動産を所有しているときには税金がかかってきます。具体的には「不動産取得税」「固定資産税」「印紙税」になります。不動産取得税は不動産を取得したときに一度だけかかってくる税金です。 金額については、仲介を依頼した不動産会社が「諸費用」として算出してくれることが多いです。不動産取得税は、不動産を取得してから半年~1年半後に請求されます。場合によっては1部屋でも数十万円の税金になりますので、きちんと計算しておきましょう。 また、固定資産税はその不動産の評価額によって算出され、毎年課税される税金です。税額の目安は、仲介を担当している不動産会社に算出してもらいましょう。印紙税については、不動産の売買契約を締結するときにかかる税金です。不動産価格によって税額は異なりますが、大体数万円程度になります。 これらを計上するためには、領収書などの「納税した証明」が必要になるため、捨てずに保管しておきましょう。

ローン関係費用

ローンを組んで不動産を取得した場合には、ローンに関連する費用も経費計上できます。具体的には、「ローン利息部分」と「ローン保証料」です。ローンには金利がかかっているので、年間支払っているローン返済額のうち、利息の部分のみ経費として計上できます。 ローンの利息部分については、毎年金融機関から郵送される「ローン償還表(返済予定表)」などに記載されています。なお、不動産所得が赤字の場合には、利息部分は経費として計上できないので、その点だけはイレギュラーケースとして覚えておきましょう。 また、ローンを組むときの「保証料」も経費として計上可能です。保証料とは、保証人の代わりとなる「保証会社」に支払う費用です。要は、借入者がローン返済できなくなったときに、肩代わりしてくれる会社に支払う費用です。 保証料に関しては、「保証料」として別途徴収する金融機関もあれば、金利(利息分)に含まれている金融機関もあります。ローンを組むときに確認しておきましょう。

税理士報酬料

先ほどいった「確定申告」を税理士に依頼する場合には、税理士に報酬を支払います。税理士によって金額は異なりますが、相場としては5万円~10万円前後です。この費用も経費として計上することができます。ただ、金額は「管理している不動産の数」にもよりますので、事前にヒアリングしておきましょう。

その他の必要経費

その他には「交通費」や「通信費」なども経費として計上できます。交通費は物件管理のために物件に訪問したときの交通費に限られ、通信費も管理会社とやりとりした通信費に限られます。 また、逆に良く勘違いされがちな「経費に計上できない」費用は以下の通りです。

・不動産売却時の仲介手数料
・測量費など土地や建物売却に伴う費用
・売却時の立退料など
・建物解体費用 上記のほかに、物件の管理に関係ない費用に関しては一切経費としては計上できません。

4.不動産を維持、管理する費用面でのリスク

つづいて、不動産を維持、管理する費用面でのリスクです。不動産投資は一千万円単位の高額な投資になるので、費用面でのリスクは比較的大きいと言えるでしょう。費用面でのリスクとは、具体的にいうと「ローン支払い」のことです。 20年~30年スパンでローンを組むことも多いので、将来的にローン支払い額が上がってしまうというリスクがあるのです。

金利上昇リスク

まず、最も大きなリスクとしては金利上昇リスクです。金利は時期によって変動しますので、借入プランによっては「支払額が変わる」というリスクがあります。また、居住用不動産よりも投資用不動産の方が大きな金額を借り入れることが多いので、金利が上がることによるインパクトは大きいのです。

住宅ローンとの違い

投資用不動産の場合には、住宅ローンを組むことはできません。住宅ローンとは、基本的には「入居用不動産」の購入が前提なので、投資用不動産には適用されないのです。投資用不動産のローンは、一般的には「アパートローン」といったり「不動投資ローン」といったりします。 アパートローン住宅ローンの大きな違いは「金利」です。結論から言うと、アパートローンの方が住宅ローンよりも数倍金利が高いです。たとえば、2017年3月現在でいうと、住宅ローン変動金利は0.5%を切っているプランもありますが、アパートローンは2.8%程度です。 なぜ、ここまで金利差が出るかというと、住宅ローンは「入居用不動産」であり、生活する上で必要なモノを買うからです。一方、投資用不動産は必須なモノではないため金利は高くなります。また、投資用不動産を組む場合には、自分の入居用の不動産も別にあります。 つまり、入居用と投資用の二つの不動産の支払いがあるケースが多いため、アパートローンの方がリスクが高いと判断されるのです。

金利種類について

金利種類は住宅ローンアパートローンも変わりません。具体的には「変動金利」「固定金利選択方式」「全期間固定金利」の3つのタイプです。変動金利固定金利選択方式、全期間固定金利の順番で金利は低くなります。 ただ、変動金利は定期的に金利動向によって金利が見直されます。そのため、金利が上がった場合にはダイレクトに支払い額が増えます。固定金利選択方式に関しては、決まった期間は金利が固定されるプランです。 たとえば、「適用期間5年」であれば5年は金利が変わらずに、その後は変動に切り替えるか改めて固定金利に加入し直すかになります。「全期間固定金利」は、読んで字のごとく借入期間ずっと金利が変わらないプランです。

実際のシミュレーション

たとえば、「借入金額7,000万円 金利2.8% 借入期間25年」の変動金利でシミュレーションしてみましょう。この条件で借り入れを起こすと、月々324,712円がローン支払い額になります。仮に、5年後に金利が2.8%から3.4%に上昇したとします。 その場合には、月々支払い額が342,714円に上昇するので、月18,002円、年216,024円支払い額が上昇します。しかし、固定金利であれば期間中は支払額の変更はありません。

金利を見極める

金利動向については誰にも読むことができません。ただ、金利が上昇したときの「リスクの大きさ」は読むことができます。自分が組もうとしているローンの借入額と年数が分かれば、前項のように金利が上昇したときのリスクも分かります。 そのリスクを計算した上で、多少金利が上がっても問題ない範囲でローンは組みましょう。仮に、全期間固定金利を選んだとしても、支払額ギリギリで組むのはリスクが大きいです。 確かに全期間固定であれば支払額が上昇することはありませんが、先ほどいった「空室」および「家賃下落時」など不動産投資には別のリスクがあるのです。不動産投資は、仮に収益が数か月途絶えたとしても、支払いに問題ない範囲の借り入れにしておきましょう。

借入者の健康リスク

ローンに関してもう一つのリスクが、借入者の健康リスクです。借入者が健康を損ない収入が減少、または途絶えてしまったときにはローンの支払いが厳しくなってしまいます。ローンを組んで投資をすることが多い不動産投資は、その点のリスクも加味しなければいけません。

団信は任意

団信とは「団体信用生命保険」のことです。団信は生命保険であるので、仮に借入者が亡くなったときや高度障害になってしまったときには、その時点でのローン残債は支払われます。しかし、この団信に関しては、住宅ローンでは必須加入ですが、アパートローンは加入が任意になります。 また、団信はあくまで死亡時と高度障害時しか保障されませんので、何かの事情で働くのが困難になっても必ず保障されるというものではないのです。

必要であれば別途保険へ加入

もし、今後収入の減少や途絶える点が心配なのであれば、別途保険に加入する必要があります。今は、収入が途絶えたときに保障してくれる保険もあるので、ニーズに合わせて検討することをおススメします。

5.不動産の売却リスク

osh11455-3 基本的に不動産投資の収益は「賃料収入」です。ただ、不動産の場合には、「売却益」を得ることができるというメリットもあるのです。しかし、投資用不動産の売却と、居住用不動産の売却では根本的な違いがあり、その違いが投資用不動産のリスクとなり得ます。

オーナーチェンジ物件になる

投資用不動産を売却するときには、賃貸中の物件を売却する場合が多いです。つまり、賃借人がいる状態で不動産を売却するということなので、「オーナーチェンジ物件」という扱いになるということです。結論からいうと、オーナーチェンジ物件は以下の理由から、通常の居住用不動産売却より売りにくいです。

・部屋の確認ができない
・用意する資料が多い
・空室になっていると評価が下がる

部屋の確認ができない

まず、オーナーチェンジ物件だと部屋の確認ができません。理由は、単純に賃借人が居住中だからです。賃借人に許可を取れば室内の見学は可能ですが、そもそも賃借人に許可を取ることはほとんどしません。つまり、その物件を購入する人は、室内を見ずに購入しなければいけないということです。 室内の確認ができないと、「室内の劣化具合」を見ることができません。そのため、室内が予想以上に汚れていたり傷ついたりした場合には、退去時の補修費用が予想以上の出費になることがあります。特に、一棟の不動産投資の場合には、複数の部屋があるためリスクは一層大きくなります。 これらのリスクを加味して購入するということは、通常の入居用不動産の相場価格より金額が落ちることが多いのです。これが、投資用不動産を売却するときのリスクになるのです。

資料を用意する

オーナーチェンジ物件を少しでも高く売る方法は、できるだけ正確な資料を用意するということです。特に大事になってくる資料はレントロールと言われる資料です。レントロールとは日本語で「家賃明細表」と言われる資料です。 レントロールには以下の項目が記載されています。

・家賃
敷金
・契約日、契約期間
・賃借人の属性

上記のような項目の記載がありますが、決まったフォーマットがあるワケではありません。ただ、このレントロールを見て、購入者が「どのような物件か?」「リスクはどの程度あるか?」を判断する必要があります。そのため、継続期間が長い居住者がいたり、賃借人の属性が良かったりするとプラスの評価になります。 一方、家賃の滞納があるなど、マイナスの要素があると売却するときにはデメリットになるということです。つまり、今後売却まで視野に入れている場合には、きちんと賃借人の選別をしなくてはいけないということです。

空室になっていると評価が下がる

前項の「内見できない」という点を受けて、「空室の状態のときに売却すれば良い」と思う人もいるかもしれません。しかし、その考えは間違いです。なぜなら、そもそも空室になっている物件を購入検討者は評価しないからです。 もちろん、退去の補修作業やクリーニング作業があるので、1日も空室がない状態というのは中々ありません。しかし、人気物件であれば、せいぜい1~2週間の間には修繕などをして次の入居者を迎えます。 不動産の売却には数か月かかりますので、空室になっている時点で「人気がない物件では?」と思われてしまうのです。

「3,000万円の特別控除」が使えない

投資用不動産を売却するときは、「3,000万円の特別控除」が使えないという点もリスクになります。 特に、入居用不動産の売却を経験している人は、「3,000万円の特別控除」が使えることによって税金がほぼ発生しないことを知っています。「3,000万円の特別控除」とは、簡単にいうと「譲渡所得から3,000万円控除します」という税制優遇です。つまり、不動産を売却して利益がでても、利益が3,000万円以下であれば税金はかからないということになります。 入居用不動産を売却して3,000万円の利益が出ることはほとんどありません。 そのため、入居用不動産の売却時には、基本的に非課税ということです。

譲渡所得税について

不動産を売却して利益が出たときは「譲渡所得」になり、譲渡所得税が課税されます。この譲渡所得税は以下のように高い税率になるのです。

・長期保有:所得税15%(復興特別所得税2.1%)、住民税5%
・短期保有:所得税30%(復興特別所得税2.1%)、住民税9%

長期保有とは5年以上物件を保有した状態で、短期保有とは5年未満の保有の場合です。仮に投資用不動産を売却して2,500万円の利益(譲渡所得)が発生したとします。そのときは、長期保有であれば約508万円、短期保有であれば約991万円の譲渡所得税がかかります。 譲渡所得税がかかるということは、利益が出たということなので、損をしているワケではありません。しかし、「3,000万円の特別控除が使えない」という投資用不動産ならではのデメリットもあるので、譲渡所得税率が高い点を認識しておく必要はあります。

6.賃借人とのトラブルリスク

つづいて、賃借人とのトラブルリスクです。不動産投資は、「賃借人」という第三者がいます。また、マンションやアパート経営の場合、集合住宅という特性上、賃借人同士のトラブルもあり得るのです。これは、株やFX、債券などにはない不動産投資ならではのリスクと言えるでしょう。

家賃滞納リスク

家賃滞納リスクは、不動産投資の中で最も厄介なリスクの1つと言えます。家賃を滞納するだけならまだしも、滞納した状態で居住し続けるというケースもあるからです。滞納をしているからといって、滞納した瞬間に入居者を追い出すことはできません。 賃借人は「借地借家法」という法律に守られているので、たとえ家賃を滞納しても、ある程度の期間が経たないと立ち退きさせることはできないのです。

家賃回収は代行会社へ委任

家賃を滞納されたときに最も重要なことは、即日家賃の回収に行くことです。賃借人からしても、どの程度家賃の回収をしてくるかで態度が変わってきます。極端な話、家賃滞納から数週間経って、やっと書面で連絡が来る程度であれば甘く見られてしまいます。 そうなると、結局滞納した家賃は支払われず退去になったり、そもそも先ほどいったように立ち退きまでに時間を要してしまったりする場合も少なくありません。 そのため、家賃回収に関してはノウハウがあり、回収業務に慣れているプロの業者にお願いしましょう。仮に、一室の不動産投資だったとしても賃貸管理業者に家賃の回収はお願いした方が無難です。

滞納保障のある賃貸管理会社を選定

また、賃貸管理会社によっては「滞納保障」というプランがあります。このプランは、家賃を滞納されたときも、賃貸管理会社が家賃を保証してくれるプランです。ただ、滞納保証をする代わりに手数料を支払う必要があるので、収益自体は減額になるという点はデメリットになります。

賃借人の選定の厳格化

また、賃借人と賃貸借契約を結ぶかは、最終的にはオーナーが判断します。しかし、実際には仲介業務を依頼している不動産会社の審査が通った賃借人は、ほぼ無条件で賃貸借契約を結ぶケースが多いです。 しかし、家賃滞納のリスクヘッジをするのであれば、オーナーの視点から賃借人を絞り込むのは大切です。絞り込みすぎると空室リスクにつながりますが、たとえば「属性」の指定をして雇用形態や年収制限などを設けるなどの対応は効果的です。

敷金トラブル

家賃滞納の次は敷金に関するトラブルリスクです。敷金とは、そもそも賃借人が居住しているときに付けた傷や汚れを原状回復するために預かっている費用です。そのため、賃借人が部屋から退去するときには、立ち合いの元、敷金から補修費用を差し引いて返還します。 仮に、補修費用が敷金を上回れば、追加で補修費用を請求するという流れになります。敷金トラブルに関して覚えておくべきことは「原状回復の定義」です。

原状回復の定義

一般的には、原状回復とは「賃借人が入居前の状態に戻すこと」と思われがちです。しかし、国土交通省が発表しているガイドラインには以下のように定められています。 「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」※7より引用 つまり、賃借人は経年劣化による室内の傷や汚れは補修する義務はないのです。経年劣化のよる傷や汚れとは具体的には以下のような傷や汚れを指します。

・日常生活によって生じた床の傷や汚れ
・冷蔵庫裏のクロスの汚れ
・普段使いによるコンロの汚れ


※7国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

立ち合いによるチェック

上記のような汚れ・傷は賃借人が原状回復する義務はないため、実はほとんどの場合賃借人は補修する必要がありません。もちろん、明らかに賃借人の過失による傷・汚れは賃借人が原状回復をしなければいけません。 しかし、その傷や汚れが過失かどうかの判断をするのが難しく、「この傷や汚れはわたしの過失ではない」と言われてしまうと、中々原状回復費用を請求できないのが現状です。

立ち合い業者への依頼と特約

これも、上述した「家賃滞納」と同様で、プロである立ち合い業者に依頼しましょう。立ち合い業者であれば、なぜその傷や汚れが賃借人の負担になるのかをきちんと説明することができます。一度持ち帰ってしまうと時間がかかりますので、その場で賃借人とやりとりをすることが大切です。 また、賃貸借契約を結ぶときに「特約」を結ぶという方法もあります。たとえば、「退去に伴ないクリーニング代として一律3万円請求させてもらう」というような内容の特約です。特に、ペット飼育可のマンションは傷・汚れができやすいので、特約でリスクヘッジするという方法は効果的です。

近隣同士のトラブル

また、集合住宅の特性上、近隣同士のトラブルが発生することもあります。基本的には管理規約に「入居者同士のトラブルは入居者同士で解決していただく」という文言があるケースが多いですが、オーナーにまで飛び火するケースも少なからずあります。 たとえば、「タバコの煙」に関してのトラブルであれば、「共用部のルール変更」を求められるかもしれません。その場合には、賃貸管理会社だけでは判断できないため、最終的にはオーナーの判断になります。その判断基準としては、「トラブルの大きさ」「処理した後のトラブルの拡大具合」「近隣物件の動向」という3つの要素が大切になります。この点は、管理会社のノウハウが試されるところなので、管理会社は管理物件数が多くノウハウが豊富な会社を選ぶことがリスクヘッジにつながります。

7.空室保証のトラブルリスク

osh11455-4 つづいて、空室保証という管理形態にした場合のトラブルリスクです。最近では、この空室保証というプランを選択するオーナーも多いですが、しっかり仕組みを理解していないことによるトラブルが多いのも事実です。もし、空室保証にする場合、もしくは既にしている場合には、以下の点は必ず理解しておきましょう。

空室保証とは?

そもそも空室保証とは、先ほどの滞納保証と似ており、「空室で賃料を保証してくれる」という賃貸プランのことです。空室保証という言葉以外にも「一括借り上げ」や「サブリース」とも呼ばれます。この3種類は、厳密には少々意味合いが異なるのですが、一般的には広義として同じ意味として扱われます。 空室保証契約を結ぶときには、まず賃貸管理会社とマスターリース契約という契約を結びます。マスターリース契約とは、賃貸管理会社が賃借人となる賃貸借契約のようなものです。その後、賃貸管理会社が一般個人の方を募集して、その一般個人の方と賃貸借契約を結びます。 つまり、賃貸管理会社はオーナーから借りた物件を一般個人に又貸しするということです。オーナーからすると、一般個人の賃借人が賃付けできなくても、賃貸管理会社とマスターリース契約を結んでいるので家賃は支払われるのです。 ただ、空室保証してくれる賃貸管理会社に、賃料の10%前後の手数料を支払う必要があります。空室時にも家賃は保証されますが、その手数料を計算した上で空室保証にするかは判断しましょう。

空室保証のリスク

また、空室保証契約を結ぶときには、以下2つのリスクがあります。

・家賃下落リスク
・強制解除のリスク

この2つのリスクは不動産業界では大きなリスクとなり国土交通省も規則を変える※8ほどの大きな出来事になりました。しかし、この2つのリスクについては、空室保証契約の内容をしっかり理解していればリスクヘッジできる内容です。
※8国土交通省 「賃貸住宅管理業者登録規程」及び「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正

家賃下落リスク

家賃は下落するリスクがあります。厳密にいうと、家賃が下落する可能性は通常の賃貸時よりも空室保証契約時の方が高くなります。理由は、空室保証契約の仕組みにあります。 空室保証契約は、賃貸管理会社からすると絶対に空室にしたくありません。賃貸管理会社は家賃の10%程度の手数料しかもらっていないので、1か月空室になっただけで10か月分の手数料収入がなくなるからです。つまり仮に2か月、空室になったら、その分の支払った家賃を保証するのに20か月の回収期間が必要になるというワケです。 厳密にいうと保証金などの取り扱いルールが賃貸会社によって異なるため、上記とは限りませんが、説明上、賃貸管理会社の収益は「家賃10%程度の手数料」という前提の話です。 そのため、空室リスクが高まったときには、賃貸管理会社は家賃を下げるという選択を真っ先にとります。空室対策は色々とありますが、一番手っ取り早いのが家賃を下がることだからです。当然ですが、家賃が下がればオーナーの収益が減ってしまいます。

契約解除リスク

空室保証契約をするときには、「10年保証」など長期間空室保証するかのような謳い文句が多いです。しかし、10年保証と謳っていても、2年程度のスパンで賃料の見直しが行われることが多いです。そこで賃料の見直しに応じない場合には、強制的に空室保証契約が解除される場合があります。空室保証契約は、このような「賃料の改正がある話は聞いていない」というトラブルが多いのです。このようなトラブルが多いため、先ほどのルール改定※8が行われたという背景があります。 ルール改定の内容を簡単にいうと「将来的に家賃が下落する可能性がある旨をオーナーに必ず伝える」という内容です。 このルール改定ができてから、空室保証を行っている賃貸管理会社の多くは、上記の説明を行った旨を賃貸借契約とは別紙で取得するようになりました。

空室保証契約を締結する場合の注意点

結論から言うと、まず空室保証契約を結ぶときには、将来的に家賃は下落する可能性が高いと思っておきましょう。下落した家賃を加味したとしても利益が上がらないとリスクが大きく過ぎます。その下落した家賃のシミュレーションは、周辺物件の下落率から算出する良いです。

情報収集

まず、空室保証契約を結ぶ不動産会社を含め、できれば複数社に「周辺賃料相場」のデータを出してもらいましょう。なぜ複数社かというと、データが多いに起こしたことはありませんし、意図的にデータを絞られると正確なデータを抽出できないからです。 賃貸管理業者であれば、周辺の相場データはたくさん保有しているはずですし調べることは容易です。提出してもらうデータは以下の通りです。

・物件住所
・物件規模(棟数、広さ)
・家賃
・築年数

これらのデータをエクセルなどで出した後、必ず㎡単価で賃料を算出しましょう。たとえば、35㎡13万円の家賃であれば㎡単価は3,714円(13万円÷35㎡)です。このデータを築年数ごとに並べて、築年数が経つごとにどの程度家賃が下がっているかの「下落率」を算出するのです。

自分の物件と照らし合わせる

前項で下落率を算出したら、次は自分の物件に照らし合わせます。たとえば自分の物件が月々10万円の家賃で、下落率が年1%だとします。その場合、通常は年間の家賃収益が120万円ですが2年目の家賃収益は118.8万円(120万円×99%)になります。 さらに、空室管理の手数料の10%(12万円)が差し引かれれば、1年目の年間収益は108万で、2年目は106.8万円です。この金額に、上述した「経費」を加味して、利益がどの程度になるかをシミュレーションするのです。 このように、10年~20年程度の長期間でシミュレーションをして、家賃が下落して、なおかつ家賃保証の手数料を支払っても利益が上がることを確認します。その上で、利益が出るようであれば、空室保証のリスクは小さいといえます。 空室保証契約の場合には通常の賃貸借契約のときよりも一層、家賃の下落リスクは加味して考えるべきなのです。

8.災害関係のリスク

さいごのリスクは災害関係のリスクです。何度もいうように、不動産は実物資産であるため、災害に関してはほかの投資に比べるとリスクが大きくなります。災害とは、具体的には地震と火災、そしてその他水害などのことを指します。

地震リスクと対策

ご存知の通り日本は地震対策ですので、建物が地震対策をどの程度しているかは重要です。不動産における地震対策は、「いつ建てられたか」と「構造」をチェックすることで分かります。「いつ建てられたか」については旧耐震か新耐震かをチェックします。また、「構造」に関しては「耐震」か「制振」か「免震」かをチェックします。一棟の不動産投資の場合には、この3つの構造のうち、どの構造を採用するかを決めます。

旧耐震と新耐震

旧耐震と新耐震とは、建築基準法が古いときに建てられたか、新しく改正された後に建てられたかということです。1981年に建築基準法が改正されたので、1981年を境に旧耐震か新耐震かに分かれます。 1981年以前に建てられた旧耐震物件に投資するのはリスクが高いということです。 そもそも、新耐震ができたキッカケは、1978年に宮城県沖で起きた地震被害です。この地震により倒壊した建物があり、多くの人命が奪われたため「震度6以上でも倒壊しない住宅」という基準で新耐震が誕生しました。 特に今はリノベーションが流行っているので、内装がキレイな築古物件は存在します。築が古くても需要があれば良いのですが、旧耐震は避けた方が良いです。ネットで調べれば旧耐震のリスクは一般個人でも簡単に把握できるはずですので、旧耐震という物件だけで敬遠されるリスクがあります。

構造

先ほどいったように地震には「耐震」「制振」「免震」の3つの構造があります。これは主に鉄筋コンクリート造のマンションの話です。 耐震は柱や梁で地震に「耐える」構造になります。制振は、建物内部にダンパーを施すことによっては、揺れを吸収するという地震対策になります。一方、免震は地盤と建物をつなぐ基礎部分を分離させることによって、地面の揺れが建物に届きにくくするという構造です。 免震、制振、耐震の順番で地震には強いといわれており、同じ順番でコストが高くなります。湾岸エリアなど、地震を気にする人が多いエリアでなければ、耐震構造のマンションで十分です。 この3つの構造のどれを選ぶかでコストが大きく変わってくるのと耐震構造でも大地震で倒壊しないという高い基準を保っているのです。

地震対策

地震対策に関しては、上述した「旧耐震物件は避ける」という点と「構造を理解する」という点がまず重要です。しかし、そのほかにも以下の点に注意して地震対策を行いましょう。

・エリアの情報収集
・投資エリアの分散
・地震保険への加入

エリアの情報収集

地震への対策は、まずそのエリアの地震危険度をチェックしましょう。役所へ行くと、地震による建物の倒壊危険性などのマップをもらえます。また、液状化予測図などを用意している自治体もあるので、その資料を手に入れましょう。 ネットでも、資料は手に入ります。東京都の資料「東京都中央区 中央区における津波および液状化について」※9 また、地震に関しては地震ごとに詳しい資料が、内閣府より出典※10されています。
※9東京都中央区 中央区における津波および液状化について
※10 内閣府 防災情報のページ

投資エリアの分散

また、複数の不動産投資をする方は「投資エリアを分散」させるという対策もあります。エリアによって地盤の固さが違うので地震被害の想定も異なります。そのため、前項で解説した災害マップを見ながら、各地に分散して投資するようにしましょう。

地震保険への加入

先ほどいったように地震保険は任意加入になります。原則は、火災保険に付保する保険になるので、火災保険に加入していないと地震保険にも加入できません。また、地震保険は火災保険よりも保険料は高くなり、保険金の上限も決まっています。 そのため、地震保険に加入するかはエリアと物件によって判断しましょう。仮に、上述したようなデータから、地盤も強く地震対策もばっちりな物件には、わざわざ地震保険を付保する必要はないかもしれません。 また、複数物件所有している場合には、全ての物件に地震保険を付保する必要はないと判断することもあります。このように、物件のエリア特性や物件の所有数などを加味した上で、地震保険への加入は判断しましょう。

火災リスク

火災リスクに関しては、特に木造アパート経営の場合には注意しましょう。木造だと1部屋で火災が発生すると、ほかの部屋への延焼が早いです。そのため、火災リスクをヘッジするなら、そもそも鉄筋コンクリート造のマンションへ不動産投資することです。 もちろん、鉄筋コンクリート造のマンションでも火事は起こり得ますが、延焼するリスクは木造アパートよりも遥かに小さいです。または、アパートを建築するときも多少コストは上がりますが、軽量鉄骨造にするなども火災対策になります。

エリアを考える

火災リスクを避ける対策としては、火災が発生しにくいエリアにすることです。たとえば、以下の点に注意してエリアを選ぶと火災リスクは軽減できます。

・緊急車両が入れる道幅に接道している
木造密集地帯は避ける

万が一火災が発生しても、消防車がきちんと消火活動をしてくれれば、延焼するリスクは軽減できます。そのため、消防車や入りやすく消火活動しやすい、大きな道路に接道していることは火災リスクを軽減する重要なことになります。また、戸建て街などの木造密集地帯を避けることも大切です。仮に、自分の物件では火災が発生していなくても、周辺の物件が火事になれば延焼する可能性はあります。このような「エリアごとの火災危険度マップ」についても、各自治体は作成しているので、最寄りの役所のホームページを見てみましょう。

設備やルールを工夫する

ほかに火災リスクを軽減する方法としては、建物設備やルールを工夫することです。 具体的には以下のようなことを実施すると火災リスクは小さくなります。

・全部屋IH採用
・共用部および敷地内を全面禁煙
・ゴミ出しは時間制限を設ける

総務省消防庁の資料※11によると、火災の原因は1位がタバコの不始末で、5位がコンロとなっています。そのため、ガスではなくIHを採用することで、火災リスクは大きく下がります。1Rの部屋であれば、1口の電気コンロでも問題ありません。「タバコの不始末」は火災原因の1位なので、共用部と敷地内を禁煙にすることで、火災リスクを小さくできるのです。 また、「放火および放火の疑い」という理由も火災理由全体の20%を占めています。出火場所まではデータでありませんが、ゴミに放火するケースが多いとすると、ゴミ出しの時間を区切るのも火災リスクを軽減するのには効果的だと考えられます。 たとえば、24時間ゴミ出しOKだったのを、「ゴミ出し日前日の18時~当日9時まで」のように時間を制限するということです。
※11総務省 消防庁

まとめ

このように、不動産投資は実物資産ならではのリスクもあります。しかし、実物資産であるので、次の日に価値が30%落ちるリスクは極めて低いですし1年で資産が半分になるリスクもほぼないでしょう。一方、株などの投資は1年間で資産が半分になるリスクは大いにあります。 不動投資は、投資の中では珍しく「賃料収入」という安定収入があります。もちろん空室リスクもありますが、安定的に利益が上げられる投資という大きなメリットもあるのです。 そのメリットを最大限に生かすために、上述したリスクは良く理解した上で投資に臨みましょう。

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