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不動産投資における自己破産リスクと対応策 

中林準

中林準

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不動産投資には様々なリスクがあります。そういったリスクが発生した時に対応できなかった場合、何が起こってしまうかというと、最終的には自己破産となります。私はこの自己破産というのが不動産投資における最悪の結果だと考えています。

自己破産という最悪の結果にならないためには、不動産投資においてどういったリスクが存在するかを把握することが重要です。どういったリスクがあるか分からなければ対応すらすることができません。

ただし、何事もそうですが利益が発生している限り必ずリスクはあります。

それはどんなビジネスでもそうです。ある程度のリスクを背負っているからこそ利益を享受することが出来るということは忘れずしていただきたいと思います。つまり、どんなリスクも完全にゼロにすることはできません。問題はどれだけ軽減することが出来るかということです。

そういった前提で、本日は自己破産に至る可能性のある主なリスクについてお伝えしたいと思います。私の不動産投資仲間で実際に自己破産しまった方もおりますので、そういった実例も含め、できる限り具体例を出してご説明したいと思います。

目次

1 . 経営難易度が高い物件を購入してしまうリスク

不動産仲介業者の説明に惑わされるリスク

まずは、何といっても自分自身では気付かずに「経営難易度の高い不動産」を購入してしまうリスクです。

これをリスクと申し上げているのは、不動産投資の知識や経験がない初心者の方が惑わされる要因が不動産投資購入という入口の場面で多くあるからです。

まずは、不動産仲介業者の説明です。彼らは売買仲介を行うことにより上限で物件価格の3%+6万円を売買仲介手数料としてもらうことができます。この仲介手数料の捉え方が仲介業者によって異なります。

ある仲介業者はこれだけ大きな仲介手数料をいただくのであれば責任を持ってあらゆるリスクを説明して、納得していただいた上で買主の方に購入いただこうと考えます。しかし、そういった善良な仲介業者だけではなく、普通にリスクを説明してしまったら購入してくれないので、買主の購入意欲が下がってしまうようなことは言わずに仲介手数料だけもらって、その後のフォローは全くしないと考える仲介業者もいます。

ここで、実際に私の身に起きた事件をお伝えしたいと思います。

過去に区分所有マンションを購入した時の話ですが、区分所有マンションを購入すると通常、管理費と修繕積立金を支払わなければなりません。管理費は定期清掃や定期点検、管理組合の管理等通常の管理に対して支払う費用、修繕積立金は将来の大規模修繕工事に備えて積み立てているという性質の費用です。

従い、区分所有マンション購入後のキャッシュフローにこの管理費と修繕積立金は大きく影響してくるので、かなり重要な情報となります。

宅建業法上、購入前に宅地建物取引士が買主に重要事項説明書という購入する不動産の概要が書かれたものを説明しなければならないという決まりがあります。この取引もその重要事項説明書を使用してその不動産の説明がなされましたが、その時に説明された修繕積立金は20,000円でした。この金額は物件購入の際に参考にした販売図面に記載の金額と同じだったので、特に疑問を持たなかったのですが、購入後初めて届いた修繕積立金の通知金額を見て驚きました。

なんと、金額が40,000円になっていたのです。

何かの間違いと思い、物件の建物管理会社に連絡してみたところ、ちょうど私が所有した月から修繕積立金が2倍になったということでした。この物件、もともとは建物管理会社もなく管理組合で自主管理をしていたらしいのですが、築年数40年を超えてきたあたりから、自主管理ではどうにもならないということで、大手建物管理会社に管理の委託をし、その大手管理会社が、今の修繕積立金では到底間に合わないので、2倍に引き上げたということでした。

この事実自体はどうしようもないのですが、問題は売主がそれを知っていたかどうかです。

こういった大きな決断は必ずマンションの管理組合で多数決を取るわけですが、この修繕積立金の件に関しても過去の議事録が残っていました。私が購入した部屋の方も議決権を行使していたのですが、私が直接購入した売主ではなかったのです。登記簿を見る知識すらなかった私も悪いのですが、前の前の所有者→売主→私という流れで物件の売買がなされ、私の直接の売主はたった1か月弱所有して売却したという記録が登記されていました。

売主は議決権を行使していないものの、建物管理会社の担当曰く、その売主の業者に修繕積立金が引きあがるという通知は郵送しており、返送されなかったことから絶対にその売主の業者には届いているという話でした。つまり、知っていたにもかかわらず、私に告知しなかったという可能性が非常に高かったということです。

ちなみに、宅建業法上では、業者が売主で買主が業者でない場合、売主から買主に重要な事実を告知しなかった場合は1億円以下の罰金を科するという規則となっています。しかし、実際に訴訟するとなるとそれなりの費用もかかりますし、時間もかかるため泣き寝入りになるパターンが多いと聞きます。

私の場合は、糾弾書という形で書き物で通知したり、簡易訴訟をしようと試みたりしましたが、海外駐在に出発する時期と重なり、結局は泣き寝入りとなりました。しかし、それはそれで致命傷を負わないレベルで騙された経験を積めたので、経験値が上がったという意味でポジティブに捉えています。

上記は私が経験した1つの例ですが、皆さんにお伝えしたかったことは、みんながみんな善良な仲介業者ではないということです。彼らは仲介手数料という報酬を得るために、自分たちにとって都合の悪いことは言わないことも多くあります。それを見破るためには、自分の知識を高め、経験を積んでいくことしかありません。決して仲介業者任せにしないようにご注意下さい。

無数にある情報に惑わされるリスク

次は、この不動産投資市場が過熱していることに伴い、ネットや書籍での情報が氾濫している点です。ある人は中古の戸建が良いと言ったり、ある人は新築で勝負すべきだと言ったりある人は地方物件が良いと言っているので、何が自分にとって何が一番良い投資手法なのかが分かりにくい状況となっています。

 経営難易度の高い不動産を購入してしまうリスクとして良くあるのが、表面利回りが高いと思って物件を購入したところ、実はその満室想定家賃収入を得るなど夢のまた夢の状況で、むしろ赤字になってしまうぐらい経営が厳しいというパターンです。これはそもそもの投資リスクとリターンの関係性を理解していないからこそ起こってしまう失敗だと私は認識しています。

 私は本業の方では財務・経理マンとして勤務していますが、投資案件の査定を行うことがしばしばあります。その際に将来の計画キャッシュフローを現在の価値に置きなおして、それが投資する金額よりも大きければ投資実行、小さければ投資を実行しないという指標を作ります。これはファイナンス用語では割引現在価値と言っているのですが、リスクが高ければ高いほど、割引に使用するレート、いわゆる割引率を高くします。

例えばですが、同じ不動産投資であっても、日本で実行するのと、フィリピンで実行するのは大分リスクが異なります。仮に日本であれば、リスクレートが2%、フィリピンであればリスクレートが8%だとしましょう。

 日本で500万円投資して、5年後に600万円返還される案件と、フィリピンで500万円投資して5年後に700万円返還されるという案件を現在価値に置きなおした場合は以下の通りとなります。

 日本の場合 600万円 × 1 / (1.02) = 543万円
フィリピンの場合 700万円 × 1/ (1.08) = 476万円

初めて割引現在価値という言葉を聞いた方は上記の1 / (1.02)?と1/ (1.08)?の意味が理解できなかったかもしれませんが、これが割引率となります。割引率が高くなればなるほど、また、将来先のことであればあるほど、割引率は高くなり、現在価値は小さくなります。

 上記の場合でいえば、5年後に受け取れる予定の金額的に言えば、フィリピンの投資案件の方が大きいわけですが、リスクを考慮すると、日本の投資案件の方が現在価値は高いということになります。

 リスクレートに関して深い言及をすると、話がそれてしまうので今回は控えますが、ここで申し上げたいことは、将来の収入に対して物件価格が安いということは、それだけ購入後のリスクが高いと市場は見ているということになります。

この考えは不動産投資にも応用することが出来ます。

地方物件と都心物件に関して、地方物件の方が将来の経営リスクが高いからこそ想定家賃収入に対する不動産価格が割安になります。結果、地方物件の方が表面利回りは高くなります。

 同じ都心の物件であっても、一方は築年数が40年超のもの、一方は築年数が10年程度のものであれば、保有後のリスクがより高い築年数40年超のものの方が想定家賃収入に対する不動産価格が割安となり、結果表面利回りは高くなります。

 不動産価格が、必ずしもこのリスクとリターンのバランスで決まっているわけではないのですが、表面利回りだけで物件のよしあしを判断してしまい必要以上の経営リスクを負ってしまう人に対しては、まずこの基本的なリスクとリターンのバランスと不動産価格へのどのように反映されていくのか?という部分を理解しておく必要があります。

 その上で、何が一番リスクになり得るかというと、表面利回りが高い背景を知らずに、その裏に隠れている保有後のリスクを知らずに購入してしまうことです。

 例えば、良くある話が下駄履き物件と言われる物件を購入してしまい、購入後に苦労してしまうパターンです。

この下駄履き物件は健美家や楽待といった投資物件ポータルサイトでも良く見るのですが、1Fが大きな店舗、2Fより上が住居という1棟物件です。

 こういったタイプの物件、表面利回りは高く見た目は良いのですが、1Fの店舗の家賃収入の割合が高く、もし1Fの店舗が長期間空室になってしまった場合、場合によっては赤字になってしまうケースもありますし、そもそも住居と店舗ではニーズが異なります。

 例えば、都心であれば最寄駅から徒歩10分以内の距離であれば、物件に大きな問題がない限りはそこまで苦労することなく、住居の入居者付けをすることできます。また、住居であれば、最悪家賃を下げれば決まることが多いということもあります。

 一方、店舗の場合は、最寄り駅から徒歩10分でも、決まらない場所は決まらないと聞きます。また、本当に需要のない立地だと、どれだけ家賃を下げても決まらず、平気で半年、1年と空室になってしまうことも良くあるという話は賃貸管理業者から聞くことが多いです。

 まだ店舗としての需要がある立地であれば問題ないと思いますが、一般的に表面利回りが高くなっている下駄履き物件は、仲介業者の間で購入しようという業者が出なかった、いわゆる余りもののため、基本的にその後の経営リスクは高いケースが多いのです。

 また、立地はあまり宜しくない、最寄り駅から20分の都内近郊物件ですが、近くに工場や大学等があり、その従業員や大学生で賃貸需要があるような物件も一般的には危険です。

 こういった物件は立地があまり良くないので、表面利回りが高くなる傾向がありますが、近くの工場が閉鎖したり、大学が移転した場合など、急に賃貸需要がなくなりその後の経営が厳しくなるケースがあります。一見すると、表面利回りも高いし、現況満室だし、良い物件だなと考える方もいるかもしれませんが、何かに頼らなければ経営が成り立たないような物件はその何かが崩れる可能性もあることを考えると危険な投資だと考えます。

 上記の下駄履き物件と特定の賃貸需要に頼った物件は数あるケースの内の2つの例なので、まだまだ多数こういったケースがありますが、大事なことは購入するときにそういった保有後のリスクをしっかり把握できているかという点です。

 その上で、そのリスク対応が可能かどうかを考えて購入に至るというのが正しい過程です。

 問題なのは、最近不動産を購入する方は、表面利回りが高い物件の裏に隠れているリスクを認識せずに購入し、購入後にそのリスクに気付くというケースです。

 成功している大家の方を見ると、このリスクを認識しているのはもちろんのことですが、そのリスクに対して対応できる幅が広い方が多いです。例えば、誰も購入しないようなオンボロ物件があるとします。築年数も経過しており、物件自体も相当劣化が激しくなっているのがリスクありということで、表面利回りが高くなるのが通常です。

一般の方が普通にリノベーション業者に依頼した場合、それなりのコストが発生してしまうので、結局投資案件としては実行に移せないのですが、そのリノベーション自体を自分でできるノウハウがあれば、リスクを小さくすることが出来ます。

 そのようにして、リスクを自分の経営手腕で最小リスクにして、より多くのリターンを得るという投資手法で規模を大きくされた方もいらっしゃいます。ただ、ここまでは一般の人はできないでしょう。

どのようにして自分自身でリスクをリスクと認識できる知識を積んでいくかというと、多くの業者と話をして、多くの書籍や情報を仕入れ、できる限り自分自身で動くことでしかないと私は思います。

 最初にお願いした仲介業者が運よくかなりサポート的で知識もある方で、その後の経営で困難になることはなかったという可能性もあります。しかし、そういった仲介業者にあたる確率の方が格段に少ないこの不動産業者、やはり自分の身は自分で守るという意識は強く持つべきだと思います。

 そのためにはまずは「量」をこなすべきでしょう。

入口の物件購入のところで転ぶとその後長い苦悩が待っていると考えると、購入する前の段階で苦労しておく。それがこの不動産購入で失敗するリスクを少なくする近道だと私自身は考えています。

2 . 滞納リスク

滞納が賃貸経営に与える影響

そして、次は滞納リスクです。

発生する頻度と発生した場合のダメージを考えると、この滞納リスクは購入後のリスクの中でも最大のリスクの1つだと私自身は認識しています。

私自身、この滞納リスクに対してもともとは甘い考えを持っていました。

滞納リスクをする人なんてほとんどいないのだから、そこまで心配する必要なんてないと。

しかし、不動産投資を始め、多くの不動産投資家にお会いしていく中で、滞納され、夜逃げされたという経験を持つ方が相当数いて、今は他人事ではなくなっています。まずは、滞納リスクが起こった時にその後の賃貸経営にどういった影響を与えるかについてお話ししたいと思います。

当たり前のことですが、家賃収入が減ります。これは容易に想像できると思いますが、通常の空室と大きく異なるのは、その間入居者募集すらできないことです。最悪、倫理観のかけらすらない入居者に半年、1年居続けられると、その間のローン返済は自分の持ち出しとなり、最悪自己破産に至ります。

であれば、強制退去させれば良いのではないか?とお考えの方もいらっしゃると思います。それは私も思うのですが、宅建業法上では、入居者が家賃支払いの意思を示しているにも関わらず、暴力的行為で退去に持ち込むことは禁じられています。家賃を滞納しておいておかしな話だと思うのですが、法律は弱者を守るという前提で作られており、この場合、入居者=弱者、大家=強者ということで、入居者の権利が保護されているという背景です。

従って、滞納は一旦発生してしまうと長引く可能性があります。滞納が発生しないようにいかに審査をするか?または、滞納が発生したとしても、家賃保証を受けられるようにすることが重要となります。

もう1点、税務上の処理で厄介なことがあります。

それは、この滞納されている期間は家賃収入として利益計上しなければならない点です。

この滞納家賃について、税務上は将来もらえる権利はまだあるという見方をします。

では、その権利が消滅するのはどういったタイミングになるのか?というと、裁判で判決が出て権利関係が確定した時というのが一番納得のいくタイミングです。または、夜逃げ後1年経っても音信不通となり、交渉ができないということを証明できれば、権利の消滅として申告できることもあります。

ただ、少なくとも入居中で入居者が支払うと言っている限りは、その滞納期間がたとえ半年であっても、1年であっても、利益として計上しなければならないため、その分、税金の支払いが増えてしまうことになり、家賃も入ってこないし、税金も支払わなければならないという二重苦を抱えることになります。

とは言っても、実際に滞納されたことがない方は、滞納されるというイメージがつかないかもしれません。ということで、私の元不動産投資仲間に実際起こった滞納エピソードをお話ししたいと思います。

本当にあったモンスター入居者滞納事件

彼は約6年前に板橋区のデザイナーズ区分所有マンションを購入しました。

彼は不動産投資の知識はほぼなかったのですが、独立意欲が旺盛で、友人を通じて紹介された不動産コンサルタントの方を通じて不動産投資を始めました。

上記のマンションは空室で購入したので、まずは空室募集をしなければなりません。

ということで、彼はその不動産コンサルタントに紹介してもらった賃貸仲介の方に募集をお願いし、かつ、自分自身でもmixiを通じて入居者募集を開始しました。すると、1週間程度経ったところで、2名の申し込みがありました。

1人は賃貸仲介を通じて申し込みをしてきた男性の医者でした。属性的には全く問題なかったのですが、家賃の減額を要求していきました。もう1人はmixiを通じて申し込みをしてきた40歳の自称個人事業主の女性でした。彼女は家賃の減額は要求してきませんでした。ちなみ、その女性の収入証明は確認できたとのことでした。

彼は不動産投資家となり間もないことから、滞納の怖さを知らず、滞納リスクの一番高い自営業者であるにも関わらず、家賃減額の要求をしてこなかったこと、自分自身で募集してそれに申し込みをしてくれたことに対する親近感から、40代女性自営業者の方を入居者として選択しました。

ここからが滞納地獄の始まりでした。

その女性入居者は入居初月より家賃を滞納しました。

口では支払うという意思表示をしていたので、最初はそこまで危機感を持っていなかったのですが、それが2か月、3か月と続き、さすがに彼もしびれを切らして色々と家賃支払いの催促をしました。

まずは、家賃支払いを催促する手紙を定期的にポストに投函しました。

しかし、効果はなし。

次に、マンションのインターフォンを押しての催促も試みたのですが、明らかに電気メータ―が回っているのにも関わらず、無視され続けたということでした。随分、図太い女性ですよね。初月から一貫して家賃を支払っていない時点で、おそらく確信犯だったのでしょう。

次に、仲介会社の担当者をマンションエントランスで待たせ、その女性と直接話をするという方法。なんとか直接話をすることが出来たらしいのですが、必ず支払うのでという一点張り。そのように支払いの意思表示をされている間は、暴力的行為には移せないので、強い口調で支払いをお願いするレベルまでしかできません。

しかし、ここまでやってもその入居者は滞納を続けました。結果的には、7か月程度滞納をされたということでした。もちろん、その間のローン返済は自分の持ち出しです。

しかも、最後が衝撃的でした。

彼女は夜逃げをして去っていったのですが、そのデザイナーズマンションのウリの1つであった部屋備え付けの全自動乾燥洗濯機をぶち抜いて持っていってしまったというのです。

さすがにこれは刑事事件だということで、警察に調査をお願いし、彼女の転居先を突き止めました。しかし、彼女はその全自動乾燥洗濯機を持っていったのは自分ではないと主張し続け、物的証拠がない彼は長い期間頑張って交渉を続けましたが、結局は泣き寝入りすることになってしまいました。

彼は最初の入居者でこれだけ激しい滞納者の被害にあったことにより、精神的に自暴自棄となってしまい、紆余曲折はありましたが、最終的に自己破産をしてしまいました。年齢的には私と同じ25歳で不動産投資を始め、28歳の時に自己破産です。ちょっと怖い話です。

この話を直接彼から聞いて、滞納に対するリスク意識がかなり強くなりました。

それまではそこまで属性審査の細かい部分までチェックしていなかったのですが、この出来事が起こってからは、できる限り細かい部分まで目を通すようにしています。

この事件から学ぶことはたくさんあります。

まず、彼は明らかに属性の悪い自営業者を選んでしまったことです。

これを差別発言ととっていただきたくないのですが、私の周りで滞納された経験のある不動産投資家は、ほとんどが自営業者の方に滞納をされています。銀行の融資審査の際、最も属性が低いのは自営業者と言われていますが、こういった事実からそのようになっているのだと思います。

次に、家賃保証会社を通さなかったことです。

彼は自分自身で募集をしたということもあり、契約をなおざりにしてしまったということ、そして、自営業者であれば必ず入れておくべき家賃保証会社を通さなかったことが大きな失敗でした。

入居者が家賃を支払わなかった場合の保証の方法としては、大きく、連帯保証人をたてる方法と家賃保証会社に入ってもらう方法の2種類があります。この内、連帯保証人を立てる方法はリスクがより高いと考えています。それは、家賃滞納をしている入居者の親も信用できない可能性が非常に高いためです。

法律上は何かあった際に連帯保証するとなっていますが、しらばっくれる連帯保証人も多くいると聞きます。従って、できる限り連帯保証人を立てる形ではなく、家賃保証会社には入ってもらうようにしましょう。もし、家賃保証会社に入ることを拒んだり、家賃保証会社の審査に落ちてしまった場合は、たとえ空室期間が長くなったとしても、滞納されるリスクを背負うよりマシだと考え、次の入居者を探した方が賢明だと思います。

ただし、1つ心に留めておいて欲しいのが、家賃保証会社も全くのリスクフリーではないということです。もし、家賃保証をしている会社が倒産した場合は、家賃保証自体ができなくなるので、自分の持ち出しになる可能性もあります。

従い、もっと厳密に管理したいのであれば、客付けをしてくれた仲介業者がアレンジした家賃保証会社が本当に倒産しない規模なのか?についてインターネットで調べるくらいはした方が宜しいと思います。慣れてくれば、賃貸仲介の方に家賃保証会社の指定をするのもありです。(指定されるのを嫌がる賃貸仲介会社もあるのでそこは空気を読むようにしましょう)

ということで、家賃滞納の怖さをご理解いただけたかと思います。

決して他人事して捉えるのではなく、自分自身のことと同じように捉え、審査のチェックを怠ることなく、家賃保証会社は必須にするようにしましょう。

3 . 家賃下落および金利上昇リスク

家賃下落リスクについて考える

次のリスクは、毎月の定期収入である家賃収入が下落するリスク及び毎月のローン返済額が増額する金利上昇リスクです。

まず、家賃収入下落リスクです。

これはどんな不動産であっても発生するリスクです。

銀行は審査の際に融資物件する予定の物件の収支計画を見ますが、その際に毎年2%下落するという想定で見積もりを立てる銀行もあるらしいのですが、間違いなく建物の劣化に従って家賃は下落していきます。

ちなみに、私は現在5戸所有して既に5年半程度が経過していますが、購入時の家賃推移は以下の通りです。

物件①:購入当時家賃145,000円→現在家賃135,000円

物件②:購入当時家賃155,800円→現在家賃140,000円

物件③:購入当時家賃147,000円→現在家賃140,000円

物件④:購入当時家賃140,000円→現在家賃135,000円

物件⑤:購入当時家賃166,900円→現在家賃171,900円

物件⑤に関しては、購入当時と同じ入居者に住み続けていただいているのですが、修繕積立金が20,000円引きあがった内、5,000円だけ負担いただくという交渉に成功したため、家賃を5,000円増額しています。

それ以外は、上記のように家賃は下落しています。

物件①~④に関してだけ言うと、この5年半で6.5%家賃が下落しています。

銀行が1年あたり2%下落するというという想定で見積もりを立てるのも全く的外れではないようです。

また、そもそもの家賃が下落するというリスクに加えて、オーナーチェンジ物件として購入した物件で、購入時の入居者が退去した途端に家賃が大幅に下がるということがあります。実は、私はそれを経験しました。

上記の物件①と②は購入時にオーナーチェンジ物件として購入しました。

物件購入時は知識、経験共にほぼゼロという状況だったため、オーナーチェンジ物件の入居者家賃から大幅に下がることはないだろうとたかをくくっていたのですが、購入2年後のほぼ同じタイミングで、家賃減額の請求がありました。

こういったことがなぜ起こるのかというと、物件の売主が自分の物件を少しでも高く売るために家賃を高く見せる方法をとっているためです。具体的には、初期費用である敷金礼金の負担をゼロにする、最初の数か月をフリーレントにするなどする代わりに、毎月の家賃は高く支払ってもらうという形にしている売主は実は結構いるためです。

事実、私が購入した物件①と②に関しては、相場の家賃より明らかに高い家賃で貸していました。これは調べればすぐに分かったことなので、私の経験不足のために起こってしまったことと言えばそれまでですが、皆さんにも起こりうるので、オーナーチェンジ物件をご購入の際には相場より明らかに高い家賃ではないか?リサーチをかけたうえで購入検討をしていただければと思います。

ちなみに、今は以下のサイトで簡単に周辺相場家賃を調べることが出来ますので、今度機会があれば使用してみて下さい。

「見える!賃貸経営!HOME’s不動産投資」

と若干話はそれてしまいましたが、建物劣化に従い、家賃は確実に下落していきます。物件も生き物だと考えて接していった方が宜しいかと思います。

この自然に起こる家賃下落リスク対策としては、退去した後に必要最低限のリフォームをすること、そして、その時に流行している機能を設置することを検討することだと考えています。まず、リフォームに関しては、大きく2種類に分けることが出来ます。2種類とは原状回復リフォームと付加価値リフォームです。上記で必要最低限のリフォームと申し上げたのは原状回復リフォームの事を指しています。

原状回復リフォームとは、汚くなった壁紙を張り替えたり、汚くなった床素材を張り替えたり、ルームクリーニングをするという至って通常のリフォームです。このやるべきリフォームをやらない場合は、家賃を下げて募集する必要が出てくるかもしれないので、私は物件の価値を保つという意味で、リフォーム費用の値切りはしますが、原状回復リフォーム自体は原則行うようにしています。

もう1つの付加価値リフォームですが、これはやらなくても良いけど物件の価値を上げて家賃を上げるために行うリフォームです。例えば、キッチンをオール電化にしたり、追い炊き機能がない浴室を追い炊き機能があるものに変えたり、デザイナーを雇ってそもそもの壁紙、床等の色彩をガラッと変えたりする等々あります。

これらの付加価値リフォームをしている大家と言うのはあまりいないので、差別化を図ることは出来るのですが、問題はコストがどの程度発生するかという部分です。例えば、キッチンをアイランドキッチンに変えた場合、100万円発生したとしましょう。その結果、家賃が5,000円上がった場合、年間で家賃収入が60,000円上がったことになります。

家賃が上がったこと自体は良いのですが、100万円のコストがかかっているので、6万円÷100万円で利回りは6%となります。もし、物件自体の表面利回りが6%を超えていた場合は、投資効率の悪い工事となります。逆に物件自体の表面利回りが6%以下だった場合は、投資効率の良い工事ということになり、家賃増額が本当に実現できるという前提のもと、実行すべきという判断になります。

それに加え、その時に流行している機能を設置することですが、これは入退去のタイミングで定期的に入れ替えをしていくことをお勧めします。私が物件を購入した時はウォシュレットがどの物件にもついている状況ではなかったので、空室になったタイミングでウォシュレットを導入しましたし、そのタイミングで流行りの型の独立洗面台(シャンプードレッサー)に交換したりもしました。1つ2つであればそこまで大きな費用はかかりませんので、継続的に流行を取り入れ、必要なものは定期的に交換していくことも家賃下落を緩やかにする1つの方法だと考えています。

意外と大きい金利上昇リスクの影響額

そして、次はもう1つの大きなリスクである金利上昇リスクについてお話ししたいと思います。

金利は今が最も低い水準です。これ以上金利を低くすると銀行の経営が成り立たなくなるため、金利は今後上がっていくしかないと私自身は考えていますし、一般的な世論もそうなっています。

問題はいつごろからどの程度上がっていくのか?ということですが、この部分は専門家であっても当てることは至難の業です。ということで、私たちができることは予想することでなく、金利が上がっても耐えられる財務体質にしておくことです。

まず金利上昇がどのくらい怖いかということを具体的な数値をもとにご説明したいと思います。

ローン1億円、金利2%、融資期間30年で物件を購入したとします。

その場合、月々の返済は369,619円となります。

しかし、その後金利が上昇し、5年後に金利3%に上がった場合、月々の返済は、415,646円になります。つまり、金利が上昇したことにより月々46,027円、年間で約55万円ローン返済額が増えることになります。

私が不動産投資に興味を持った頃には、既に金利は低金利になっていましたが私の親の世代が住宅ローンを使って自宅を購入した時は、金利が7%、8%が当たり前だったと聞いています。今は住宅ローンであれば、1%をきっているので、大分時代が変わってきていることが分かります。

そして、よく言われるように時代は繰り返します。

金利が1%上がっただけで上記の影響額が発生するのであれば、2%、3%上がればとんでもないことになるのは明白です。金利が上がれば、それにつられて家賃も上昇していくと言われていますが、一般的には金利上昇が先行してきます。

この金利上昇リスクに対応する方法としては、主に2つ方法があると考えています。

1つは【自己資本比率が極端に低い投資をしない】こと。

もう1つは、【変動金利ではなく固定金利】にすることです。

1つ目の自己資本比率が極端に低い投資をしないというのは、ローンの金額を最小限にするということにつながっていきます。ローンの金額が1,000万円なのと、1億円とでは金利が変動した時の影響額が異なります。ローン金額が少ない方が金利上昇した時の影響額が少なくなります。しかし、だからと言って、現預金残高がほぼゼロになるまで自己資金を入れてローンの金額を減らすことには賛成はできません。

ここが難しいところです。

後ほど申し上げる大きな出費に備えてある程度の現預金残高は保有した上で、できる限り自己資金を入れる方が負けない投資になります。拡大したいのであれば現金はできる限り保有しておいた方が良いという考え方になりますが、金利上昇に対するリスク対応策に限って言えば、ローンの絶対額はできる限り少なくしておくことが効果的です。

また、変動金利ではなく固定金利にしておくというのも1つの方法です。

今は3年固定金利変動金利よりも低いという銀行もありますが、ここでいう固定金利は10年や20年のイメージで申し上げています。

10年や20年の固定金利となると変動金利よりも1%以上高くなるケースが多いと思いますが、金利が高くなる分将来の金利上昇リスクに備えることが出来ます。ただし、1点ご注意いただきたいのは、固定金利を選ぶとその期間中は繰上げ返済ができないという条項が付されているケースがある点です。

ある程度資金が溜まって来たら金利上昇リスクを軽減する意味でも、月々のキャッシュフローを増額するためにも繰上げ返済は効果的な1つの資金運用方法となりますので、固定金利の選択をする際は繰上げ返済に関する条項も確認することをお勧めします。

ということで、この章では家賃下落リスクと金利上昇リスクについてお伝えしましたが、どちらも将来的に非常に高い可能性で発生することです。今すぐに対応することは難しいとしてもこういったリスクがあることはしっかり把握したうえで、中長期的に対策をしていっていただければと思います。

4 . 空室リスク

誰もが抱える空室リスク

次に空室リスクについてご説明したいと思います。

この空室リスクは経営難易度の高い不動産を購入してしまうリスク及び家賃下落リスクの章でお話ししたリフォームと密接に関連してくるものですが、空室対策を極めるものは賃貸経営を極めると言っても過言でないくらい重要です。

空室リスクとは皆さんご存知の通り、空室が長引くことによってローンの返済が自分の持ち出しになってしまうリスクです。特に初期の頃は購入物件が区分所有1戸というケースも少なくないと思いますので、1部屋空室になると家賃収入がゼロになり、その期間は自分の持ち出しになってしまいます。

この空室対策については、とにかく空室期間を長引かせないことです。

では、どのようにして募集活動をしていけば良いのかというお話になりますが、上記で既に経営難易度の高い物件を購入してしまうリスクと家賃下落リスクの章でリフォームについては触れさせていただきますので、この2つに関しては問題なく行われているという前提で入居者募集の部分に集中してお話しさせていただきます。

私は購入当時からこの空室リスクに対して強い意識がありました。

初めて空室になった時に空室になった部屋の最寄り駅周辺の仲介会社6社、隣駅周辺の仲介会社4社の10社にマイソクを持参して物件の入居者募集をお願いしに行ったのを今でも覚えています。

ただその後意識の低い不動産投資家の方、意識の高い不動産投資家の方に数多く合わせていただいたのですが、意外と自分でマイソクを配って自ら仲介会社に出向き募集のお願いをする方って割合的にはさほど多くないという印象を今は持っています。

つまり申し上げたいことは、こういった記事を読んで、実際に行動に移し、自分でマイソクを持参して仲介会社に入居者募集のお願いをするという労力をかけられる不動産投資家である時点である程度入居者募集に関しては優位に立っているということです。

効果的な入居者募集の手法

その上で、どういった方にどのように入居者募集をお願いするかということですが、これは間違いなく地場の不動産屋です。地場というのは、物件所在地の最寄り駅付近の出店している賃貸仲介会社です。

これは実際にあった話ですが、私が中国に駐在していた時にある部屋が空室になりました。私が駐在中の頃は何かあった時のことを考えて私の代理人のような方を置いておきました。その方は、賃貸仲介もやっており特にお金を支払っているわけでもないのに、かなり協力的にリフォームの手配、入居者募集等をやっていただきました。

しかし、その方はその空室になった部屋の地場の不動産屋ではありません。従い、この方ができるのはレインズという不動産業者だけが閲覧できるサイトに私の部屋が空室であるという情報を掲載し、それを見た他の仲介業者が決めてくれるのを待つということです。結果は、2か月内見すらほぼない状況でかなり困っていました。

そこで色々考えた挙句、中国駐在前にその物件の最寄り駅付近の仲介会社に挨拶周りに行ったのを思い出しました。(もっと早く思い出しておけば・・・) 迷わず挨拶回りをした4社に中国から電話をかけ、事情を話し入居者募集のお願いをしたところ、たった1週間で入居者が決まりました。しかも入居者の属性も完ぺきで、その時は本当に感謝したのを覚えています。

最近は、ほとんどの方がインターネットで物件情報を確認したうえで現地確認して申し込みを入れるパターンだと聞いていますが、それでも住もうと考えている部屋の最寄り駅付近の不動産屋で話を聞くという方は相当数いると思いますし、確率的には地場の不動産屋にお願いした方が絶対に良いと思います。間違っても、入居者募集をしている物件から遠く、レインズで募集することしかできない業者にはお願いしない方が良いと思います。お願いしたとしても、それをメインにはすべきではないかと。

最初はマイソクを自分で作ることも難しいと思いますが、そこは物件購入の際に参考にしたマイソクを売買価格の部分は隠して使用すればよいのです。体裁にはこだわらずとにかく実行に移してみること。空室対策ではまずは自分で地場の不動産屋に入居者募集のお願いをすることが一番有効的な方法だと思います。

エース営業マンを味方につけるという対策を書籍等でよく見かけますが、私はこれには賛同できません。というのも、仕事ができる人ほど転職する可能性が高いためです。一生その会社で勤めるかは分かりません。

従って、ここでもとにかく数を打つこと。しかも、物件の最寄り駅付近の不動産屋に集中して数を打つことをお勧めします。その結果、SUUMOやat home等の賃貸物件サイトでの掲載が多くなりすぎてしまった場合(同じ部屋なのに同じサイトで3,4社が同じ部屋を掲載すると問題がある部屋だと思う方もいるらしいです)、インターネットは掲載不要というお願いの仕方もありますので、ある会社はインターネット掲載なしでのお願いでも問題ないと思います。次は震災リスクについてお伝えしたいと思います。

5 . 地震リスク

保険金額の割に保険料が高い地震保険

震災リスクというと直ぐに思い浮かぶのは、地震リスクです。

東日本大震災、熊本地震と日本では定期的に大きな地震が発生しています。

都内近郊でも今後30年の間に震度7以上の地震が起こる確率がかなり高い状況となっているようです。

その中で地震保険が脚光を浴びるようになってきていますが、地震保険はコストパフォーマンスを考えると非常に効果の悪い保険です。それだけ地震を発生するリスクの高いリスクだと考えているからこそですが・・・。

地震保険の概要をお話しすると、まず、建物部分にしかかけることができません。従い、駐車場がある一棟ものを購入し、駐車場の地面部分に亀裂が入った場合等は保険金が下りません。あくまで建物部分にかかる保険です。

そして、料金はどの会社で入っても同じです。ただし、地域によって保険が異なります。例えば、地震の可能性が高い東京都は一番高い価格帯になっています。

また、地震保険は火災保険の付加保険となるため、地震保険単独でかけることはできません。残念なのが、地震保険は火災保険の50%までしかかけることが出来ません。従い、例えば、火災保険上の建物評価額が2,000万円で評価額いっぱいで火災保険をかけている場合は、地震保険は最大で1,000万円までかけることが出来るということになります。火災保険ですら、ローン金額を完済できる保険金が下りない中で、地震保険はその50%しかかけることが出来ないので、地震発生時に自己破産するリスクをゼロにするものではなく、ちょっと軽減するというレベルのものでしかないのです。

色々と割引制度はあるのですが、保険会社の方曰く、1981年以降に建築された物件に適用される10%割引を適用するケースが最も多いとのことです。

保険会社で見積もっていただければわかると思いますが、支払う保険料の割にもらえる保険金がかなり少ないです。とは言っても、ないよりはましだと考える方もいらっしゃると思いますので、震災リスクの1つの対応策として保険に入ることは重要だと思います。私も、コストパフォーマンスは悪いことは認識しながらもやはりもしもの時に多少でも保険金をもらえた方が自己破産という最悪の事態は回避できる可能性が高くなるので、地震保険には入っています。

建物構造と地震リスク

あとリスク対応策として考えられるのが、建物構造です。RC > 鉄骨造 > 木造という順番で耐震性が強くなります。私は建築関係には疎いので専門的なことは話せないのですが、ここでは、熊本地震を経験した不動産投資仲間に起きた実話をお話ししたいと思います。

彼は2016年1月に熊本に2億円弱の築年数25年程度の一棟RCを購入しました。そして運悪く3か月後に熊本地震を経験してしまったわけですが、彼が購入した建物自体は多少のひび割れはあるものの大きな問題はなかったとのことでした。

ただし、駐車場のアスファルトは盛り上がりそれを修理するためには150万円程度かかると言われ、キャッシュがない彼は未だ修理せずにいます。彼曰く、今は熊本復興関連で工事費用が高騰しているため後ろにずらすことによってコスト削減するためと話をしていましたが、実際は払える余力がないからだけだと私は感じています。しかし、入居者からは早く修理してくれという連絡が来ていて、いつかは修理しなければということを言っていました。

その彼が実際に熊本に行って被災状況を見て感じたことは、倒壊している物件のほとんどが木造の物件だということです。木造でも築年数がかなり経過しているものもあれば、最新の建築技術を駆使して建築された木造物件もあり、一概に木造で一括りにするのは間違っていると思いますが、事実そうだということを聞きました。

少なくとも言えることは、RC造の方が地震や火災には強いということです。

しかしとは言っても、RCは建築コストが高く、大規模修繕費用も高額になることが多いので、そもそもRCで利益になるものはあまりないというジレンマもあります。

今、相続対策や新築一棟という形での不動産投資は、木造で行われているものがRCと比べると確実に多いです。それはRCだと利益が取れないためです。

私は木造物件を全否定するわけではないですが、地震リスクに限っていうと、木造物件はちょっと心配です。一番怖いのは、どの程度の地震までなら耐えられると知らずに木造物件を購入し、大きい地震が来た時に倒壊してしまうことです。建物倒壊すると自己破産となる可能性がかなり高まります。

とはいえ、投資は利益がない限りやるべきではありません。木造物件へ投資をするにしても、どの程度の地震に耐えることが可能なのか?建物倒壊した場合はどういった計画が立てられるか?等々もしものことをインプットして、それならリスクとして十分負えると判断したのであれば購入という流れにするのが賢明だと私は思います。

この震災リスクが対応策を考える上で一番の悩むところです。

軽減をすることはできてもその軽減幅が狭いですし、限定的です。そういう意味でもし発生した場合の影響額という意味では不動産投資最大のリスクということが出来ると思います。もし物件が倒壊しても自己破産しないように、地震保険に加入する、あるいは建物は丈夫なRCにしておく。ということも対応策の選択肢として総合的に考えながら物件購入をしていただきたいと思います。

6 . 大規模出費発生リスク

キャッシュがあれば怖くない

最後に想定外の大規模出費が発生するリスクについてお伝えします。

自己破産というのはローン返済等の支払うべきお金を継続的に支払うことが出来なくなり起こってしまいます。従って、どんなに賃貸経営が上手くいっていなくても、前の章で申し上げた震災が起こっても、潤沢なキャッシュを保有していれば自己破産という最悪の事態は防ぐことが出来ます。

例えば、私が所有している物件で築年数45年、かつ、入居者が既に30年以上同じ部屋に住み続けているという物件があります。購入当初はかなりのリスクだと思い恐々としていたのですが、もう気づけば5年ちょっと経過し、ローンの返済も結構進みました。

しかし、この入居者が出たときのリスクは変わりません。

この物件、まず部屋の間取りが6部屋以上あるという変わった間取りであることに加え、30年以上同じ方が住まれているので、室内の状況が最悪です。

部屋は広く、立地は良いので賃貸需要があるのですが、室内は大規模なリノベーションが必要だということは前々から意識はしてきました。色々業者にはヒアリングしているのですが、500万円程度は発生するだろうということで500万円を支払える現金は最低でも保有するようにしています。

将来のキャッシュフロー計画をたてる重要性

これと似たような話ですが、私の不動産投資仲間で、15年程度住んでいた入居者が退去し、通常通りの入居者募集ができるレベルまで修繕するとなると300万円程度かかると言われた方がいました。

彼は、300万円の出費が出るという想定をしていなかったため、その300万円を支払うことが出来ず、入居者募集が半年もできないという状況に陥っていたらしいのですが、善良的にお金を貸してくれる方が現れ、なんとかリフォームすることが出来たとのことでした。

これと似たような話でよく聞くのが、一棟モノの大規模修繕費用です。

一棟モノを購入すると大規模修繕に備えるという意味で家賃収入の一部を積立していく必要があります。区分所有であれば毎月管理組合に修繕積立金として支払わなければならないので、自動的に修繕費用が積み立てられているわけですが、一棟モノでは、将来の大規模修繕費用を見積もり、それに対して備えておくという作業を自分で行う必要があります。

この意識が全くなく手残りのキャッシュフローの全額を使いこんでしまうようなことがあると、大規模修繕が必要になった時に支払えるお金がないということになり、借入をするか、支払うことが出来ず、物件の劣化が早まり入居付けが弱くなり、経営ができなくなり最終的には自己破産ということにもなりかねません。

よくセミナー等に参加すると現金はできる限り手厚く持っておいた方が良いと言っているのは、こういった自分が想定している金額より実際発生した金額が大きかったということもあるし、そもそも想定できなかった費用がいきなり発生するということもあるので、急な出費に備えて現金を保有しておくべきだからこそです。

そして、この現金保有残高は資産規模が大きければ大きいほど手厚くしておく必要があると個人的には考えています。管理物件が多ければ多いほど、想定外の出費が発生する可能性が高くなります。

これは私自身の話になりますが、私の場合は今の時点で想定できる100万円以上の出費+500万円は最低でも現預金として保有するようにしています。今の状況であれば最悪借入をすることはできますが、無駄な金利は支払いたくありません。

私の不動産投資仲間でキャッシュフローの計画が甘く、楽観的な方がいるのですが、彼は、車をローンで購入し、都心好立地で1人暮らし、しかも駐車場代の支払う必要があるという状況の中、固定資産税や最近購入した不動産に対する不動産取得税を支払うことが出来ずにフリーローンを借りてしまっています。ちなみにフリーローンは金利6%らしいのです。フリーローンとしては低い方なのかもしれませんが、月々いくら金利で支払っているのか?と思ってしまいます。

そういった意味で年間のキャッシュフロー計画を立てることは非常に重要です。

私はいつも12月になると、来年の定性的な目標とともにこのキャッシュフロー計画も立てるようにしています。

以下のような表を作成し計画を立てているのですが、ポイントとしては、不動産投資関連費用を多めに見積もっておくことです。(数字はサンプルとなりますので、参考程度にして下さい)

計画を厳しめに立ててしまうと、何か想定外の事態が発生するとすぐに下振れしてしまうという意味で、精神的に余裕を持ちづらくなってしまいますし、必要な現金保有残高を多めに確保しておくという意味でも、ある程度バッファーを織り込んで立てた計画を基にした方が現預金を多く積んでおくという考えになることもあり、計画数値はあえて緩めに作成しています。

ということで、どんなに賃貸経営が上手くいっていたとしても、大きな出費が発生して自己破産してしまうリスクは常に持ち合わせているということは意識して下さい。油断は禁物です。

ここまで1?6に分けて不動産投資に関わる様々なリスクについてお伝えさせていただきました。

こういったリスクを知り、その結果自分にそのリスクは負えないと考え不動産投資には挑戦しないという考えもありです。私は思うのですが、何事もリスクはつきものです。日々生きている毎日の生活にもリスクはあります。

私はCFPの資格を取得しているということもあり、FPとして事務所を開設している方とお話しする機会もたまにあるのですが、皆さん口をそろえて仰っているのが、不動産投資は安定的な事業であるということです。不動産投資家となり5年半の時が過ぎましたが、色々騙されたり失敗したりと必ずしも順風満帆な不動産投資家生活をおくって来ていない私もそのように思います。それは、最初購入した物件の立地が良かったということがまず大きいと思います。

あとは、私自身が何かに向かって突き詰めていくことが好きだという性格もあり、勉強→実践の過程を繰り返していく中で、なんとなく自分なりの考え方や動き方が出来つつあるからなのかもしれません。周りからはそこまでストイックにやる必要ないよと言われるときもありますが、大きな金額を借り入れている限りは責任を持ってやらなければなりませんし、せっかく人が出来ない経験をさせてもらっているので、それを成長の機会と捉えて、貪欲に学んでいきたいという気持ちは常に持っています。

リスクはまず把握することが大切だと私は思います。

リスクを把握しない限りは対策を立てることが出来ません。

本業でも、営業の方が自分の案件に不利なリスクはあまり言いたがらず、投資実行になり、その後その隠していたリスクが実現してしまい、出世路線から完全に外れてしまうという方も見てきました。

不動産業界ではお金の欲望が渦巻いています。

多くの業者の方が自分だけ儲かればよいという世界なので、とにかく売れば良い考え方を持っている方が非常に多いというのがこの5年半の賃貸経営を通じての感想です。

従って、自分自身でリスクに気づき、早めに対応策を取る、もしくは投資の実行有無を判断することが強く求められます。今日の内容も参考にしながら、人任せにすることなく自分自身で考えて動く癖をつけていただければと思います。

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