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6月に施行される「民泊新法」の影響力

川端 彰

川端 彰

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一般住宅を旅行者に有料で宿泊させる民泊ビジネス。シェアリングエコノミーの代表格として2015年あたりから流行り始めました。ホテルの受け皿として、または空き家の活用策になるということで、色んな業種が参入しましたが、一方で法整備がなされていないことから、グレーな業界として参入を思いとどまった会社も多く見受けられました。しかし、6月に全国共通の「民泊新法」が施行されることにより、一応は法整備の目処がつきました。そしてこの新法は、市場を一気に変える影響力を持っています。何が変わるのか。内容を整理していきます。

目次

1 . 民泊新法の概要

民泊新法の正式名称は「住宅宿泊事業法」といい、賃貸住宅や戸建て住宅に有料で旅行者を泊めるためのルールが盛り込まれました。
だからといって手放しで喜べず、建物や管理状況によっては、認められないケースもあります。諸条件を追っていきましょう。
※ちなみに民泊新法が施行されるまでは旅館業法が特区民泊制度が適用されます。

1-1 . 年間の宿泊日数規制

民泊新法の最大のハードルといえるべきものが、この「年間の宿泊日数規制」です。一年365日のうち、約半分にあたる180日だけ宿泊が認められます。
年間180日以下の制限があるということは、その180日の範囲内で投資に見合う費用を回収しなければいけないということです。年がら年中民泊として貸し出すことは難しいので、アパートやマンスリーマンションに空室ができたときに活用するなどして、他の用途と並行する必要性がでてきます。
また、1組あたりの最低宿泊日数は二泊三日以上です。

1-2 . 面積と設備

居室の床面積は宿泊者一人あたり3.3平米以上を確保しなければいけません(厚労省)。また、宿泊者の安全を確保するための非常用照明器具、避難経路の表示板を設置する義務が課されました(国交省)。

1-3 . 手続き関係

これが結構大変です。民泊を始める前の事前手続きの段階では、登記事項証明書、住宅図面、転貸の承諾書などを届けなければいけません。始めた後も、一年ごとに宿泊日数の算定と、二ヶ月ごとに宿泊日数を行政に報告することが義務付けられました。
さらに宿泊名簿をつくり、三年間の保存が求められています。訪日外国人客の場合は、国籍と旅券番号の記載も必須です。

2 . 民泊新法による各地への影響

民泊新法の施行を前に、各地で以下のような影響が出ているので、いくつか紹介します。

2-1 . 違法民泊排除に行政が本腰

旅行者を泊めるホテルが圧倒的に不足していたことから、ある意味、違法民泊はその受け皿として黙認されてきました。しかし法規制が整ったことにより、違法民泊を是正するための巡回・指導が活発になってきています。

民泊仲介業者を摘発
2017年10月30日、京都府警と右京署が民泊の無許可営業をあっせんしていた不動産会社を旅館業法違反の疑いで書類送検しました。
不動産会社の経営者が、京都市内の戸建て住宅を借り、会社員に転貸してウェブサイトで宿泊者を募っており、これまで26カ国・約1200人を泊まらせ、約700万円の利益をあげました。2016年6月から行政からの指導が再三入ったにもかかわらず、指導に従わないことから書類送検に踏み切りました。

●違法民泊の罰金引き上げ
無許可営業の民泊を取り締まるために、政府は民泊事業者に対する罰金の限度額を3万円から100万円に引き上げました(旅館業法改正)。

2-2 . 新規参入企業の増加

民泊事業者向け保険
民泊事業者のための保険商品がいよいよ誕生しました。17年8月にそれをリリースしたのは、東京海上日動火災保険です。民泊コンサル会社のビバシティと提携して、営業許可を受けた民泊事業者を対象としたものです。
名称は『民パック』といい、宿泊施設を原因とした対人トラブルや、器物破損などによるオーナーへの損失額をまかなえる保険です。

●「アパートホテル」の誕生
アパートホテルとはその名の通り、貸家と民泊の機能を融合した建物のことです。ホテル機能がメインになるケースが大半ですが、民泊需要をのぞめなくなったときに賃貸住宅として貸し出せるように配慮したものになっています。
民泊新法案の成立を見越して、大和ハウスやパナホームなどをはじめとした大手ハウスメーカー各社がこぞって参入を発表しています。リノベーション会社のインテリックスも同様です。

●空き家の利活用に
不動産管理会社の参入も進んでいます。特に賃貸住宅の管理会社は、空室を埋めないと管理受託手数料が入らないため、空室を埋められる民泊事業に魅力を感じる企業は多いです。
たとえば、北海道で約2000戸の賃貸住宅を管理しているアセットプランニングは参入を前向きにとらえている一社。同社は従来、ビジネスマンのためのマンスリーマンション事業を営んできましたが、「観光需要も魅力的。新法が施行されたら取り組みたい」(及川学社長)と述べました。

●大企業の参入
有名なのは、楽天の参入です。楽天と、部屋探しサイト「ライフル・ホームズ」を運営しているライフルの二社が、合弁会社である「楽天ライフルステイ」を立ち上げました。民泊物件の仲介サイトを運営するほか、運営代行サービスなどワンストップで提供できるように体制を整えています。

3 . 民泊市場は黎明期から成長期へ

民泊新法の意義は、民泊市場を黎明期から成長期へ移行させられるところにあると思っています。なぜならば、民泊新法が施行されても、市場の供給物件数に大きな変化はないかもしれませんが、すでに飽和している無許可営業物件は圧倒的に減ってくると思うからです。
その中で大企業の参入や利便性の高い付随サービスが台頭し、合法的な民泊を市場の大半を占めるようになれば、そこにビッグデータが生まれ、さらに新しいサービスが生まれてくるのでしょう。民泊合戦はこれからが正念場です。

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