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サブリーストラブルの核心

川端 彰

川端 彰

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賃貸管理会社に空室時の家賃を保証してもらえる「サブリース」という契約形態をご存知でしょうか。
不動産投資家にとって、一見、願ったり叶ったりのサービスですが、アパート供給過多時代の現代において「過度な家賃減額」「一方的な契約解消」などのトラブルが各地で勃発し、仕組みそのものにひずみが生じてきています。
この記事で、サブリースの仕組みと問題点、トラブルの事例を紹介していきます。

目次

1 . サブリース契約とは

サブリース契約とは、要は、貸家を建ててほしいハウスメーカーや管理を受託したい賃貸管理会社が、オーナーの空室不安を解消するため(満足度を高めるため)に、オーナーが所有しているアパートの居室を一手に借り上げる契約形態を指します。
アパートの居室を借り上げてもらえば、オーナーの懐には、手数料が差し引かれた家賃が毎月きちんと入ってきます。不動産会社が借り上げた部屋は、改めて入居募集をして空室を埋めるのです。

1-1 . サブリース業者の懐事情

サブリース業者とは、一般的には、建築後のサブリース契約を主体とするハウスメーカーや管理会社のことを指しますが、そうでなくとも最近は地場の小さい管理会社でも、管理受託契約を少しずつサブリース契約に移行しているケースも見受けられます。
空室を保証するというサブリース契約は一見業者側に不利に働くものだと捉えがちですが、実態はその正反対で、彼らにとってサブリースほど蜜の味がする商売はありません。

●手数料を高くとれる
管理会社にとって、毎月入ってくる「管理手数料」は生命線。管理戸数が多ければ多いほど、家賃から5%を差し引いて徴収し、売上に計上します。

ところがこの管理手数料、近年、管理戸数の受託競争が活発になり、他者に管理物件をとられたくない各社はあの手この手使って阻止しようとしますが、競争原理が働いているので、昔は「家賃の5%」が相場といわれた管理手数料も、今では1-3%までじりじり減ってきています。

中には「管理手数料ゼロ%!」という会社もでてきており、その場合はリフォーム手数料や保険商品の販売・更新手数料でカバーしています。

そこで、手数料という実入りを少しでも高めたい管理会社が注目したのがサブリース契約です。
確かに空室時の家賃を保証しなければいけないというリスクは生じますが、部屋が埋まっていれば、家賃のおよそ10-15%の手数料を徴収できます。したがって管理会社は、空室リスクの少ないアパートから順にサブリース契約の移行を持ちかけています。

一方、郊外や不便な立地にある空室対策が難しいアパートは、あまりサブリースの提案を持ちかけられません。

●建築営業の成約材料になる
サブリース契約は、賃貸住宅を建築・販売する営業マンの口説き文句としても使われます。
相続税対策にアパートを建てませんか」と提案しても、当の地主としては「アパートを建てて空室が増えて借金を返せなくなったら…」「アパートの管理方法なんてわからないし」といった具合に色々不安がでてきます。
そんなときに「うちの会社で10-30年、居室を一括で借り上げますから」と提案すれば、そうした不安を抱える地主は安心します。
建築業者としては、万が一空室が増えて保証料がかさんだとしても、一棟たてれば何千万、何億円と入ってくる建築費に比べたら何とでもないのです。

2 . サブリース契約の問題点

さて、この願ったり叶ったりのサブリース契約には、法の抜け道があります。このために損失を被ったオーナーが各地で増えているのです。

2-1 . 相次ぐ家賃減額交渉

「2010年頃から家賃の減額交渉が重なるようになりました」と打ち明けたのは、兵庫県に全6戸のアパートを持つAオーナー。
当時築13年になるタイミングで、半年間空室が続いていた1戸に対して管理会社から減額交渉が入るようになり、このときは止むを得ず要求を受け入れました。
しかしその1年後、また管理会社の社員があらわれ、再度、減額を交渉。「これで最後」と3000円の減額に応じたものの、さらに半年後にまたもや減額を持ちかけられ、これに怒ったAオーナーは管理会社と喧嘩別れ。一方的な解約となりました。

この場合、管理会社の狙いとしては、「サブリース契約を解除したかった」という事情が推測されます。背景には資金繰りの悪化があるのでしょう。実際に、昭和のバブルがはじけた直後や、2009年リーマンショックの直後は、こうしたことがよく起きたそうです。

上記の他にも、「減額交渉に応じなければ契約解消」とすごまれたというケースも報告されています。

2-2 . なぜ一方的に解除できるのか

今のところ、サブリース契約の一方的な解除をめぐる訴訟で、オーナー側が勝訴した例は確認できていません。
これは、サブリースという契約形態が、消費者が部屋を借りるときに交わす「賃貸借契約」の一種であることが、サブリース業者側に有利に働き、問題をややこしくしているからです。
賃貸借契約上では、「オーナー=事業者」「サブリース業者=入居者(消費者)」にあたり、オーナーは入居者を簡単に立ち退かせることはできませんが、入居者はいつでも賃貸借契約を解除して引っ越すことが可能だという「入居者保護の原則」が働き、借地借家法でもってサブリース業者側が守られるのです。

不動産法務に詳しい加藤幸英弁護士は「オーナーが賃貸事業主という立場になる以上、消費者契約法や特定取引商法など、本来、消費者を保護するための法律は適用されません。 実際にサブリース業者に借地借家法が適用されたが判例があります。こうなるとオーナー側からの解約ができず、契約期間がきても正当事由がないと更新されていまいます」と説明しました。

なので、営業マンがいくら口で「30年一括保証」と唱えたところで、やりようによっては、業者側はいつでも契約解除が可能になります。

2-3 . 契約書に特約を設けよう

きちんと整っている契約書をみると、オーナーとしては「従わなければならない」という心理が働くかもしれませんが、そもそも契約書の修正は可能です。
先の加藤弁護士は「まずは契約書をよく読み、わからなければ専門家や親しい人に相談することが重要です」と話します。
特約で修正することができれば、一方的な解除という最悪の事態は回避できるかもしれません。

3 . うまい仕組みには裏がある

サブリース契約は一見、オーナーにとって耳障りのいいサービスに聞こえるでしょう。
実際、郊外物件でサブリース契約を結んで空室時の家賃を保証してもらって「助かっている」と感じているオーナーもいるかもしれませんが、業者側の都合によって「いつでも解約可能」であることを考えたら、これほどオーナーをゾッとさせる話はないかもしれません。
これからアパート建築を検討されている方や、サブリース契約への移行を提案されている方は、この「法の抜け道」に十分意識を払っておきましょう。

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