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民泊事業に参入した楽天グループ

川端 彰

川端 彰

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一般住宅に旅行者が有料で宿泊できる民泊新法(住宅宿泊事業法)が2018年6月に施行されました。
これまでは旅行業の免許をとるか一部の経済特区でしか許されなかった民泊運営が、6月の新法施行で「年間180日」を上限に全国共通で出来るようになるため、法的位置づけが曖昧だった民泊市場に、大手不動産会社やその他異業種がこぞって参入に名乗りを上げました。

中でも一番注目度の高い参入企業が楽天です。米エアビーをはじめとした既存の民泊サービス会社から見たら、楽天の存在は黒船そのもの。同社がどんなサービスを繰り出したのか、この記事でまとめたいと思います。

目次

1 . 楽天の参入について

楽天単独の参入でなく、部屋探しサイト大手のLIFULL(ライフル)の二社で合弁会社を設立し、「楽天LIFULL STAY(ライフルステイ・東京都千代田区)」という新会社でサービスを提供することになり、2018年3月に登録用物件の募集が始まりました。

楽天ライフルステイに在籍する社員は約20人おり、それは楽天とライフルの社員で構成されています。主な役割分担としては、一般的な不動産実務はライフルが担い、楽天はブランドの貸与、その他家具や建材を、楽天市場を通して提供します。

2 . 楽天の狙い

楽天の狙い

真意は定かではありませんが、楽天はブランドを貸与(大手グループが民泊物件に太鼓判を押す)と引き換えに、民泊という宿泊施設で必要とするアメニティーや家具の販売先を確保して売上を確保する目的があると言われています。
実質の実務の多くは、不動産事情に詳しいライフル側が担っているのです。

3 . 楽天ライフル、何がすごいの?

集客効率を徹底して追求

他の民泊仲介サイトと違う点は、何と言っても、世界各地の旅行サイトと提携している点でしょう。

3月に楽天ライフルステイが開設した民泊仲介サイト『Vacation STAY』に民泊物件を登録すると、提携した旅行サイトでも物件が紹介されることになります。
例えば、世界首位の民泊仲介サイト『Airbnb』では、そこに登録するとそのサイト内でしか宣伝されないのですが、楽天ライフルステイのサイトに登録すれば、リゾート系に強い旅行サイト『HomeAwey』(米国)や、台湾に強い『AsiaYo』等でも表示されることになり、民泊オーナーからしてみれば、集客効率を格段にあげることができるのです。

その他提携サイトは、中国の『途家(トゥージア)』、オランダの『Booking.com』があり、『楽天トラベル』と手を組みました。
これほど多くの旅行サイトと提携する企業は、信用力を振りかざせる楽天グループのみ。他の米エアビーや百戦錬磨はベンチャー企業であるがゆえに、大手旅行サイトと手を組むことに障壁があったのかもしれません。

業界初のワンストップサービス化

もうひとつ画期的なサービスが、民泊サービスのワンストップ化です。ワンストップサービスとは、1から10まで業務の面倒をみるサービスを指します。

例えば民泊物件でいうならば、築古のアパートを宿泊施設に仕立てるためのプランニングから、リフォーム、仲介(集客)、そして入室後の運営まですべて面倒をみます。
同サービスを発表した昨年末時点では、仲介(集客)と運営の両方の面倒をみると旗を掲げた企業は楽天ライフルステイのみでした。

4 . 業界大手が追随

仲介も運営も両方やるという楽天ライフルステイに対抗して、民泊仲介最大手の米エアビーもそれに追随して運営サービスを始めました。

国内の民泊仲介サイト『STAY JAPAN』を運営する百戦錬磨も、集客力の強化をにらんで外部との提携を進めました。
2月8日には、日本航空(JAL)と提携して、古民家などに宿泊できるサービスを共同で開発したと発表しました。前年の17年6月には全日空グループのANAセールスとも提携し、観光業界との結びつきを強めている傾向があります。

5 . 不動産会社の動向は?

大手・中堅は一部で参入表明

こうした“民泊旋風”を横目に、賃貸住宅を管理する不動産会社も民泊特需に目をつけ、一部では参入を発表している会社もあります。

大阪府で管理戸数上位の宅都は、賃貸マンションとして建築した建物を、ホテルとして活用する旨を2017年前半に発表しました。
要するに、「はじめは民泊として活用するけど、需要がなくなったら賃貸マンションに切り替えることもありうるよ」というオーナーのリスクヘッジを考慮した収益物件です。

他、地場で大手どころといわれる多くの不動産管理会社も、顧客であるオーナーの収益力を高めるため、また空室対策として利用するため、民泊の活用を検討しています。

大半の企業が様子見

参入企業が多い一方、地元の不動産会社の中には、賃貸住宅の民泊活用を、ひとまず様子見しようと考えている会社が多く存在するのも事実です。
なぜならば、賃貸住宅の一室を民泊利用したら、外国人がうろついているだけで不審に感じてしまう既存の入居者や近隣住民からクレームが舞い込み、かえって管理が煩雑になってしまうリスクが考えられるからです。
そのため、他の不動産会社の出方をうかがってから、自分らの戦略を整えようと思う不動産会社が数多く存在します。

6 . 民泊業界の前進

6月に民泊新法が施行されたことと、どんな物件でも民泊用に仕立てて集客してしまう楽天の参入によって、民泊に対する事業者のハードルが下がったのは事実です。

今後訪日外国人は2020年には現在の約1.5倍の4000万人に到達すると見ている専門家も数多くおり、こうした人達に向けて有料で宿泊スペースを貸し出すのは、やはり新しいビジネスチャンスと捉えるべきでしょう。

楽天グループとしては、3月から受付け始めた物件登録数をどの程度伸ばせるかが正念場となるでしょうが、まだまだ不透明なことが多い未成熟な民泊業界が、着実に一歩一歩前進していることがうかがえるニュースであるとも捉えられます。

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