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民法の大改正実施!不動産投資に与える影響とは

長嶋 シゲル

長嶋 シゲル

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日本で民法が制定されたのは1896年。実に120年以上前のことです。その民法の大改正が発表されたのが2017年5月。そしていよいよ2020年から新民法が施行されます。
民法が施行されたのが日清戦争の直後と考えると、実に長い間改正されていなかったことに驚く人もいるかも知れません。100年以上の間に日本を取り巻く環境も大きく変化し、民法の内容も日本人の商習慣などの実態に即していないものになっていました。
そこで民法の変更内容のうち、不動産投資に関係あるものをピックアップしてどのような影響があるのかをお伝えしていきます。

目次

1 . 敷金や原状回復についての規定が明確化された

不動産物件の運営で賃貸人と賃借人の間で頻繁に起こるトラブルといえば、敷金原状回復の取り扱いでした。そこで敷金の扱いに関して、改正民法の第622条で明記が行われました。
その内容は、
敷金は、賃借人が賃貸人に対し金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭という」と定義付けられました。
そして「賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は賃貸人に対し敷金をその債務の弁済に充てることを、請求することができない」と記載されています。
これはどういうことかと言うと、敷金は家賃の担保として故意や過失による破損の修繕費に充てられるものであり、それを差し引いた金額を賃貸人は賃借人に対し、返済する義務があるということです。

そして原状回復についても、民法改正によって明確な規定が設けられています。これは改正民法の621条に記載されています。「賃借人は賃借物を受け取った後に、これに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときはその損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」とされています。
つまり基本的に、経年劣化による壁紙の日焼けや変色などは全て大家が原状回復の義務を負う必要があるとする、責任の所在が明確化されました。
一方で、タバコによる焼け焦げ、ペットの糞尿の臭い、誤った使用による設備の破損などは過失とされ、賃借人の責任で元通りにしなければいけないのです。
今後は退去後のクリーニング代なども賃貸人負担になる可能性があります。 また607条では、新たに修繕権が規定されました。これは必要に応じて賃貸人が物件の修繕をする権利を有するという内容です。
これにより賃借人が必要に応じ、設備の修繕や交換を行うことが可能になりました。しかしその一方で、修繕の際の費用が賃貸人から請求されたとき、それが必要な修繕だったのか、費用が適切なものだったのか、その修繕は経年劣化を回復するためのものだったのかなど、新たな問題の火種となる可能性を秘めています。

2 . 保証人の保証の範囲が規定された

また、もう一つの大きな変更点として、保証人の責任の範囲が規定されました。賃貸契約を結ぶ時には、これまで一般的に家賃の滞納や物件の破損等を保障するための保証人が設定されていました。一方で、実際に保証を要する事態が起きた際に、どの程度の保証を行うのかという点は明記されていなかったのです。
しかし、今後は例えば300万円までの保証を行う、家賃何ヶ月分の保証を行うなど保証の範囲を記載することになり、保証人の責任の極度額を賃貸契約の際に記載する必要があるのです。
そして保証人となる人間に対し、保証契約締結時に賃貸人が所有する物件の収支や物件の担保能力などの、情報開示義務も設けられたのです。

この変更により、保証人になる人間が見つかりにくくなる、また賃貸契約時の手続きが煩雑化する可能性が見込まれています。今後は家賃保証の担い手として保証人ではなく、家賃保証会社の役割が存在感を増してくるかもしれません。

3 . 賃借物が使用不能になった際の規定も追加

さらにもう一点、賃貸人にとってやや不利となる変更があります。改正民法第611条では「賃借物の一部が損失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて減額される」とあります。
これまでは何らかの理由で部屋の一部が使用できない時や設備の一部が機能を失った時には、賃借人からの請求があれば家賃を減額しなければいけませんでした。
しかし今後は、賃借人からの請求がなくても家賃を減額する義務が発生します。また「賃借物の一部が減失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借した目的を達することができないときは、賃借人は契約の解除をすることができる」とも明記されています。
これまでは部屋の一部が使用できなくなったときのみ、家賃の減額請求が可能でしたが、今後は設備面の損失に対しても減額措置が必要とされます。仮に備え付けのエアコンが一か月間利用できなくなった時にどの程度家賃を減額しなければいけないのかなど、細かな規定まで決めておく必要があるでしょう。

4 . 契約書の文言の見直しは必須

このように賃借人と賃貸人の関係において、改正民法では数々の項目における明文化と明確化が行われました。これまで貸す側と借りる側で問題が多かった部分を、明確に民法の条文で規定することによってトラブルや裁判を減らそうという狙いが見えてきます。
一方で、貸す側としては今後は契約書の随時見直しが必須とも言えます。敷金について取り扱った現状回復に関する文言、そして保証人の極度額や部屋の機能に損失があった場合の家賃減額の規定も決めておかなければいけません。仮に保証人の保証範囲を決めておかなかった場合、今後保証を求める事例が起きたとしても、満足な保障が行われないことも考えられます。

少なくとも2020年に改正民法が施行されるまでには、不動産屋と相談してどのような契約内容にしていくのかをあらかじめ決めていきましょう。そうしないと思わぬリスクを呼び込んでしまうかもしれません。

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