HOME 不動産投資 入居審査で敬遠されやすい「高齢者」が優良入居者に化ける日

入居審査で敬遠されやすい「高齢者」が優良入居者に化ける日

川端 彰

川端 彰

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「投資用アパートを買ったはいいけど、空室が増えていて上手くいかないよ」。こういう悩みや不安は不動産投資に付きものです。
事実、国内で少子高齢化が進行している以上、こうした悩みは年々大きくなるでしょう。
すでに空室で困っている方は、発想を変えてみるといいかもしれません。

これまで孤独死や家賃滞納リスクの高さから単身入居を敬遠されてきた高齢者を、あえて住まわせて満室経営につなげている不動産投資家が増えています。彼らは口をそろえて「リスクはいくらでもカバー可能」といいます。高齢者を、ある意味「宝の山」と捉えている気さえうかがえます。「人の行く裏に道あり花の山」という投資格言は、賃貸住宅の満室対策にも使えそうです。

目次

1 . 深刻な空室問題

調査会社のタス(東京都中央区)がまとめた「賃貸住宅市場レポート」によると、人口推移が比較的安定している東京都23区の平均空室率は13.07%(2018年5月時点)。調査を始めた16年6月の11.11%から約2%も上がっていることがわかります。

首都圏の中で最も深刻なのが神奈川県で、木造・軽量鉄骨住宅の空室率は40%。人口流出とアパートの供給過剰で、5年前の29%から11%も悪化しています。

同社の調査は、不動産情報サイト『アットホーム』の掲載物件から算出したもので、「空室率TVI」という指標で空室率を示しています。空室のサンプリング数からストックのサンプリング数を割った数値でできており、空室率推移の目安として様々なマスメディアで引用されています。

こうして空室が増えているにもかかわらず、賃貸住宅に単身入居したくても審査が下りずに路頭に迷っている元気なシニアが増えていることが一方で問題視されています。

2 . 高齢者の賃貸需要

介護の必要ない高齢者を「アクティブシニア」と呼ぶそうですが、その比率は将来的に伸びると言われています。
総務省が平成25年に公開した「情報通信白書」によると、200年時点の高齢者人口2800万人弱のうち、アクティブシニアの比率は84.1%。その比率は将来に渡り維持されます。

2020年の高齢者人口は約3500万人にまで増え、うちアクティブシニアは82.6%の約3000万人まで増えるという試算を出しました。

こうしたアクティブシニアの大半は、介護を必要としないので「老人ホームは煩わしいから普通のアパートに住み替えたい」といったニーズを抱えています。

こうした高齢者の賃貸探しは上手くいかないのが現状です。駅前の賃貸仲介店舗に足を運んでも、スタッフに内見すら断られてしまうのはよく聞く話です。
首都圏で7棟65戸を運営している川村龍平オーナーは「私の物件に住んでいる高齢者の中には、『3店舗断られて、4店舗目でようやく案内にありつけた』といった方もいます」と証言されている通り、若年層のようにスムーズに紹介されないといった問題が横たわっているのです。

断られやすい背景には、孤独死による資産価値減少リスク、家賃滞納のリスクといったハードルがあります。
身寄りのない高齢者ですと、自室で孤独死された場合、死後3日経過すると、その住居が事故物件になってしまうというリスクがあります。それに限らず、居住者の親族を探したり、遺品整理をしたり、状況によってはオーナーさんがそれらを負担しなければなりません。

また、高齢者は「仕事がない」「いつ仕事ができるかわからない」と捉えられがちで、住まいを貸す側としては、つい家賃滞納のリスクも感じざるを得ないのです。

3 . 高齢者をターゲットにする理由

しかし、こうした高齢者を優良入居者として積極的に迎えるケースも最近は増えているのです。先の川村龍平オーナーがその一人です。7棟65戸の約3割にあたる20戸が、高齢入居者で占められています。

彼が「(高齢者は)むしろウェルカム」と言い切る理由は大きく3つあります。

ひとつは、高齢者の多くが、若者より真面目だと感じたこと。「若者と比べて、そもそも家賃滞納が少ないですし、部屋をきれいに使ってくれる傾向が強いです」(川村オーナー)。

不良の若者が入居したとき、4ヵ月滞納されたことがあるという。また室内でどんちゃん騒ぎを起こさないので、隣近所に迷惑をかけない、室内もきれいに保たれるとのことでした。
また彼らは我慢強く、入居時に多少部屋が汚れていてもあまり文句をいわない傾向もプラス材料として評価されていました。

ふたつ目は、孤独死の心配は、容態が悪くなったら病院につれていけば問題ないということ。
川村オーナーは自主管理タイプの専業の不動産投資家であるため、入居者と直接連絡をとりあい、家賃集金などを行っています。きちんと連絡をとっていれば、高齢者の様態の良し悪しに気付くことができ、具合が悪くなれば都度、病院に入院させています。これまで数人、病院に案内したことがあったそうです。
こうした配慮は、管理会社に管理委託していても、スタッフと連携がとれていれば、対応は可能とのことでした。

三つ目は、万が一孤独死されたしまった場合でも、今は「孤独死保険」に加入していれば金銭的ハードルはクリアできるということ。
孤独死保険は、いまはどの損保会社も対応しています。大手でなくとも、年数千円の負担で加入できる少額短期保険などもあり、日々選択肢は広がっています。川村オーナーが加入されている孤独死保険は、入居者の死後、初年度は家賃の半額が支給され続け、2年目以降は1万円ほどが支給されるといった内容でした。

今後ますます空室解消が難しくなる時代、高齢者を迎えざるを得ない日は必然的にやってくるでしょう。来るべきときに優良入居者として迎えられるよう、賃貸住宅を所有している不動産投資家の方々は、フォローの仕組みをあらかじめ構築しておいたほうがいいかもしれません。

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