フルローンはなぜ成立するのか?盲点となっている仕組み

0
フルローンは成立するのか

フルローンを組んで不動産投資をするというのは、投資という面から考えれば、最も効率のいい方法です。
自分のお金を投資に使わず、大きな投資として動かしていくことになるのですから、投資対効果として考えれば、驚くべき数値になってしまいます。
フルローンとは、アパートローンを組むときに、収益物件の購入代金を全て融資でまかなう方法なのですから、できれば狙っていきたいところなのです。
といっても、不動産の購入の際にはこれ以外の諸費用がかります。
不動産会社や仲介業者に支払う仲介手数料だったり、銀行への貸出手数料、不動産取得税や登記費用といった諸費用はフルローンで借りることはほぼできません。
この諸費用は、購入金額の10%程度として計算します。
ですので、まったく現金なしでスタートできるわけではないということは承知しておくべきです。
一般的な考え方で行くと、1億円の物件の購入を考えた場合、最低でも2000万円の自己資金を頭金に入れると考えます。
さらに、1000万円が諸費用としてかかるため、3000万円の投資となってくるわけです。
金融機関が不動産経営ということで融資をする場合、8割程度しか融資を認めないということが基準とされる中、なぜフルローンが成立するのかを考えなければいけません。
評価の差の問題

仕組みの裏にあるのは、金融機関が行っている物件に対する評価と市場価値が異なるからです。
ここが重要なポイントとなります。
金融機関におけるアパートローンは、時価評価に基づいて計算をします。
これによって、融資限度額をはじき出すわけですが、その計算の基礎にあるのが、路線価になるのです。
市場価値は、この路線価とは異なります。
ここが大きなポイントになってくるのです。
日当たりや土地の形といった条件に、建物の構造が特殊であるいうことを条件とします。
よくあるケースですが、変形している土地で強引に建築したケースです。
路線価は、周辺の状況で面積などに掛けられ計算されますが、市場価格は売れるかどうかです。
こうなると、日当たりにも問題があり変形した土地で特殊な建物となれば、路線価を大きく下回ることが考えられます。
金融機関が評価するのは、あくまでも路線価ということになれば、この差を利用することによって大きな融資を引き出すことができるようになるのです。
これが一つの仕組みであるといえるでしょう。
ただし、どこでも通じるという条件ではなく、もっと細かく精査されれば通らないということも出てきます。
それでも、こうした仕組みを知っているだけで、優れた収益物件を見つけるチャンスにはなるでしょう。
返済能力の評価

金融機関の評価が実際の市場価値よりも大きくなれば、実際にフルローンが可能となります。
通常のアパートローンで必要となる頭金もいらなくなるわけです。
ここに、金融機関がチェックするポイントが隠れています。
フルローンのデメリットは、毎月の返済金額の増加です。
毎月の返済額が増えたとして、返済できるのであれば、金融機関は大きな金額を貸し付けたことによる利益を生むことができるでしょう。
たとえば、1棟買いして、10部屋あるとします。
好条件で、10部屋のうち9部屋分は常に入居者がいるであろうと仮定できるとして、1件当たりの家賃が6万円だったとすると、54万円の収入が考えられます。
主たる収入がある人で、40万円は返済してくれるとするのであれば、年間480万円です。
仮に25年返済とするのであれば、1億2000万円となるわけです。
金利もありますが、ここでは考えないとすると、安全を考えても1億円融資しても問題はないと考える可能性が出てきます。
この金額から、取得金額が1億円であったとするのであれば、フルローンもできると踏むことができるでしょう。
こうした計算ののちに、フルローンを考えることも大切なことなのです。