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賃貸業界のいま。そして今後はどうなっていくのか?

桜木大洋

桜木大洋

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不動産投資における唯一最大のリスクは「空室」です。
どんなに素晴らしい物件でも必ず空室になる時がくるし、そうなった時にオーナーとしてどう動くか、が賃貸経営を支える重要な課題となります。

サラリーマンの副業として賃貸経営をしている場合はもちろん、専業であっても管理会社に業務を委ねて、経営を上手にコントロールしている方も多いでしょう。
たとえ管理会社に委託する場合でも、いざという時にはオーナーとして指針を決める判断材料にするため、市場の情報や現場の流行についてはよくアンテナを張っておかなければなりません。

今回は募集条件と告知手段について、特徴的な傾向を解説していきます。

目次

1 . 募集条件

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の総合研究所が2017年1月に発表した
「第16回 賃貸住宅市場景況感調査 日管協短観」(2016年4月〜9月)を見てみます。

これは、いわゆる管理会社の業務実績から賃貸市場の景気が上向きなのか下向きなのか、もしくは項目別にみるとどんなところに変化が見られるのか
といったことを一つの「統計」で測るものです。
「短観」と言われると、日銀短観(全国企業短期経済観測調査)のように、企業の業績から景気を読み解く感じでピリッとしますね。

また、データの集計結果は、現時点での最新情報から若干のタイムラグがあることを承知の上で、事実に基づいた傾向値として捉えることに着目します。

1)入居条件として交渉されるもの
これは入居者が部屋を決めるとき、「もう一声!」という意味合いでオーナーに交渉してくる、プラスアルファの条件のことです。これを管理会社にヒアリングしたところ、一番多いと答えられたのは「賃料」。次が「礼金敷金などの初期費用」、そして3番目が「設備の設置」。

やはりそうでしょうね。私たちオーナーは、できるだけ家賃を下げずに何か設備を設置した方が、後々のバリューアップにも繋がるため一挙両得、などと都合の良いことも考えてしまいますが、入居者は設備の増強よりも、お金に直結するサービスを望む方が、まだまだ多い、ということを示しているようです。

2)入居条件として実際に成約されたもの
これは、実際に成約した時の「オーナーがのんだ条件」と言ってもいいでしょう。
最も多いのが「フリーレント」。次に「礼金なし」、3位が「敷金なし」。
賃料を下げたという回答は7.8%程度でした。

オーナー目線では、賃料を下げてしまうと、それから何年住むかわからないけれど、住まわれた年月の賃料分が失われていきます。
さらに、いざ物件を売却する時、家賃収入が少ないと、それだけ収益性の低い物件として売買価格を安く設定せざるを得なくなってしまいます。ですので、できるだけ賃料は下げずに、一過性である礼金をあきらめたり、最初に預かるかたちで受け取る敷金を、はじめから受け取らないということを選択します。

しかし、敷金礼金ゼロというのはもはや珍しくなくなっていますので、次に効果性の高いサービスとしてフリーレント(期間限定の無料貸与)があり、今はこちらの方が主流になっています。

フリーレントとは、1ヶ月分や2ヶ月分の賃料をタダにすることです。もちろん入居者にとってもメリットがありますが、オーナーにとっては、その期間、決まらずにいるリスクを取るよりも、入居を前提に成約してしまった方が安全と考えられます。

たとえば学生さんをターゲットにした場合など、1月下旬から2月にかけて進学先が決定するため、4月からの入居を前提に、2月・3月はフリーレントという条件を出す物件もエリアによっては少なくありません。

2 . 管理会社の売り上げ推移

これは物件の管理業務という市場の景気を表すものです。管理会社の売り上げ・利益の源泉となる賃貸仲介料、管理手数料、リフォーム関連、売買手数料、建築売り上げ、保険などの全項目において、前年同期比を下回ったそうです。

家賃がベースになる賃貸仲介料や管理手数料の値下げは、管理会社にとっても取り分が減ってしまうためできるだけ避けたいという意識がはたらいてくれます。つまりオーナーの意向と合致しているわけですが、それでも物件が増え続けると、どうしても競争が生まれ、結果的に家賃の下落を招いています。さらにリフォームや建築関係など人の作業に重きをおくものは、市場が飽和すると限界まで値段が下がっていくものなので、ますます厳しい状況にありますね。自身の手で何かを作るのではなく、「手数料」「仲介料」といういわゆる中間マージンを取ることがビジネスの柱となっている管理会社は、近年とくに大変な環境だということがわかります。

では、そんな管理会社の事情を背景に、最も重要な客付けの実態について見てみます。

ある日の賃貸住宅新聞の記事によると、2015年の調査で、賃貸ユーザーが部屋探しで訪問した不動産会社数の平均値は2・3社だそうです。 つまり空室対策として、集客数・契約数アップを図るには、この限られた訪問社数に選ばれるか否かで勝負が決まると言っても過言ではありません。

そこで重要となるのがインターネット。特にネット利用者の8割が利用すると言われているスマホ向けの物件広告がカギとなります。

3 . 集客数アップのためのネット広告のポイント

1)物件写真の質と数
ネット広告において今や基本となるのが「写真の点数」です。 昨年の調査でも「ユーザーが求める情報」というリサーチ結果でダントツの1位でした。

室内、設備にとどまらず、周辺の店舗や道路状況が確認できる写真が求められています。
室内や設備写真も広さや使い勝手がわかる写真の支持率が高いようです。

そして、不動産情報サイトへ広告を出稿する際は、点数制限をフル活用するのが効果的です。
たまたま先日、私がコンサルティングをしている方から
「年末まで5部屋が空室だったのですが、写真を入れ替え、360度写真を導入したところ、残り空室1つまで来ました。」という嬉しいお知らせが届きました。

「360度写真」もユーザーにとって臨場感があり、あたかも内見しているような感覚で効率が良いようです。私が懇意にしている会社の社長も、360度写真は必須だと言っています。今の部屋選びにとって写真がいかに重要な役割を占めているか、ということです。

2)情報は正確に
もう一つ重要なのが「正確な物件情報の提供」です。こちらは同じく昨年のリサーチ結果で、「今後求められているもの」つまり「現状ユーザーが満足していないもの」という項目の中で1位。情報は時に粉飾されていることがあり、それが最も嫌がられています。

自分の物件がどのような形でネットに掲載されているか、欠かさずチェックすることも大切。もしも写真や間取り図がなく、使える設備についても十分な情報が掲載されていない時には、すぐに管理会社に連絡して改善を要求しなければなりません。

空室期間を少しでも短くし、素早く入居者をつけてもらうために、退去後にすぐさまクリーニングやリフォームを実施し、インターネットで魅力的な告知を準備することが必須です。そしてそのためには、賃貸仲介会社が動きやすいように、迅速な判断と的確な依頼を心がけることが大切ですね。

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