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不動産売却にかかる税金とは?支払い時期と譲渡所得の計算方法

ファイコロジスト 山田

ファイコロジスト 山田

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「不動産は買ってから5年以上経ってから売ると税金が安くなる」ということを聞いたことがあるでしょうか。不動産投資は継続的な収入を得ることを目的として行われることが多い投資法ですが、売却益で大きく儲けたいという人も少なからずいると思います。しかし、やみくもに売ってもその利益には税金がかかるため、思ったほど手元に残るお金がなかったということがあるかもしれません。今回は不動産を売却するときに大きく負担がかかる譲渡所得の支払い時期や計算方法について説明します。税の仕組みをうまく使って利益を最大限にしてください。

目次

1 . 不動産売却にかかる税金と支払い時期

不動産に関することにかぎらず、日本の税制は複雑にできています。売却にかかる税金は大きく分けて二つあるので、計算方法を間違えないようにしましょう。

1-1 . 印紙税

画像出典:国税庁

印紙税とは、簡単にいうと、紙の書類を作るときに納める税金です。法律で決められた一定の文書(課税文書)を作成するときに発生します。対象となるのはビジネス上の取引で発生する契約書や領収書です。20種類が印紙税法で列挙されており、 その中に不動産売買契約書と明記してあります。

通常、契約にかかる費用は買主と売主が折半することになっています。そのため印紙税もそれぞれが負担することになるのが一般的です。課税文書ごとに発生するので、例えば契約書が3通あればそれぞれについてかかることになります。

印紙税の税額は契約書に記載されている金額によって変わります。つまり売買代金によって納める額が決まるわけです。

不動産売買契約書については平成32年3月31日まで軽減税率が適用されており、例えば 1億円超~5億円以下のものは6万円。もし土地と建物が合わせて3億円の物件を売却したら、売り主は6万円の印紙税を負担することになります。

「折半」なら半額になるのでは?と思った人もいるかもしれませんが、そうはなりません。基本的に表のとおりの金額を負担することになります。捺印した原本を、売り主と買い主それぞれが保管するため、同じ契約書を2通つくるからです。

印紙税は所得税や法人税のように確定申告をするわけではなく、課税文書を作成するときに収入印紙を貼り付けることによって支払ったことになります。コンビニなどで売っていますが、契約書を作成する不動産業者や司法書士が用意してくれるでしょう。つまり印紙税の支払い時期は契約書作成時です。

なぜこのような税金が課されるのでしょうか。印紙税は言ってみれば取引税です。ビジネス上の取引があるところには儲けが発生しているので、国はそこに課税してやろうということなのでしょう。

なるべく費用を抑えようとして払わないと、他の税金と同じように脱税扱いになります。あくまでも紙の文書を作成するとかかるものなので、電子契約書にすれば発生しませんが、不動産の取引ではあまり一般的ではありません。

1-2 . 譲渡所得に対する税金

印紙税は10億円を超える契約でも32万円ですので、取り引き規模に対してそれほど大きな負担とはならないでしょう。問題となるのは譲渡所得税です。利益に対して一定の税率でかかるため、金額として非常に大きくなることがあります。

印紙税は取り引きごとにかかるため、売却益が出たか損が出たかにかかわらず発生します。譲渡所得税は10種類ある個人所得税のうちのひとつで、年間を通して利益が出たときにだけ納めます。

家賃収入に対して税金がかかる不動産所得は、給与などと合算(総合課税)しますが、譲渡所得は分離課税。株やゴルフ会員権などの売却益も譲渡所得ですが、不動産とは取り扱いが異なるため、別々に計算します。

譲渡所得税は売却して利益を得た人が翌年の3月15日までに確定申告します。このときに国税である所得税を支払い、地方税である住民税はそのあとに別途通知がくるか、給与天引きで支払います。

譲渡所得の計算式は次のとおりです。

 収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)

つまり売った金額から、その土地や建物を購入するのにかかった費用と売却するために支払った費用を引くことで、課税の対象となる金額を算出します。もちろんマイナスだったり0だったりすれば払う必要はありません。

気になる税率はというと、約20%か40%。保有期間によって異なります。
取得から5年後の12月31日までに売った場合は短期譲渡所得となり39.63%(所得税30.63%、住民税 9%)です。
6年め以降の売却は長期譲渡所得となります。課税所得に対して20.315%(所得税15.315%、住民税 5%)が税率です。

2 . 譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算について詳しく見てみましょう。具体例も記載します。

2-1 . 収入金額・取得費・譲渡費用はそれぞれいくらか

収入金額はいわゆる売却代金。不動産を売ることで買い主から受け取る金額です。

取得費は土地や建物の購入代金だけではありません。仲介手数料登録免許税不動産取得税印紙税なども含めます。購入の際、リフォーム・リノベーション、土地の造成・測量をしていればこの費用も取得費です。いわゆる「古家付き土地」を買ってすぐに建物を取り壊した場合の解体費用も対象となります。

建物の取得費は経年劣化分を考慮しなければなりません。つまり減価償却後の価格です。

取得費がわからない場合は収入金額の5%とします。取得費が収入金額の5%未満だった場合も同様です。

譲渡費用としては売り主が負担した仲介手数料印紙税、入居者へ渡した立ち退き料、土地として売るために建物を取り壊した場合その解体費用などが挙げられます。

修繕費固定資産税など維持管理の費用は譲渡費用にはなりません。

2-2 . 譲渡所得の計算例

譲渡所得にかかる所得税と住民税を具体的に計算してみましょう。

保有している土地と建物を合計8000万円で売ったとします。この物件はもともと11年前に土地を3000万円で買い、5000万円で新築した木造アパートです。

木造住宅の法定耐用年数は22年なので、減価償却分を考慮すると建物の取得費は
5000万円×11(経過年数)÷22(法定耐用年数)=2500万円
です。

登録免許税不動産取得税、造成費用などその他の取得費は合わせて500万円でした。
取得費の合計は
3000万円(土地)+2500万円(建物)+500万円(その他の取得費)=6000万円です。

譲渡費用は仲介手数料や広告費などの諸経費を合わせると300万円でした。

課税される譲渡所得は次のようになります。
8000万円【収入金額】-(6000万円【取得費】+300万円【譲渡費用】)=1700万円
取得から売却まで5年以上経過しているので長期譲渡所得です。
1700万円×39.63%=345万円【所得税と住民税の合計】
最終的に手元に残るのは1355万円です。

ちなみに課税所得が同じ1700万円でも、短期譲渡所得となる場合、所得税と住民税の合計は約674万円。手残りは1026万円です。多くの不動産投資家が5年以上保有してから売却するのも納得できるのではないでしょうか。

3 . 不動産売却時に利用できる特例

マイホームを売った場合には、特例として譲渡所得から3000万円を差し引く特別控除を適用されることがあります。しかし賃貸用の不動産の場合は対象外です。ただし特定事業用資産の買い換え特例が使えることがあります

3-1 . 特定事業用資産の買い換え特例とは?

事業に使う不動産を買い替えたとき、税金の支払い時期を先延ばしにできる、税制上の特例です。

事業用の土地や建物などを売り、間をおかずに特定の地域にある不動産を買って事業に使うようになった場合、譲渡所得の一部を支払わずに済みます。課税時期を将来に繰り延べているだけであり、税金がかからなくなるわけではありません。

税金を「ツケ」にしておくことで、将来損が出たときに相殺できる可能性があります。

譲渡所得に対する税金のすべてが繰り延べられるわけではなく、地域によって20%から30%は売った年の所得として支払わなければなりません。

3-2 . 特例を受けるための条件

この特例を受けるためには数々の要件を満たさなければなりません。
・売った日の1月1日の時点で10年以上保有していること。
・国内の事務所、工場、店舗、倉庫、住宅などが対象となる。
・売った年の前後1年以内に新しい不動産を買うこと。
・新しい不動産買ってから1年以内に事業に使い始めること。

3-3 . 特例の利用方法

この特例を受けるためには、次の三つの書類とともに確定申告をしなければなりません。
・譲渡所得の内訳書
・新しい不動産の登記簿など、買ったことが証明できるもの
・対象の地域であることがわかる自治体発行の証明書

計算方法はとても複雑ですが、正しく計算さえできれば書類を集めるのは難しいことではありません。

税金の支払いを繰り延べることで、納税資金を確保する必要がなく、そのぶん投資に当てられます。古いアパートやマンションを売って新しい物件を買うときには検討の余地があります。

4 . 不動産売却にかかる税金を減らす方法

益があるところに税金が発生するというのは前述のとおりですが、支出は何とかおさえたいというのが投資家の共通する思いだと思います。譲渡所得税を減らすためには次のような方法が考えられます。

・長期譲渡所得が適用されるように売却時期に気をつける。
・測量や立ち退き料など、見落としがちな取得費や譲渡費用をもらさず計上する
・損益通算する

これらはすべて合法的な節税方法です。

長期譲渡所得と取得費・譲渡費用についてはすでに説明しました。ここでは損益通算について解説します。

不動産の譲渡所得は、基本的に給与や株の売却損益など、他の所得と損益通算(利益と損失を相殺すること)はできません。しかし不動産の長期譲渡所得どうし、短期所得どうしなら可能です。

例えば家賃収入が低くてキャッシュフローが赤字の物件があり、それを売ったら譲渡所得もマイナスになったとします。同じ年に他の物件を売って利益が出ると、黒地物件の売却にかかる税金を赤字物件のマイナスで相殺することができ、税金をおさえられます。

例えば減価償却後の価格が1000万円の区分マンションを800万円で売却し、200万円の譲渡損失が出たとします。その年の12月31日までに2000万円のアパートを2200万円で売却すると、区分マンションによる200万円の赤字とアパートによる200万円の黒字が相殺されて税金はゼロになります。

5 . 譲渡所得の計算は複雑

不動産を売却したときの税金には主に印紙税と譲渡所得税があります 。譲渡所得税は短期と長期の区分があったり、特例があったり、費用に含めるかどうかに判断の余地があったりと複雑です。難しいケースの場合は税理士など専門家に相談してください。

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