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新しい観点でみる、これからの空室対策とは?

桜木大洋

桜木大洋

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最近はマイナス金利政策によって
金融機関が不動産融資に積極的にならざるを得ない状況と
相続税対策のために自分の土地にアパート建てたいと考える資産家の
ニーズの合致により、次々と新しい物件が建ってきています。

一方、人口は言うまでもなく減少しているわけですから
住居ばかりが増えつづけていけば
当然、入居率の低下が進みます。

これが「世の中の流れ」ではありますが、
だからと言って「空室率」などの統計データを気にして
絶望感やあきらめの気持ちを抱いていても仕方ありません。

たとえ全体の傾向がダウントレンドにあったとしても
自分の物件だけは客付会社とタッグを組んで
うまく差別化をして満室を維持していくことを考え続けるのが
賃貸経営の醍醐味です。



そして、もしも今現在、空室に悩んでいるならば
この「世の中の流れ」にのっとって
ターゲットを見直してみることも一つの策です。

それは、これまでは入居を敬遠しがちだった層について
改めて可能性を考えてみることです。

目次

1 . 高齢者

65歳以上の高齢者は3,384万人(平成27年9月国勢調査)で、 全人口の26.7%になっています。

実際、高齢者は持ち家率が高く、 この割合が賃貸マーケットのターゲットとは言い難いものの、 空室が増加しているのなら 高齢者というだけで入居を避けている場合ではありません。

高齢者の入居で心配な点は、孤独死が一番に挙げられますが リスクを軽減するために人感センサーを用いたサービスや NPO法人による見守り巡回サービス、新聞配達の会社と提携したサービスなど、様々な対策が各管理会社で検討されています。

ただし、孤独死については高齢者に限ったことではないようですので、この対策については後述します。

2 . 障害者

実は障害者も増加していて、 知的障害者は過去11年間で2倍になりました。

また、
身体障害者393万7,000人
知的障害者74万1,000人
精神障害者320万1,000人
で、全人口の約6.2%にあたります。

近隣との揉め事や差別意識から、 こうした方々の入居に踏み切れないオーナーもいるようですが、 医療機関や地域と連携したり、同居者や家族と相談しながら 対応していくことも可能です。

3 . 外国人

昭和61年には86万7,000人だった長期外国人滞在者は 平成27年で223万人と、3倍近く増えています。 全国の大学でも少子高齢化に伴い 積極的に留学生を受けて入れています。

また、最近増えているのは 企業が労働者として求めている 建設や介護などの特定の分野で技術を習得する外国人です。

対策としては 管理会社が英語や中国語を話せるスタッフを雇ったり 外国人のための保証会社もできていて 家賃滞納への対応も整備されつつあるようです。

4 . シングルマザー

2010年の調査では全国に108万2,000人の シングルマザーがいます。 必ずしも生活が困窮しているわけではありませんが、 収入面で滞納リスクなどを心配する大家さんも多く 保証人を立てないと入居を認めないケースも見られます。

一方で、シングルマザー向けのシェアハウスなど 積極的に特徴を打ち出していくオーナーが出てきています。

5 . あらゆる層を見据えた運用管理

このように、 「新しいマーケット」であるべき住宅確保困難者に対し、 オーナーが食わず嫌いで先入観が邪魔をしているケースが多いようですが、 一つや二つの事例や聞きかじりで判断せず、 きちんと入居希望者と向き合い、 管理会社と相談しながら しっかりと空室を埋める対策を考えたいですね。

さらには、このような前向きに捉える施策の反面、 万が一の場合に備えておく対策も必要です。

不動産賃貸業を営むリスクの一つとして 貸している部屋で入居者に死なれてしまうことが 挙げられます。

そうなるとその部屋は 「事故物件」として扱われ、 次に入居を検討する人には その事実を伝えなければならない義務があります。

一般的な感情として、 自分が住もうとしている部屋で そのようなことがあると いろいろと気になることもあるでしょうから

家賃を通常の半額にしたり 思い切って1万円くらいにしたりしないと なかなか入居が決まらないことが多くなります。

中には、少しでも割安な家賃の部屋に住みたいと そういう物件を狙って探している人も いるにはいるようですが。

6 . 孤独死の実状

この対策を考えるために、 まずは実際に起こった孤独死の調査データをもとに その内実を見てみましょう。

一般社団法人少額短期保険協会が発表した調査データでは、 2015年4月から2016年1月まで 保険金が支払われた保険会社14社の孤独死のケースを 対象にしています。

これによると 年代別にみて孤独死が一番多いのは

60代で144人(全体の32.7%)
次いで
70代の71人(18.5%)
40代の67人(17.4%)
となっています。

生産人口年齢にあたる20〜59歳のゾーンでは 128人(29%)にのぼり、 孤独死は決して高齢者だけの問題ではないようです。

また、どの年代でも男性が圧倒的に多く 合計では男女比が8:2になっています。

賃貸住宅に暮らす男性の割合は約57%なので、 いかに男性に多く孤独死が起こっているかがわかります。

調査結果全体のうち
病死したケースは58.4%を占め
自殺は15.2%

個人的には、自殺も結構多いんだな、と感じました。

発見までにかかった日数では
14日以内に発見されるケースが全体の65%以上
30日以上かかるケースは17.3%

平均日数は24日だそうです。

男性に比べて女性の方が
発見されるまでの日数が短い傾向があり
男性のうち30日以上かかる割合は20%
女性は3.5%で、平均日数も男女差で16日もあるようです。

これは男性の方が周囲とのコミュニケーションが少ない ということが主な要因とみられています。 女性を発見する人は親族・友人・知人が52%である一方、 男性の場合は45%が管理会社や福祉サービス・自治体に 発見されています。

私も男性ですが、賃貸オーナーとしてよりも 何かの事情でもしも一人暮らしをする身になったとしたら このような確率も高まるのかと思うと ちょっと身につまされる思いがします。

孤独死が発生した部屋にかかった損害額としては
遺品整理などの残置物処理費用は平均で21万2,920円
原状回復費用は平均38万7,440円。

この他、家賃支払いが滞った分は 本来 遺族や連帯保証人に支払い義務がありますが、 なかなか連絡がつかないケースもあるそうです。

孤独死は本当に気の毒なことですし、 予防策としては、人感センサーや見守りサービスなどの活用も 注目されていますが、起こってしまった場合を想定して、 保険に入っておくことも検討した方が良さそうです。

物件の規模を拡大すればするほど こういうリスクも高くなります。

不動産賃貸業は社会的意義の高い仕事であるという自負を持ちながら、 前述の住宅確保困難者に対してもターゲットを開くこと、 そして、いざという時の備えをしっかりしておくことも、 経営者として一考の余地がありますね。

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