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「一人一台スマホ時代」にネット無料マンションは必要なのか

川端 彰

川端 彰

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集合住宅にインターネット回線を敷設して入居者個人がネット契約をしなくてもインターネット回線を使えてしまう「ネット無料マンション」が増えています。
全国賃貸住宅新聞が集計した「人気設備ランキング」でも毎年一位を飾っていることから、近年の新築マンションには標準装備されており、同設備のないアパートでは後付けで工事を申請するオーナーや不動産会社が増えています。
ですがこの「ネット無料マンション」、スマートフォンを一人一台所有する時代、下手したらスマホだけでなくwi-fi端末を持ち歩いている現代人なら、ネット無料マンションは必要なさそうな気がします。

この時代にあって、あえて「ネット無料マンション」が選ばれている理由は何でしょうか。今回はその理由を追っていきます。

目次

1 . ネット無料マンションとは?

ネット無料マンションとは、インターネット設備を設置したアパートや賃貸マンションを指します。
なぜ「無料」とつくかというと、入居者が無料で使えるからです。まずは、ネット回線の敷設や工事方式について、最初にお伝えしていきます。

1-1 . 集合住宅にネット回線を敷設

ネット回線を契約するのは、賃貸住宅の所有者であるオーナー個人になります。
ただし工事費や月額の使用量を家賃や共益費に織り込まれるケースが大半であるため、「無料」とつけるべきかどうかは、業界内では賛否両論ありますが、仮に織り込まれていたとしても、家賃や共益費の上積み分は2000~3000円が相場になります。
入居者個人が契約すれば約5000円かかりますから、入居者にとっては少し安くなって契約の手間が省けるというメリットのある住宅設備ということになります。

1-2 . 工事方式は主に3種類

工事方式は主に3種類あり、「LAN方式」「VDSL方式」「Wi-Fi方式」です。これらの特長を、ネット工事会社のD.U-NET(ディーユーネット・東京都江東区)の青木裕介課長に聞いてみました。

高速通信のLAN方式

高速通信の代名詞的存在です。安定した通信を確保できる一方で、宅内への配線工事が必要になるというデメリットがあります。
宅内工事をするということは、入居者に一時的に退去してもらうなどの煩わしい調整が必要になるということです。

既存電話回線のVDSL方式

既存の電話回線をそのまま使えるのがVDSL方式のメリットになりますが、通信速度が低速であることと、近年は供給メーカーが少なくなっており、購入すべき機器が高額になりやすいというデメリットもあります。

無線のWi-Fi方式

いま一番需要の多い工事方式ではないでしょうか。無線機器なので設置が簡単で、工事費が割安になるメリットがありますが、いかんせん電波を使うため「安定性に欠ける」(青木課長)というデメリットがあります。

安定性に欠けるというのは、設置個所によって無線が通過しにくい場所があるということです。「電波の通り道に玄関やユニットバスがあると難しい」(青木課長)などの細かい事情があり、リビングルームが奥にある場合は、付け方を工夫する必要があるようです。

人気設備ランキングで一位

ネット無料設備は、賃貸住宅を管理する不動産会社から根強い支持を得ています。
人気設備ランキングとは、業界専門紙の「全国賃貸住宅新聞」が毎年秋に実施している業界ランキングのことです。2017年10月16日号で紹介されたランキングでは、空き室を紹介している不動産会社372社の回答から集計しています。

さて、その中でネット無料設備は、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」という分野で、単身者向け、ファミリー向け物件ともに一位をとっています。

その理由について1万3000戸を管理している不動産会社、リゾン(埼玉県朝霞市)の担当者は、「ネットゲームやネット動画を自宅で楽しみたいというニーズが増えた」と話します。
ネット付きマンションを、管理戸数のうち約10%を占める1000戸強まで増やし、「その物件も家賃に2000円上乗せした。それでも顧客に案内すれば契約しやすい物件になっている」(担当者)とネット付きマンションの効果を感じているようでした。

2 . スマホ普及後もネット付きは重要

では、ネット付き賃貸物件の重要性はどの程度あるのでしょうか?

2-1 . 通信量は年々上がっている

通信量は年々増加し、ネット設備の需要は今後も高まりそうです。
ウェブサービスの多様化やIOT機器(モノのインターネット化)の普及で、生活のあらゆるシーンでネットが使われるようになるからです。NetflixやHuluに見られる動画視聴サービスのほか、高齢者の見守りサービスや家具家電の遠隔サービスはすでに実用化されています。

総務省が2015年に発表した「通信利用動向調査」によると、1997-2015年までの利用人口は1000万人強から1億人へと約10倍増えました。

2-2 . スマホ普及してもネット付きは重要

個別のWi-Fi端末やスマホが普及しても、こうしたネット無料マンションが選ばれやすい背景には、ひとつ、動画を視聴する人が増えた、ということがあります。

動画サービスが普及したといっても、全体の通信量がピークに達する午後10-11時頃は回線が混雑して通信が安定せず、スムーズに視聴することは困難になります。ですが、マンションに設置されているネット回線を使えば、スマホや手持ちの端末とは別回線になるので、視聴がたやすくなります。

この点、効果を実感したと述べたのは、兵庫県の原健司オーナーです。6年前にブロードバンド回線を導入した直後は、すぐに入居率の改善には結びつきませんでしたが、ここ2年前からは、家賃下落と退去の防止に役立っていると実感しているそうです。「通信料が増加してネット付きを求める声は、少なくとも私の周りでは増えています」と語ります。

3 . 今後も大事になる「ネット設備」

現代人にとってのインターネットは、それがなければ仕事や趣味ができない必需品ツールになっています。
今は動画やメールが主力コンテンツかもしれませんが、近い将来、見守りサービスが普及したり、スマホがすべての家電・家具とつながるIOT住宅が大量供給され、「家にネット回線がついている」ことが当たり前になる日もそう遠くないかもしれません。

ネット設備はそれだけ重要なものになってくるので、今から自分の賃貸住宅で一括契約することは、入居率の改善に即時性がなくても、大損をするということはなさそうです。

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