HOME 賃貸経営 サブリース契約とは?メリット・デメリットを把握して定期収入を実現

サブリース契約とは?メリット・デメリットを把握して定期収入を実現

中村 昌弘

中村 昌弘

0

不動産経営をするときに「サブリース契約」という方法があります。この方法は安定的に家賃収入が入ってくるなどのメリットがあるため、利用している大家も多いです。しかし、メリットがある一方でデメリットやリスクもあります。

デメリットやリスクの中には訴訟に発展する事項もあるので、サブリース契約を結ぶ前に必ず確認しておきましょう。今回は、そんなサブリース契約のメリット・デメリット、および注意する点を解説していきます。

目次

1 . サブリース契約とは?

まずはサブリース契約の仕組みについて解説します。不動産の賃貸にはサブリースと似ているサービスもあるので、そのサービスとは混合しないように気を付けましょう。

1-1 . サブリース契約の仕組み

サブリース契約とは、転貸を目的とした一括借り上げになります。サブリース契約の流れは以下の通りです。
・大家がサブリース会社に物件を貸す(マスターリース契約)
・大家が第三者を募集して賃貸借契約を結ぶ

つまり、大家は法人であるサブリース会社と契約を結び、サブリース会社が第三者に又貸しするということです。そのため、たとえ第三者が見つからなくて実際に住んでいる人がいなくても、大家はサブリース会社から賃借料(リース料)を得ることができます。

サブリースの賃料

ただし、大家がサブリース会社に物件を貸すときには、賃料(リース料)が相場の80%~90%になります。その後に、サブリース会社は第三者に相場金額で賃貸するので、その差額がサブリース会社の収益になるというわけです。一方、大家は空室になっても賃料が入り続けるというメリットがあります。

借り上げ方法

サブリースは「一括借り上げ」ともいわれますが、建物一棟を借り上げるパターンだけでなく、一室から借り上げることも可能です。

また、借り上げた後の入居者募集や集金などもサブリース会社が行うので、その対価としての手数料が家賃の10~20%程度かかることもあります。この手数料設定は、サブリース会社によって異なる点です。

1-2 . サブリースと混同しやすいサービス

サブリースと混同しやすいサービスとして、以下の2つのサービスがあります。
・家賃保証サービス
・滞納保証サービス

サブリースも空室時に家賃保証をしてくれますが、「家賃保証サービス」というのも別にあります。家賃保証サービスは、大家が家賃保証会社にお金を支払い保証人になってもらい、入居者が滞納したときに保証会社に立て替えてもらうサービスです。

このように、家賃保証サービスはサブリースと違い、実際に居住する人と大家の間にサブリース会社は入りません。また、滞納保証サービスはサブリース会社に手数料を支払うことで、入居者が家賃を滞納したときに立て替えてもらうサービスです。

上記のような滞納時や空室時に保証するサービスなどを付けずに、賃借人の募集や管理だけを依頼する「管理委託」というサービスもあります。

2 . サブリース契約の5つのメリット

さて、そんなサブリースには、以下の5つのメリットがあります。
・空室リスク・滞納リスクを回避できる
・物件の管理業務を委託できる
・入居者の募集・管理の手間が減る
・入居者トラブル(訴訟・クレーム)の当事者にならない
・確定申告が楽になる

2-1 . 空室リスク・滞納リスクを回避できる

まず、先ほども少し触れましが、サブリース契約をすれば空室時や滞納時でも家賃収入があります。賃貸運営をしている大家にとって、空室および滞納時が最も大きなリスクになるので、この点を解消できるのはサブリース契約の非常に大きなメリットいえるでしょう。

また、特に滞納時は家賃を回収できないだけでなく、入居者とトラブルになるリスクもあります。サブリース契約をしておけば、このようなリスクも回避でき、かつ安定して収入を得られるというわけです。

2-2 . 物件の管理業務を委託できる

また、サブリース契約には、サブリース会社に以下の業務を依頼できます。
・室内清掃
・電気設備点検
・給排水設備点検
・昇降機設備点検
・排水管点検
・室内防災点検

一室だけの場合は、上記の「室内清掃」だけですが、一棟を管理している場合は共用部の管理も大家の仕事です。このような業務をサブリース会社に依頼できるので、この点もサブリース契約のメリットになります。

2-3 . 入居者の募集・管理の手間が減る

さらに、本来は大家が行う、以下のような入居者とのやりとりも、サブリース契約なら管理会者が行います。
・空室募集
・家賃入金確認
・滞納催促
・入居手続き
・更新手続き
・解約手続き
・クレーム対応

特に、滞納時の催促やクレーム対応は、素人である大家には難易度が高いです。通常の管理委託でもサブリース会社は上記のことを行いますが、サブリース契約もこの業務はサブリース会社が行います。

2-4 . 入居者トラブル(訴訟・クレーム)の当事者にならない

基本的には、入居者とのトラブルは、大家と入居者間で解決しなければいけません。賃貸のトラブル事例では、最悪の場合訴訟に発展するケースもあるほどです。 その点、サブリースの場合は、入居者と直接契約を結ぶのはサブリース会社になります。そのため、入居者とのトラブルやクレーム対応は、大家は関与せずにサブリース会社が処理することになるのです。

2-5 . 確定申告が楽になる

仮に、10部屋あるアパートの一棟経営をしていたとします。そのときには、10部屋それぞれの収益を計算し、確定申告をして納税する必要があります。その際には、以下のように、部屋ごとに収益の違いがあるのです。
・入居者を募集した部屋は仲介手数料がかかる
・退去が発生した場合は補修費用がかかる
・空室時は収入を減額して計算する

上記を大家が計算して申告するのは、非常に手間がかかります。仮に、税理士に確定申告書類の作成を依頼したら、費用もかかってきます。

一方、サブリース契約を結んでおけば、10部屋の収入額は決まっています。また、10部屋にかかる手数料も決まっているので、収入と支出が固定され収益の計算がしやすいのです。そのため、確定申告も容易に作成でき、手間も少ないのです。

3 . サブリース契約のデメリットと課題

次に、サブリース契約のデメリット、および課題について解説します。このデメリットや課題は、サブリース契約の構造上、どうしても発生してしまうことです。なお、課題については今後改善される可能性もあり、後述する「トラブル回避方法」にもつながる点です。

3-1 . サブリース契約のデメリット

サブリース契約のデメリットは以下の点になります。
・家賃収入の減少
・契約期間や家賃の保証期間が定められている
サブリース会社の倒産リスクがある点
・保守管理の仕方はサブリース会社に一任される
・契約期間中は物件の売却ができない

家賃収入の減少

上述したように、サブリース契約をすると、相場の80%~90%まで家賃(リース料)が下がります。さらに手数料を取られるケースもあるので、通常の賃貸経営時よりも家賃収入は減少する可能性があります。

さらに、入居者がもらう礼金や更新料も、基本的にはサブリース会社の収入になるのです。この点は、サブリース会社次第ではありますが、通常の管理委託だと満額が大家の収入なるところを、サブリース契約だと減額される点はデメリットといえます。

契約期間や家賃の保証期間が定められている

基本的には、サブリース契約では契約期間や家賃が保証される期間は定められています。つまり、サブリース会社と結んでいる契約によって得られる賃料(リース料)は、将来的に減額になるということです。

やはり、不動産である以上は経年劣化するので、築年数が経過すれば賃料は下がるからです。そのため、ただでさえ家賃が減額されている中、さらに家賃収入が少なくなる可能性があるということです。

サブリース会社の倒産リスク

また、サブリース会社(サブリース会社)が倒産することになれば、家賃保証はなくなります。そのため、改めて第三者と賃貸借契約を結ぶか、ほかのサブリース会社を探して、再度サブリース契約を結ぶ手間がかかるということです。

保守管理の仕方はサブリース会社に一任される

上述したように、サブリース契約を結ぶと、物件の保守管理はサブリース会社(サブリース会社)に一任されます。特に一棟をまるまるサブリース契約している場合には、室内だけでなく共用部の管理もサブリース会社が行うのです。

そのため、依頼している会社の管理がずさんだった場合には、建物劣化が早まり資産価値が落ちるリスクがあります。また、修繕や清掃費も高くなる可能性があるという点もデメリットといえるでしょう。

契約期間中は物件の売却ができない

また、多くのサブリース会社は、サブリース契約期間中は自由に物件の売却ができません。仮に、物件を売却する場合は、違約金が発生することもあります。このように、サブリース契約期間中は、大家の意思だけで物件を処分することが難しい点はデメリットといえます。

3-2 . サブリース契約の課題

また、サブリース契約には以下のような課題もあります。
・ローン審査のための事業計画が非現実的なケースがある
・法的にも賃借人が有利になる
・説明義務はすべてのサブリース会社を対象としているわけではない

ローン審査のための事業計画が非現実的なケースがある

仮に一棟のアパートを、サブリース会社に借り上げてもらう前提で建築したとします。これは良くあるパターンです。その際、アパートの建築費用は融資を受けるケースが多いので、金融機関に事業計画書を提出します。

ここでいう事業計画書とは、そのアパートで得られる収益を資料にしたものです。その計画書はサブリース会社が作成することが多いです。そのときは、新築時で貸し出すときの賃料収入を前提として作成している場合があります。

しかし、上述したように、賃料収入は将来的に下がっていく可能性が高いです。そのため、新築時の収入を前提に計画書を提出してローンを組むと、将来的に返済が厳しくなることがあります。そのような状況になると、結局ローン支払いが困難になり、物件を処分することになるリスクがあります。

法的にも賃借人が有利になる

上述したように、サブリース契約は将来的に賃料が下がる可能性があります。その点に関しては、前提として賃借人であるサブリース会社と契約している賃貸借契約は、基本的に賃借人に有利な法律である「借地借家法」をベースにしている点を理解しておきましょう。

仮に、サブリース会社の減額請求が不満で、大家が訴訟を起こしたとします。しかし、そのような訴訟に対して、実際に最高裁でサブリース会社の要求を認めている事例※1もあります。このように、サブリース契約を結ぶと、基本的には賃借人であるサブリース会社の方が有利になる点も課題となっています。

※1不動産適性取引推進機構 REITO
http://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/62-054.pdf

説明義務はすべてのサブリース会社を対象としているわけではない

また、前項で解説した「家賃減額請求」については、大家とサブリース会社間でトラブルが多く問題になりました。そのため、国土交通省が「サブリース会社はサブリース契約を結ぶときに、将来的に家賃が下落する可能性があることを大家に説明すること」※2を定めました。

しかし、この義務が適用されるのは、任意登録になっている賃貸管理業者のみです。そのため、全てのサブリース会社に適用されているわけではなく、未だに説明をせずに契約を結んでいる会社もいると思われます。この点も、サブリース契約の課題と言えるでしょう。

※2国土交通省 お知らせ
http://tokyo.zennichi.or.jp/tohonbu/topics/2016/09/5-2.html

4 . サブリース契約のよくあるトラブル例

では、次に実際のサブリース契約にあるよくあるトラブル事例を紹介します。このトラブル事例を理解し、次項で解説するトラブル事例の回避法につなげていきましょう。

4-1 . 【ケース1】契約期間中にリース料を減額された

1つ目は以下のような事例です。
・10年間のサブリース契約を締結
・しかし、契約後数年でサブリース会社から賃料(リース料)の減額を通達される
・訴訟になり最高裁の結論は減額可能

こちらは、まさに前項で解説した事例です。賃料は不動産の経年劣化や、経済事情などを鑑みて見直しを行います。このケースの減額請求も、それらの観点から「妥当」と判断されたケースです。

4-2 . 【ケース2】契約が途中で解約された

2つ目は以下のようなケースです。
・30年のサブリース契約を結ぶ
・契約書にも「30年間途中解約なし」と記載
・しかし、契約途中にサブリース会社都合で契約解除になる

これは、賃貸借契約よりも民法を優先させたケースです。不動産は、宅地建物取引上や、借地借家法などの法律がある反面、国民を守るための基礎である民法も当然適用されます。

仮に、借地借家法と民法で見解が異なる場合は民法が優先され、今回のケースはまさに民法を優先したケースです。

4-3 . 【ケース3】サブリース会社が倒産した

3つ目のケースは以下の通りです。
サブリース会社と長期契約を締結
・周辺環境の悪化により空室が増加
・そのため、財政が悪化しサブリース会社が倒産
サブリース会社が入居者から預かっていた敷金などは大家負担

これも、上述したサブリース契約のデメリットです。倒産すると、敷金なども返済できない状況もあり得るため、それが大家負担になることもあります。

4-4 . 【ケース4】建物完成後にリース料が支払われない

4つ目のケースは以下の通りです。
サブリース契約前提でアパートを建築
・建物が完成し入居者の目処も立つ
・しかし、契約後2カ月間は賃料(リース料)が未払い
・契約条件に免責事項を設けていた

上記のように、建築後数か月はリース料が免責されるという内容が、契約書に盛り込まれている場合があります。これは、建物完成後の空室リスクをサブリース会社が回避するためです。今回のケースは、サブリース会社からきちんとした説明がなかったか、オーナーの確認不足でしょう。

5 . サブリーストラブルを回避するためのチェック事項

最後に、このようなサブリーストラブルを回避するため、以下のようなチェック事項を解説します。
・免責期間
・解約条項
・賃料改定
・修繕・リフォームの費用負担
・物件管理の方法
敷金の取り扱い

5-1 . 免責期間

まずは、前項の【ケース4】のように、賃料(リース料)が発生しない免責期間をチェックしましょう。免責期間は物件によりますが、一般的なケースは1か月~3か月になります。 また、「建物完成後○か月は免責」などのほかに、「空室期間は免責」という場合もあります。この場合は、サブリース契約のメリットである「空室時も家賃収入がある」という点がなくなるので、契約時は十分に注意しましょう。

5-2 . 解約条項

次に、解約条項を確認しましょう。解約条項に関しては、主に以下を確認すると良いでしょう。
サブリース会社が一方的に解約できる内容ではないか?
・貸主に不利な条項はないか?

上記は、たとえば「1か月前の通知で解約を認める」などの文言です。通常は2か月程度の期間を設けるので、この文言は貸主に不利な文言になります。

とはいえ、上述したように賃貸借契約である以上、借主有利であることには変わりはありません。そのため、たとえ「中途解約しない」と書かれても中途解約は可能なので、その点は理解しておくことが重要になります。

5-3 . 賃料改定

多くのサブリース会社は2年ごとに賃料の改定を求めてきます。その際は、賃料の査定額は妥当かを確認しましょう。たとえば、不動産ポータルサイトで賃料相場を調べたり、ほかの賃貸管理会社に賃料査定をしたりという方法があります。

その賃料の80%~90%程度が、サブリース会社から提示されるはずの賃料です。サブリース会社からの提示金額が、あまりに予想賃料よりも低い場合はサブリース会社の変更も検討しましょう。また、賃料が変わる条件などの記載もあれば、それが不当な内容でないかを確認しておく必要があります。

5-4 . 修繕・リフォームの費用負担

また、修繕やリフォーム・補修費用については、以下の点を確認しておきましょう。
・費用の算出方法
・自己負担になるかどうか
・修繕方法はサブリース会社が指定するかどうか

基本的には、修繕・リフォーム費用は大家の負担であることが多いです。そのため、修繕方法はサブリース会社指定でない方が理想です。なぜなら、サブリース会社は補修会社から紹介料としてマージンをもらう場合が多いからです。

そのため、補修会社が提示する補修費用は、そのマージンを加味した費用になってしまうのです。つまり、サブリース会社を介すことで、無駄な費用がかかる可能性があるということです。

5-5 . 物件管理の方法

後は、以下のような物件の管理方法の確認も重要です。
・物件のメンテナンス方法
・清掃頻度や清掃の内容
・保守点検の内容や頻度

上記は、建物の劣化につながるので、その物件の資産価値維持につながる大事な部分です。

5-6 . 敷金の取り扱い

最後に、敷金の取り扱いも確認しておきましょう。理想は、入居者から預かった敷金を、大家が管理するという方法です。大家が管理すれば、敷金を不当に利用されませんし、サブリース会社が倒産したときも安心だからです。

6 . サブリースをするときは契約内容のチェックが大切

上述したように、サブリース契約の仕組み、およびメリット・デメリットを理解してもらえたと思います。サブリースは安定的に収益を上げる良い手段ではありますが、特に契約内容には十分に注意しましょう。

この確認を怠ると、収益が悪化しローン支払いを代表とする支出の方が多くなります。そうなると、不動産運営が赤字になってしまうので、きちんと契約内容を確認した上で締結しましょう。

同じカテゴリーの記事

ページトップへ移動する
icon-article icon-articleCategory1 icon-articleCategory2 icon-articleCategory3 icon-articleCategory4 icon-articleCategory5 icon-articleCategory6 icon-beginner icon-check icon-glossary icon-kentei icon-popularwords icon-premium icon-realvoice icon-recommend icon-seminar icon-talkroom icon-trend icon-user icon-voice