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「AI賃料査定システム」が招く賃貸経営二極化時代

川端 彰

川端 彰

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突然ですが、「偏差値」といえば、高校受験、大学受験で志望校の入学ハードルを相対的に測るために使われている一つの尺度です。偏差値を見れば自分が目指している大学の「レベル」を相対的に把握できるわけですが、賃貸経営の世界でも、「周辺アパートと見比べたときの所有物件のレベル」が偏差値化されるシステムが近い将来完成するといわれています。
「そんなことがなぜできるの?」「そのサービスが浸透したらどうなる?」。順を追って説明しましょう。

目次

1 . 自分の物件が優秀かどうか

賃貸住宅の偏差値化とは、賃貸オーナーや管理会社から見て「自分が所有・管理しているアパートは、周辺物件と比べて優秀かどうか」を図る尺度が可視化されるということです。

これで何ができるかというと、例えば「うちの物件は周辺と比べて築年数が古いのに月額賃料は平均を上回っているんだ。今任せている管理会社さんは優秀だな」というように、オーナー自身が自分の物件の価値を見いだせるようになります。

査定サービスの実現化

こうしたサービスのリリースに向けて準備しているのが、ITベンチャーのターミナル社とコラビット社です。両社が昨年末に共同開発したAI賃料査定システム『CTスキャン』の一機能として付け加えます。

コラビットの浅海剛社長によると「管理会社向けに提供しようと思っています。周辺物件の中で、『うちの物件、賃料だったらこのポジションなんだね』と偏差値(物件の競争力)がわかる仕組みです」と説明しました。
「大きな要素として『駅からの距離』と『築年数』の両軸で見れるようにしていきます。そうすれば賃貸管理会社のスタッフはオーナーに対して『その高すぎる賃料では空室は埋まりませんよ。周辺の賃料はもっと安いじゃないですか』とデータでもって証明できるようになります。
逆に、相場より賃料が高いとわかれば『ずっとメンテナンスしていてよかったですね』という信頼関係に厚みを持たせるトークができるようになります。今は『高いですよ』って伝えるだけなので、オーナーから信じてもらいにくいでしょう」(浅海社長)

2 . ビックデータの利用

AI賃料査定システムから何故そういった機能が付け加えられるのかというと、適正賃料を算出するために欠かせない膨大なデータを抱えているところにヒントがあります。「成約賃料」「築年数」「立地」などの諸要素(ビッグデータ)を使って賃貸住宅のスペックをエリアごとに見比べやすくする仕組みです。

そもそも賃料査定システムとは、コンピュータが対象エリアの賃料データから相場賃料を算出するシステムのことですが、このシステムそのものは昔からありました。
ウェブ上で公開されている周辺募集賃料や自社管理物件データを頼りに、あらかじめ定型式で組まれたプログラムで相場の賃料を算出するものです。

しかしあまりに精度が悪く業界内では不評でした。算出に使うデータそのものが不正確で厚みがなかったことが原因とされています。

3 . 家賃査定の精度を上げる

しかし『CTスキャン』の場合は全国の「成約賃料」をベースに算出しているため、家賃査定そのものの精度が高いのが特徴です。

ターミナル社の高澤取締役は「CTスキャンが抱えているデータは、不動産各社が日々使っている『賃料管理システム』の情報が元となっています。ビジュアルリサーチ社やダンゴネット社のような賃貸管理システムが提供しているシステム、つまり不動産各社が日々入居者の契約情報や賃料数値などを管理するための『日々、更新されるシステム』を使っています。

一方で、ポータルサイトの賃料価額は「1~2週間に一回更新すればいいよ」と言われているものが大半で、前者と比較すると更新頻度がまったく少ないんです。他の査定システムとの差はここにあります」(ターミナル・高澤取締役)

4 . 活用事例

『CTスキャン』を試験導入している都内A社では、「人間との誤差は5%ほど。AIで相場を算出した後、人間が微調整すれば完了」と効果を噛みしめています。普通なら査定で半日かかる情報収集が数分で完了し、業務の簡略化に役立っているといいます。

 自分の物件の偏差値がわかれば、自分に足りないものを明確に求めることができるようになります。管理会社は課題を一つずつ解消していけば、オーナーは『この管理会社の物件は常に上位にいるね』と気付いてもらえるようになります。「いよいよ不動産会社間で本質的な勝負ができるようになってくるのではないでしょうか」(浅海社長)

5 . 差別化でレベルが上がる賃貸住宅

また、物件サービスで周りに差をつけようと、かゆいところに手が届く管理会社も増えてくるかもしれません。
工夫しないと生き残れない環境はますます加速し、賃貸住宅のレベルは上がる時代がすぐそこまで迫っています。

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