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エレベーター設置物件のリスクとは【先人に学ぶ!不動産投資の知恵Vol.1】

矢野翔一

矢野翔一

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同じ利回りの4階建て中高層賃貸マンションを購入したものの、蓋を開けてみれば片方の収入が低く驚いたことがあります。
その原因を探ってみると、エレベーターの有無でした。今回は、なぜエレベーターの有無で収入に差が生じたのか、設置基準とその維持費について詳しく解説していきます。

目次

1 . エレベーターの設置基準は主に3つ

エレベーターの設置基準は、設置が義務化されているものと設置が推奨されているものに大きく分けることができます。具体的には以下の3つです。

建築基準法第34条
・条例
・国土交通省指針

それぞれの設置基準の詳細について見ていきましょう。

1-1 . 建築基準法第34条

建築基準法第34条では、高さ31メートルを超える建物に対して非常用の昇降機の設置が義務化されています。高さ31メートルは、1フロアあたりの高さを3m程度で計算すると、7~10階建てのマンションに相当します。

このような基準になっている理由は、マンションで火災などが発生した場合にはしご車で対応できるのが30mまでだからです。これ以上の高さになるとはしご車での救助が困難になるため、救助可能な高さまで移動することを目的として、非常用の昇降機の設置を義務化しています。

1-2 . 条例

高さ30m以下の物件であったとしても、各地方公共団体が定めている条例に該当している場合にはそれに従わなければなりません。
大阪府などは、建築物の規模と用途が該当する2階以上の建築物に、エレベーターの設置を義務化するという独自の条例を定めています。

1-3 . 国土交通省指針

平成7年に高齢化社会に対応するために国土交通省(当時は建設省)が発表した指針では、6階以上の高層住宅に関してはエレベーターの設置を義務化しています。また、できる限り3~5階建ての中層住宅等にもエレベーターを設置するように求めています。

3つの基準を考慮すると、6階未満のマンションにはエレベーターの設置義務がないことになります。しかし、利便性などの観点から、3~5階建てのマンションでも設置されている可能性もあるため確認しておくようにしましょう。

2 . メンテナンス費用は契約によって異なる

エレベーターを設置している場合は、国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか、1年に1回定期検査を行う義務が生じます。定期検査の結果に基づいて、定期検査報告書を作成し、特定行政庁に報告しなければなりません。また、定期検査とは別にエレベーターに異常がないかどうか、毎月1回保守点検を行う必要があります。

有資格者が検査を行うことが義務付けられているため、エレベーターの管理を行っている企業に依頼しますが、契約内容によって費用が異なります。契約内容は以下の2種類です。

・FM契約(フルメンテナンス契約)
・POG契約(パーツ・オイル・グリスメンテナンス契約)

それぞれの契約内容の詳細について見ていきましょう。

2-1 . FM契約

FM契約とは、日常的に使用していて発生する消耗品や部品の交換・修理を含んだ契約です。費用がすべて含まれているため、見積もりや支払いの手間を省くことができますが、1回の検査費用が高くなるというデメリットがあります。

インターホン通話装置や遠隔監視装置が搭載されているかどうか、またロープ式・油圧式・巻胴式などエレベーターの仕組みによって異なりますが、毎月1回の検査で約34,000~45,000円、2ヵ月に1回の検査で約30,000~38,000円が月額料金として発生します。

2-2 . POG契約

POG契約とは、定期点検や管理仕様範囲内の消耗品の交換を含む契約です。1回のコストを抑えることができますが、FM契約のように費用がすべて含まれているわけではないため、範囲外の消耗品や部品の交換・修理費用が別途かかるというデメリットがあります。

FM契約と同様、条件によって多少異なりますが、毎月1回の検査で約18,000~25,000円、2ヵ月に1回の検査で約14,000~21,000円が月額料金として発生します。

3 . 実際に運用して気づいたこと

エレベーターの設置されている賃貸マンション1棟を運用している場合は、入居の有無に関係なくFM契約で約36~54万円、POG契約で約17~30万円のコストが毎年発生します。また、分譲マンションの1室を購入して運用する場合でも、設置されていないマンションと比較すると、管理費が約7~10%高くなるため注意が必要です。

私は万が一のリスクに備えてFM契約にしていましたが、10年以上運用して気づいたのは、大きなトラブルもなかったのでコストの安いPOG契約でも問題なかったということです。20万円程度のコストを毎年抑えることができたことを考えると、POG契約を検討するのも選択の1つと言えるでしょう。

また、エレベーターが設置されているということは、必ずデメリットになるというわけではありません。実際に、エレベーターの設置されていない賃貸マンションを運用してみると、上階の入居率の悪さが目立ちました。入居率を上げるために、敷金礼金を0にするなどの対策が必要になったことを考えると、コストだけではなく総合的な観点からエレベーター設置の有無について検討する必要があるでしょう。

4 . まとめ

エレベーターのメンテナンス費用が想像していたよりも高く、驚いた人も多いのではないでしょうか。

エレベーターが設置されていないマンションを購入してコストを抑えることを優先するか、エレベーターが設置されている利便性の高いマンションを購入して入居率を上げることを優先するかは難しい選択です。

マンション投資を行う場合には、立地や入居率だけにこだわるのではなく、エレベーターの設置の有無にもこだわるようにしましょう。

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