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家主不在型民泊は淘汰される?今後は地域活性に貢献する民泊が生き残る

川端 彰

川端 彰

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シェアリングエコノミーの有識者が一堂に会して議論を交わすトークイベント『シェアサミット』(主催:一般社団法人シェアリングエコノミー協会)が、9月7日に永田町で開催されました。

「これからどういう民泊が生き残るか」をテーマとしたセッションの中で、ゲストハウス運営に詳しいNPO法人earthcube japanの中村功芳代表理事が唱えた「これからは家主不在型の民泊は淘汰される」という熱を帯びた主張が、その他登壇者と多くの聴講者の関心を集めました。民泊経営に効率性を追求していた不動産投資家の中には、目からうろこが落ちた方もいらっしゃると思います。

この記事では、こうした中村代表理事の持論の詳細を紹介していきます。

目次

1 . これからの民泊の在り方とは?

全国一律の基準で民泊運営できる住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されて、早3カ月経ちました。運営許可を得ていない「ヤミ民泊」の淘汰が始まり、ある程度のルールが定められた中で、これから本当に生き残る宿泊施設は何かを考えるフェイズに上がってきたタイミングといえます。

こうした中、「シェアサミット」で行われた民泊のトークセッション「SHARE × HOME・STAY ?民泊・ゲストハウス・旅館経営から考える?」で、これからの民泊の在り方が語られました。ゲストスピーカーは3名で、NPO法人earthcube japanの中村功芳代表理事、一般社団法人日本旅館協会の鶴田浩一郎副会長、観光庁観光産業課の鈴木貴典課長です。

ここで中村代表理事が提唱した「家主滞在型民泊を増やすべき」という持論が10分ほど語られ、全体の45分という短い時間の中で一気に聴講者の関心を誘いました。

中村代表理事のいう「家主滞在型民泊」とは文字通り、家主が駐在している民泊物件を指します。しかしただ駐在しているのではなく、例えば家主が夕食をふるまったり、宿泊者同士の集会所をつくってあげたり、初めてきた宿泊者が「きてよかったな。またきたいな」と思える“おもてなし”の仕掛けがあるかどうかを重要視しています。 

まさに、中国地方でゲストハウスの企画運営を手掛けている彼らしい発想といえます。

宿泊者が「またきたい」と思えば、口コミが広がり、人が増え、それが地域活性化につながります。 

また宿泊者だけでなく、近隣の高齢者や若者も交じって集えるコミュニティーの仕掛けをつくれば活気がわきます。人口が増えればお店が増えて、その町で働ける場所も増えます。コミュニティーが生まれる「家主滞在型民泊」には、こうした力が備わっていることを伝えました。

2 . ゲストハウスの事例

中村代表理事は、所属するNPO法人earthcube japanでゲストハウスに関する様々な活動を行っています。 

ゲストハウスのホスト向けにイロハを教える「ゲストハウス開業合宿」、災害時におけるゲストハウスの活用団体「日本ゲストハウス協力隊」などの運営を手掛けています。運営にかかわっているゲストハウスは、1200件あるといいます。

数か月前の西日本豪雨の災害時は、被災者の居場所を確保するために「日本ゲストハウス協力隊」を通して、安心して住める宿を募集しました。結果、翌日朝に80件の反響がありました。「有料ですがご飯をご馳走します」といった具合に、協力してくれる家がいくつも出てきたというエピソードがあります。

中村代表理事のいうゲストハウスの定義は、「地域の中で一番愛情がある迎賓館。もしくは老後の人が飲みに集まっている集会所」。ゲストハウスというと「宿」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、正式にはそれは誤りで、本来は、文化をつくる、町の価値を上げるといった機能を備えたものを指します。

「ゲストハウスも民泊に似たようなものですが、最初に民泊をつくった人にもきっと『家庭の食卓の質が上がったらいいな』という思いがあったのではないかと感じています」(中村代表理事)

3 . 「家主不在型民泊」の増加

こうした主張の背景には、「家主不在型民泊」の供給が急増していることが背景にあります。家主不在型民泊とは、「無人経営可能な民泊システム」「ルームキーをコンビニで受け取れる民泊」など効率性を追求するビジネス偏重型の民泊です。

りそな総研が試算した昨年の民泊市場の規模は1251億円。前年の619億円と比べて2倍以上の伸びを占めています。 

また国の民泊物件数は、米エアビー日本法人に登録されているものだけで1万3800件(18年6月時点)。ヤミ民泊の淘汰が本格化してから、ピーク時の5万4040件(18年1月時点)から8割程度落としましたが、それでも1万3800件に占める「家主不在型民泊」の数は、大多数を占めていると言われています。

中村代表理事は「コンビニで受け付けを済ませられる家主不在型の民泊は、町の活性化に水を差す可能性があります。民が民をおもてなししないと、それは民泊になりません。今のビジネス型民泊は本来の民泊の性質を帯びていないので、そこは分けて考える必要があります」と警鐘を鳴らしました。

民泊経営でこれから生き残るには、地域の人が喜ぶ仕掛けを常に考えることの必要性を述べました。高齢者が楽しく集える場所を用意し、若い世代が憧れる宿を増やしていければ、それが持続可能な街に発展するという考えです。

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