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キャッシュレスブームの中で『家賃支払い』の在り方を再考する

川端 彰

川端 彰

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スマートフォンを使って買物ができるキャッシュレス決済に参入する企業が増えています。スマホ決済ニーズの高い訪日外国人客の買物需要を取りこぼさないために、日本国内でもその整備が進められています。こうした中で、賃貸住宅の家賃支払いでもキャッシュレス化が進んでいるのをご存知でしょうか。


ご自身が所有している賃貸住宅の管理会社から「クレジットカード決済に切り替えてもよろしいでしょうか」という案内がきた不動産投資家さんも、読者の中にいらっしゃるかもしれません。人によっては決済手数料の負担を求められたことのある方もいらっしゃるでしょう。


こうした方のために、家賃のクレジットカード払いの動向、またはメリット、デメリットについて伝えていきたいと思います。

目次

1 . クレカ決済導入の事例

入居者が持っているクレジットカードで家賃を支払える賃貸住宅が増えています。賃貸管理会社の大手・中堅から少しずつ導入の声があがるようになりました。これから地場の賃貸管理会社に少しずつ波及していくかもしれません。 例えば2017年11月20日、東証一部上場の日本管理センターがクレカ決済導入の旨を発表しました。三菱UFJニコス(東京都千代田区)とジェーシービー(東京都港区)と提携し、入居者がすでに持っているクレジットカードで、家賃を一括支払いできるというものです。決済手数料は日本管理センターが負担し、目先、全入居物件の3割にカード決済を導入する目標を掲げています。 同社がクレカ決済の導入を決めた背景には、クレカを使いたい入居者ニーズの高まりがあります。賃貸管理会社は自社管理物件内の入居率をあげれば、それに伴い管理手数料収入(家賃の5%が相場)が増え、また入居者を対象とした付帯サービスを提供することでさらに利益をあげることができます。そのため、入居者を増やしたり、既存の入居者を退去させないよう様々なサービスを日々練っています。そのうちのひとつに「クレカ決済」が満足度を上げるメニューとして、同社では長らく検討されていたわけです。 賃貸管理会社によるクレカ決済の導入は、もう何年も前から業界をあげて導入検討されてきた歴史がありますが、その都度頓挫してきました。 「クレカの決済手数料を誰が負担するのか」がネックになっていました。家賃の数%が相場と言われていますが、家賃の5%前後を管理手数料として徴収している管理会社にとっては、5%の中からさらに、相場の4-5%をクレカ決済手数料に回してしまったら、収入がなくなってしまいます。一方、数%の上積みして所有者であるオーナーに負担してもらうのも、賃貸管理会社として一歩踏みとどまってしまいます。こうした事情があり、クレジットカード会社からみたら一見ブルーオーシャンとも見える家賃支払いのクレカ導入は、中々前進できませんでした。

2 . クレカ決済の浸透

例えば管理戸数100万戸の大東建託(東京都港区)は、14年より自社管理物件に限り家賃のクレカ払いを始めました。翌15年には、部屋探しサイト運営のライフルホームズ(東京都港区)も、サイト加盟企業を対象にクレカサービスの提供を始めました。 なぜこの段になって浸透し始めたのでしょうか。理由は三つ。 一つは、クレカ決済利用者が多くなればなるほど、決済手数料を割安に抑えられると捉えられるようになりました。スケールメリットを生かせる大手賃貸管理会社の強みともいえそうです。決済代行会社のハビーズの担当者は「件数を伸ばしていただくことで徐々に手数料下げることができます。当社では2.8%でやらせてもらっています」と説明しました。 二つ目は、賃貸住宅の入居を募る上で、「クレジットカード払いができるアパート」は入居率を上げるに足る好材料として捉えられるようになったことです。管理会社の数社は「入居者の要望が増え、今やクレカ決済に対応していないことそのものがマイナス材料として捉えられかねません」と口をそろえています。 最後の三つ目が、家賃未払いの防止策につながることです。クレジットカードでしたら、入居者のカードが限度額に到達していない限り、毎月特定の日時に自動で決済がなされます。ここに味を占めた賃貸管理会社が増え、全管理物件で導入できるよう提案を随時すすめている会社も中にはあると言われています。 その他、クレカ決済でしたら、入居審査時に、審査が楽になるのもメリットとしてあげられるでしょう。またカード会社を通すことでアナログ手続きから解放される点もメリットとして捉えることができそうです。

3 . 不動産投資家へのメリットは?

賃貸住宅の所有者である不動産投資家のメリットとしても、管理会社と同様の恩恵を享受できそうです。決済手数料が管理会社負担でしたら、入居者の家賃滞納を防ぐことができます。一方、デメリットとしては、管理会社によってはオーナー側に決済手数料の負担を求められてしまう可能性もあります。スケールメリットで決済手数料を軽くできない中小の管理会社ほど、オーナー側の負担を求める動きが今後出てくるかもしれません。 まだまだ大手・中堅企業でした導入が進まないクレカ決済ですが、「家賃滞納のリスクを低くしたい」「入居者満足度を上げて退去防止に努めたい」と考えている不動産投資家の方は、動向を注視しておくといいかもしれません。

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