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賃貸業界でも過熱するデータ競争 投資家はデータを持つ会社を味方につけろ

川端 彰

川端 彰

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米グーグルや米アマゾンをはじめとしたあらゆる産業でデータ競争が過熱しています。消費者の趣向や行動規則などを蓄積したビッグデータがあれば、より狙いを定めたマーケティング活動が可能になること「データは現代の石油」とまで言われるようになりました。

そのデータ競争の荒波は、生活者データを豊富に抱える賃貸住宅業界にまで及んでいます。不動産会社がビッグデータを利活用できるようになれば、空室解消や入居者満足に役立つ提案力を高められるかもしれません。

不動産を上手に経営したい投資家も、データの利活用に無縁でいられなくなるかもしれません。データ競争の最前線をレポートします。

1 . 生活者の豊富なデータを有する賃貸管理会社

不動産会社の中でも賃貸管理会社は、生活者のデータを豊富に抱えているといえます。賃貸住宅の入居募集、退去手続き、空室解消の提案から、入居者からのクレーム処理など、住み手の入居から退去までの諸々の面倒を一手に引き受けているからです。

 

そのため管理戸数が多い会社ほど、保有するデータ量が豊富ということになります。管理戸数の目安としては、業界最大手の大東建託の100万戸を筆頭に、以下エイブル、積和不動産、大和リビング…といった数十万戸レベルの会社がひしめいています。いずれも全国展開の会社ばかりですが、地元に根付いた会社でも、数万戸管理している会社は沢山あります。

 

多くの不動産会社はデータの利活用ができていないばかりか、データを蓄積するためのシステムの基礎がなっていなかったり、データを抱えていても上手に活用できない会社が大半を占めているのが実情です。

 

しかし今、不動産業界が抱える生活者データを「ブルーオーシャン」とみなしたITベンチャー企業が次々に台頭し、賃貸管理会社との連携を進めています。連携した不動産会社は、将来的に賃貸経営の効率を上げるための提案力を習得するかもしれません。

2 . 注目のITベンチャー企業2選

例えば、ヤフー日本法人の出資を受けて2010年11月に産声をあげたパレットクラウド(東京都渋谷区)というIT企業が、賃貸業界への影響力を着実に広げています。

2-1 . パレットクラウド

パレットクラウドが提供しているITサービスは、賃貸住宅の入居者と管理会社の意思疎通を円滑にするためのアプリです。入居者一人一人にマイページを付与し、入居者は手元のスマートフォンのマイページ画面を通して「部屋の不具合をチャットで連絡」「管理会社のお知らせを読む」「諸々の契約手続きをアプリを通してやり取り」といったことができるようになります。

 

クラウドを通してやり取りされた情報は、そのまま生活データとして蓄積でき、管理会社が利活用できるようになります。どの会社が使っているかは非公開ですが、業界大手・中堅どころが導入しており、その戸数は計200万戸に及びます。社名は近い将来公開されるでしょう。

 

生活データを活用できれば、その管理会社は、空室を解消するための分析力が高まることになります。空室が減れば、そこに管理を任せている不動産投資家も、恩恵を享受できるようになります。

次に面白いのが、エナジーゲートウェイ(東京都港区)というデータ提供会社の存在です。

2-2 . エナジーゲートウェイ

同社は、東京電力ホールディングス系列の新興企業です。電力の託送機能を担う東京電力パワーグリッドというグループ企業の出資を受けて2018年4月に設立されました。

 

同社のサービスは、「住民がいつどんな時にどのくらい、どの家電を使用したか」がわかるビッグデータをAIで解析し、顧客が知りたい情報を抽出して提供するというものです。

 

家電ごとの使用状態がわかれば、生活者の行動パターンや新しい趣向を把握できるかもしれません。それを知れば、賃貸住宅の管理会社は、入居者満足度を高められる新しいサービスを企画できます。長期入居を実現して家賃収入を安定的に回収できれば、管理を任せている投資家にも恩恵が及ぶことになります。

 

そんな夢のようなサービスを、なぜ、新興企業に過ぎないエナジーゲートウェイが提供できるかというと、親会社の東京電力パワーグリッドが保有する「電線」に秘密があります。

 

我々が日常的に使用している電子レンジやテレビ、照明などの各種家電は、当然ながら電気を使います。その電気は自宅と電信柱をつなぐ電線を介してやり取りされます。

 

ところが電線を通過する電力には「波」が存在します。しかもその波は、家電によって特徴が異なります。

 

エナジーゲートウェイはその波に着目しました。AIを使って、電線を通過する波及データから「どの家電が使用されたか」を予測し、それを生活データとしてストックするというものです。

 

同サービスは提供開始から間もないものであるため、提携先は非公開です。現在、大手不動産会社と実証実験を進めており、こちらも先のパレットクラウド同様、近く詳細が公開されるでしょう。

3 . 賃貸業界のデータサービスの将来

他にも色々なデータサービスが賃貸業界に存在しますが、いずれも「環境整備」のものが大半です。利活用には時間がかかるかもしれませんが、近い将来データ分析に長けた管理会社を味方につけたい投資家の方々は、こうしたベンチャー企業の動向にアンテナを張ることも大切です。

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