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デットクロスで黒字倒産?投資物件をローンで買った人は対策を

ファイコロジスト 山田

ファイコロジスト 山田

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黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているものの、資金繰りがショートして銀行取引停止になり、倒産に追い込まれることをいいます。現金商売の不動産賃貸経営では滞納がないかぎり縁のない言葉のようですが、実はそうではありません。デットクロスという、税金によるキャッシュフローへの脅威があるからです。

目次

1 . デットクロスとは何か?

デットクロスとは、支払う税金が多額になることで、現金収支がマイナスになることをいいます。建物の減価償却が終わることによって発生します。

消耗品を売る商売やサービス業では、デットクロスが発生することはほぼありえません。税金は売り上げから経費を差し引いた利益(所得)にかかります。売り上げと経費はほぼ同じ時期に発生し、売上入金と仕入れ代金の支払い時期にもあまり差はありません。そのため、所得とキャッシュフローの発生時期にも大きな違いはないのです。

不動産賃貸業は多額の資金を借り入れ、家賃収入(売り上げ)の中から少しずつ返します。利息分は支払ったときに費用化できますが、元本の返済は経費に計上できません。

しかし建物の代金は確実に支出しているので、その分は所得を減らさないと割に合いません。ここで登場するのが減価償却です。ローンを支払うように取得価額を少しずつ経費として計上するのです。土地は価値が減らない(経年劣化しない)と考えられているので償却しません。

ローンの返済と減価償却を同時期に行うことができれば、現金収支と所得のズレはほとんどありません。問題は取得価額の全額を減価償却し終えた後に、返済が続いている場合に起こります。計上できる経費は少なくなるのに、現金の支出額は変わらないのです。所得の増加とともに税金の支払いが増え、ローンの返済額とその他の経費を合わせた現金支出が家賃収入を上回ってしまいます。これがデットクロスです。

2 . デットクロスのシミュレーション

具体的な数字でシミュレーションしてみます。

土地2000万円、建物3000万円、建物の残存耐用年数15年、フルローン年利率3%、元利均等返済、返済期間20年。家賃収入は年間500万円、その他の経費は年間100万円。税率は30%とします。

【1~20年目のキャッシュフロー】
・その他経費
100万円

・年間のローン返済額
336万円

・年間の税引前キャッシュフロー
500万円 – 100万円 – 336万円 =64万円

【1年目のキャッシュフロー】
<経費>
・減価償却費
3000万円÷15年=200万円/年

・ローン返済のうち、利息分
150万円

・その他経費
100万円

<税金計算上の利益>
500万円 – 200万円 – 150万円 – 100万円=50万円

<税金>
50万円×30%=15万円

<税引後キャッシュフロー>
64万円 – 15万円=49万円
手元に残る金額です。

【15年目のキャッシュフロー】
<経費>
・減価償却費
200万円

・ローン返済のうち、利息分
55万円

・その他経費
100万円

<税金計算上の利益>
500万円 – 200万円 - 55万円 – 100万円=145万円

<税金>
145万円×30%=44万円

<税引後キャッシュフロー>
64万円 – 44万円= 20万円
まだキャッシュが出ています。

【16年目(減価償却終了後)のキャッシュフロー】
<経費>
・減価償却費
なし

・ローン返済のうち、利息分
46万円

・その他経費
100万円

<税金計算上の利益>
500万円 – 46万円 – 100万円=354万円

<税金>
354万円×30%=106万円

<税引後キャッシュフロー>
64万円 – 106万円= -42万円
大幅なマイナスのキャッシュフロー。デットクロスです。

3 . 考えられる対策

減価償却期間とローン返済期間を同じにすれば、基本的にデットクロスが起こることはありません。ただ、返済期間をあまり短くすると、当初から資金繰りが苦しくなる可能性があります。

借り換えによって返済期間を延ばすことで毎月の支出をおさえられれば、有効な対策となります。

他にも、頭金を多めに入れることで借り入れ金額自体を少なくする、繰り上げ返済するなどの方法もあります。反対に、収入をプールして完済まで持ちこたえるという考え方もあります。

新しい物件を購入するという荒技もありますが、自転車操業になりそうです。いっそのことデットクロスが出ている物件を売ってしまうのもいいかもしれません。

少し発想を変えると、購入時に土地代金部分を多めにしてもらうということが考えられます。例えば土地と建物の合計が5000万円という物件の場合、土地を3000万円、建物を2000万円とするよりも、土地を1000万円、建物を4000万円と売買契約書に記載したほうが、経費として計上できる部分が多くなります。ただし、売却時に取得価額が少なくなるため、譲渡所得税(法人の場合は法人税)がかかるので注意が必要です。

何よりも、税金の支払いを含めた長期的な計画を立てて賃貸経営にあたることが重要です。

4 . 減価償却後のやりくりも考慮した長期の運用計画を

減価償却後もローン返済があるときに発生することがあるデットクロス。キャッシュフローが大幅なマイナスになるかもしれません。対策には繰り上げ返済や返済期間の延長などがあります。物件の将来をみすえた、長期の計画が必要です。

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