HOME 融資関連 不動産に融資したい銀行員の本音を探る

不動産に融資したい銀行員の本音を探る

桜木大洋

桜木大洋

0

不動産投資の肝は融資にある、と言われていますが、融資に関する情報は常に流動的で、かつ個別のものになります。
なぜなら、融資は物件の収益性・資産性と個々の状況(属性)によって大きく変わってくるからです。だから融資についてのいろいろな話は、あくまでもその時・その人に対する一つの実例に過ぎない、と受け止めておくことが肝要です。

銀行によっても考え方は異なるし、営業所や担当者、それに世の中の情勢によっても変わってくるのが大きな特徴です。その中で私たち不動産投資家は、常にさまざまな銀行員の考え方と動きに耳を傾け、自分ではそれにどう当てはまるのか、を考える習慣をつけておいた方が良いです。

今回はそのために参考になるエピソードをご紹介します。

目次

1 . ある銀行員の方との出会い

お世話になっている方のご紹介で、とある銀行の、それなりの立場の人と面談する機会がありました。

その方は支店長を10年以上経験され、融資畑で25年以上、今は営業本部で融資案件の開拓を行っているとのこと。
いろんな投資家のセミナーにも出席され、銀行員の本音トークで好評を博しているらしく、私が主催する「不動産投資プラチナ講座」でもぜひ講演をしたい、とのご要望がおありのようでした。

プラチナ講座は毎月、参加者に役立つコンテンツや信頼のおける人脈を私自身が開拓し、実体験をもとに皆さんにご紹介して、その後の不動産投資・賃貸経営を大きく前に進めるための足がかりにしていただくことを目的の一つとしています。

私はいつもそういう意識を持って一ヶ月の間はネタ探し、ヒト探しをしているわけですが、 本を出版したりセミナーで講演するようになって世の中に出ると、自分から探すまでもなく、人のご縁で良いお話をいただくことが増えてきました。

そういった意味でも今回は誰もが聞きたい銀行の話ですから、願ったり叶ったりのチャンスと思いました。
そして実際にお会いしてみると、その方は年齢も私と同じということがわかり、これは良い、とばかりに握手を交わして、一気に距離を縮めてみたのです。

ところが、話をはじめて間もなく、この銀行員さんの求めるものが私の不動産投資活動とはかなり異なる路線であることがわかりました。

2 . 融資の現実

まず、求められたことは「属性の高い人を紹介して欲しい」という、とてもわかりやすいご要望で、具体的には

・年収2,000万円以上
・自己資金をある程度出せる人


これを聞いてちょっと怯んだ私は「自己資金が無ければダメですか」と尋ねると、

「いえいえ、土地を持っていれば大丈夫です。あと、住宅ローンのない人ですね。」
と、いともサラッとした回答がかえってきました。

私はもはや絶句するしかない状況でしたが、ちょうど良い機会なので自己資金についての銀行の考え方を聞いてみました。

たとえば、諸経費込みで1億円の物件を買うとき、手元に1,000万円持っているとします。 その人が自己資金を全額出して、あと9,000万円を借りるのと、自己資金は万が一のときにとっておいて総額1億円を借りるのとでは、どちらがリスクが小さいと思いますか?

その銀行員さんは迷わず「自己資金1,000万円を出す方がリスクは小さいでしょ」との答え。

「でも、持ち金全部を拠出してしまったら、それこそ万が一の空室対策や修繕が必要なとき、無一文では何もできないですよね。」と返すと、

「そういう場合は無借金のご自宅があればそれを担保にローンが引けます」との回答。

「いやいや、それでは総合的にみて高金利の負債が増えるだけですから、投資家としては、その物件を担保に低金利で満額を貸してもらい、いつでも使える現金を手元に置いておいた方が、経営的にはリスクが低いと思うのですが・・・」と言ってみると、

「ですから最初、1,000万円の頭金以外に、自己資金も残しておかなければならない、ということになりますね。」とお答えいただきました。

つまり、1億円規模の物件を買う人は最低でも2〜3000万円は持っていないと相手にしてもらえない、ということになりますね。
これが一つの現実です。

3 . 「机上の空論」が成り立つかどうか

でも、私はそんなことを聞くために面談にこぎつけたわけではないので、さらに銀行員の真の価値観・考え方を引き出すべく、トークを続けました。

するとその銀行員さんも、本音では 「銀行では融資の際、賃貸経営のシナリオを10年、20年先のシミュレーションで描きますが、その通りになるかどうかは全く予想できません。そもそも5年後だってどうなるかわかりませんよ。今の株価や金利だって、誰も予測できなかったことなのですから」と胸を張っておっしゃいます。

要するに、将来のことはわからないけれど、今の時点で融資部門の承認が得られる内容の「机上の空論」が成り立つかどうかで、融資可否が決まるということになりますね。

ああ、やっぱり銀行さんは貸す側のリスクしか考えていない、しかも実情よりも計算式や書面の方が大事なんだな、ということをますます痛感しました。

ある程度満室を維持できていればフルローンオーバーローンでも大丈夫、というのは、実際そうであったとしても、完全に投資家の勝手な都合なのです。
いくら数値的に素晴らしい物件でも、何の努力もせずに放っておいたらいつかは廃墟となって破滅してしまうかもしれないのに。

世の中にはいろんな種類の大家さんがいて
・もともと親族が不動産を持っている人
・サラリーマンの副業から始める人
・融資を当てにせず、ボロ物件をほぼ現金で購入し、再生して売却し、利ざやを稼ぐ人

などなど。

そして銀行が大好きなのは、土地や資産を持っている人、つまり何かあった時にリスク回避の材料がある人です。
やる気のある人、とか、がんばっている人、などにはまったく興味がありません。それでも銀行側からしてみると、年収2,000万円以上の人やお金が余っている地主さんが世の中にはウヨウヨいるので、そういう人と出会うためにセミナーの機会を狙っているのだそうです。

これを聞いたとき、誰よりも私自身がその銀行の好みに当てはまらないので、プラチナ講座でのご講演は丁重にお断りしました。

4 . 不動産業界における様々な価値観

今回の学びは、同じ不動産業界でも「こうあるべきだ」と思っているものが全く違う人が混在しているということです。
不動産投資家もしかり、協力してくれる銀行もしかり、です。何を求め、どんなことを目指しているかによって、受け入れる、入れないが変わってくるのです。

その認識がないままに人の話を聞くと、一つの価値観だけが正しいと思えることもあり、そうなると自分の判断を間違えてしまいます。
それでも、銀行の理想的な条件に当てはまらない人は、自分を理解してくれる人や金融機関を探し、まさに自己責任のリスクを認識した上でまずは歩き出してみるしかありません。

そうしてしばらくは経営をがんばって、やがて銀行が好むような資産を構築するしか、生き残る道はありません。

最初からダメだ、と決めつけず、人ぞれぞれのやり方で少しずつステップアップしていく。とにかく自分の状況を理解して、できることから始めるしかないですね。

相手を説得するよりも、わかってくれる人を探すか、自分自身を変える方が早道です。

同じカテゴリーの記事

ページトップへ移動する
icon-article icon-articleCategory1 icon-articleCategory2 icon-articleCategory3 icon-articleCategory4 icon-articleCategory5 icon-articleCategory6 icon-beginner icon-check icon-glossary icon-kentei icon-popularwords icon-premium icon-realvoice icon-recommend icon-seminar icon-talkroom icon-trend icon-user icon-voice