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相次ぐ「スルガ銀離れ」で不動産投資市場はどう変わる?

川端 彰

川端 彰

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「昨年10月からスルガ銀行との取引をやめたよ」。こう漏らす不動産会社の社長が増えています。中には「うちは3年前に付き合いをやめました。年収高くない会社員に巨額の資金を貸し付ける姿勢に危うさを感じて…」という会社まで。
 
スルガ銀行が渦中にさらされています。個人の自己資金を水増しして不動産の購入資金をフルローンで貸し出す「ずさん融資」が表面化されたいま、不動産投資市場のプチバブルはひとまず終焉を迎えそうです。

目次

1 . 「サブリース賃料不払い事件」

スルガ銀行の「ずさん融資」が世間の目にさらされたのは、シェアハウス運営会社スマートデイズ社の「サブリース賃料不払い事件」から端を発したものでした。

年収1000万円以上の会社員が1億円規模のシェアハウスをフルローンで1棟買いしたものの、ほぼ満室分の賃料を毎月保証する「サブリース賃料」の減額通知が2017年10月、オーナーの元に一方的に届いたことから問題が露呈しました。
サブリース賃料は一方的に不払いとなり、スマートデイズは破産して、シェアハウスを買ったサラリーマン投資家約1000人の中には「自己破産者」「自殺者」まであらわれたといいます。

2 . 取引停止の会社が急増

しかし、賃料減額の通知がオーナーのもとに届いた昨年10月の時点で、シェアハウス投資家約1000人の大多数にフルローンで貸し出してきたスルガ銀行から距離を置こうとする不動産会社がみるみるうちに増えていったのです。

正確な数値は出て来ていませんが、私がヒアリングした5社のうち全社が「いまは取引をしていない」と回答していました。その会社の信用力にかかわってくる問題なので、ある意味当然といえる回答なのかもしれません。

3 . 不動産業界に与える影響

いま業界人の中で専ら話題なのが「スルガ銀行の炎上後、不動産投資市場はどう冷え込むか」です。
近年の「空室問題」から昨年春に融資そのものが引き締まっただけに、今回の事件は追い打ちともいえそうです。中には「水増し融資の発覚が他行でも連鎖したら、『日本版サブプライム』が引き起こるかもしれない…」という多少オーバーな論調まで見受けられます。

アパート開発会社を何社か取材した感想としては、全体的に「自己資金1割以上を負担してもらう」ことを条件とする会社が増えてきている印象です。きちんとキャッシュフローをオーナー自身が得られるよう努力する会社、さらに元々努力していた会社は「賃貸管理」の重要性をことさらセミナー等でアピールするようになりました。

4 . 専門家の見解

この点について専門家はどう捉えているのでしょうか。一般財団法人日本不動産研究所(東京都港区)の不動産エコノミスト・吉野薫主任研究員に話を聞いてみました。

吉野氏は「業界で自浄作用が働き、市場が正常化するのではないか」と冷静な持論を述べました。
「アパート融資を含めた個人向けの貸出のうち、大半は、不動産の収益性よりも個人の属性で貸し出されています。アパート融資に関しては、隠れた問題がどんどん顕在化し、これまできちんとやってきた銀行も慎重にならざるをえなくなるでしょう」(吉野氏)

5 . 問題の本質

ここで注意が必要なのは、スルガ銀行の「ずさん融資」は不動産投資市場の問題ではなく、金融システムの問題と捉える必要があるということです。

 「スルガ銀行の書類改ざん問題は、不動産融資というよりは、金融機関の権威にかかわる別の話だと思っています。本当は貸してはいけない人に貸すということは、銀行の株主に対する背信行為、自社の経営体力にもかかわってきますし、社会的にも責任は大きいです。『スルガ銀の一件があったから、不動産投資個人への融資を規制するべき!』ではなく、金融業界の問題として切り分けて考えるべきです」(吉野氏)

もちろん金融機関の貸出態度の変化で不動産市場を縮小させる可能性は徐々に高まってはいます。
しかし「書類改ざん問題」は不動産市場に内在する問題ではなく、金融機関の会計技術、商習慣の問題であり、不動産投資市場そのものに直接的に与える影響はそう大きくはないという解釈なのでしょう。

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