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不動産事業に融資する金融機関のスタンスを知ろう

桜木大洋

桜木大洋

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2018年に入ってから、次々と発覚した不動産会社と銀行による書類改ざんや不正融資の問題の影響により、融資情勢はすっかり厳しいものになってしまいました。

その原因は、金融庁が各金融機関に対し、適正な融資が行われているかどうか、徹底的に調査する、という姿勢を示したからです。

物件価格に対してどのくらいの金額を融資するかというのは各金融機関のルールに従って行われれば良いのですが、そのために契約書や金融残高の資料を改ざんする、ということが明るみに出ると、これは金融庁も黙っていられません。

ここ数年にわたり、書類を改ざんして融資を受けた投資家が、結果的に物件を購入した後、経営がうまくいかず予定されていた収入が得られなくなって返済が滞り、破産の憂き目に合う、という事件が多発しました。

目次

1 . 昨今の不動産投資の不正問題に対する見解

個人的には、「諸悪の根源」は実際の価値と大きく乖離した値段と詐欺まがいの収支計画をエサに不良物件を売却した不動産業者にあり、それを購入した責任は、あり得ない収支予測を鵜呑みにした投資家にこそあると思っています。融資をした銀行は、金利という利益を得るために高額貸付をしたとしても、債務者に破産されては元も子もありません。そういう意味では、貸したものが却ってこないという点で、被害者にもなり得るのではと思います。

この問題に関して融資した金融機関を擁護・弁護するスタンスはありませんが、私の身の回りにいるサラリーマンで、副業から不動産投資を始めたい、と願う人が次々とチャンスを奪われていくような気がして残念でなりません。今はサラリーマンでも年収が1,500万円〜2,000万円以上であることを条件にしたり、そもそもサラリーマンの副業として取り組む人には融資しないという銀行も出てきて、自己資金が少ない人々が一念発起して人生を変えようというマインドを損なわれているような気がします。

2 . 金融機関についての見解

金融庁が安易な不動産投資による被害者を減らすために取締りを厳しくするのはやむを得ない措置ですが、当の金融機関の本音として、それで経営は安泰と言えるのでしょうか。

かつてのマイナス金利政策によって、各金融機関は自社の保有資金を日本銀行に預けると、逆に金利を支払わなければならなくなってしまいました。だから日銀にお金を預けるより、企業や事業家にお金を貸し付ける方がずっと良いわけです。それが経済を活性化させるための政府の狙いでした。しかし現在の貸付金利は極めて低く、融資残高を増やさなければ経営を揺るがす事態となっていきます。そこでより多くの貸付先を探さなければならないのですが、実際に新規の優良企業はそう簡単に見つかりません。これが高じて、不動産投資に対する融資が緩くなり、多くの人が不動産を購入できるようになったわけです。

 

本来、金融機関は事業を営む会社に対して数百万円・数千万円の融資のために、徹底的に事業計画を追求・調査し、厳しい稟議書を通して承認していきます。不動産事業であっても稟議書は必要ですし、事業の安定性を見極められることは同様です。

しかし、一般企業に対して行う融資と不動産事業に対して行う融資には大きな違いがあり、金融機関にとっては不動産事業に積極的に融資したくなる理由があります。

それは不動産賃貸業の場合、万が一その事業が失敗しても、融資回収がゼロになってしまうことが極めて少ないということです。なぜなら、他の事業と違って不動産事業の融資には土地と建物が担保に入っているからです。金額の大小ではなく、担保価値に大きく依存されると言っても過言ではありません。逆に担保さえしっかりしていれば、何億円もの融資も充分可能です。それだけ不動産賃貸業は安定的な事業であると認識されているのです。

実際、私が懇意にしている地銀の支店長からお話を聞いたときは「飲食店にお金を貸すよりも不動産に融資をする方が、銀行にとっては余程安全なのです。」と言われました。

銀行目線からみれば、もしもお金を貸したオーナーがうまく経営できずに空室が増え、収入が減っても、借金が返せないならばその物件を取り上げることができるので、貸し倒れになる確率がとても少ないと言えるでしょう。この貸し倒れ率は、一般の事業に比べて不動産事業は10分の1という金融機関もあります。

 

逆に、だからこそ物件の担保価値が重視され、その金融機関ならではの評価基準・評価方法をもって物件を審査します。金融機関によって融資をしやすい物件とそうでない物件があるのはこのためです。同じ金融機関でも、時期・支店の考え方によっても異なってくるのです。

 

これからしばらくは、不動産投資の門が閉ざされたような印象を受けますが、金融機関にとって、不動産への融資なくしては安定した売上を確保することが難しくなるわけです。だからまずは、現金や資産を持っている人、年収の高い人が融資のターゲットになり、金融庁も納得するような条件での融資をしていかざるを得ません。

 

これで正常な不動産市場に戻った、との声を聞くことがありますが、それでは所詮、資産家とお金持ちの間で不動産がやり取りされるだけになり、一般庶民には手が出せないものになってしまいます。お金のない人は、長い年月をかけてお金を貯めるか、一攫千金を狙ってインターネットビジネスや仮想通貨に手を出すしかない、となります。

3 . 投資家としてのスタンス

メディアの影響は本当に大きいもので、新聞やネットで被害者が報道されたり銀行の業務停止命理が出されたりすると、「不動産投資はやっぱり怪しい」「どうせダマされるに違いない」というイメージが世の中にはびこってしまいます。

しかしながら当の金融機関は、できればもっと不動産に融資したいと思っているところがたくさんあるはずです。実態にフォーカスすれば、自己資金が少なくても安定的に事業運営できれば問題ないわけだし、たとえ多くの自己資金があろうと年収が高かろうと、当の不動産事業に失敗すれば返済が難しくなるのです。そして本来はそんな事態になり難いほど安定しているのが不動産事業だ、ということが十分に認知されているはずです。

各金融機関の考え方は様々だし、支店によっても異なり、何よりも時期によって大きく変わってきます。金融庁の締め付けも金融機関の経営状況や世間の経済状況によって臨機応変にならざるを得ません。

その時期はいつなのか、誰にもわかりませんが、再び金融機関が不動産投資に積極的になったとき、ようやく動き始めるのでは遅すぎます。

市場が冷えてきているときこそ行動すべき、と考えるのが投資家マインド。今のうちからいろんな金融機関とコンタクトを取ることはもちろん、信頼できる不動産業者を探したり、他の不動産投資家はどんなことをしているのかと興味を持って、そういう人脈を少しずつでも築いていくことが大切ですね。

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