HOME 融資関連 【プレジデントヒストリー】~社長のチカラ~iYell株式会社『代表取締役 窪田 光洋氏』インタビューVol.1

【プレジデントヒストリー】~社長のチカラ~iYell株式会社『代表取締役 窪田 光洋氏』インタビューVol.1

toshi.life編集者

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今回、Toshi.Life編集部が取材を行ったのは渋谷に本社をかまえるiYell株式会社(イエールカブシキガイシャ)の代表取締役兼CEO 窪田光洋(クボタミツヒロ)氏。2007年に大手モーゲージバンクに入社し住宅ローンのプロフェショナルとして最年少で執行役員まで務めた経験を持つ氏。住宅ローン業務の上流から下流まで経験をし住宅ローン業界を様々角度から見たことで、業界にあるユーザー側と金融機関側のズレから発生する正しくない「住宅ローン選び」を是正することにチャレンジを見出し2016年に起業。話を伺う中で提供するサービスはもちろんの事、窪田氏の会社を通して社会へ「幸せ」を還元する思いを強く感じる事ができる取材だった。今回もビジネス面とメンタル面の2回に分けて紹介をさせてもらう。

――まずはイエールさんのサービスについて教えてください。
窪田 当社のビジョンに『家を買いたいお客様に対して最適な住宅ローンを提供できる社会の実現』がございます。そのために『いえーる ダンドリ』というスマートフォンアプリがあるのですが、これは自宅を購入するところから決済までをサポートしますよというサービスになっています。

 

――どのようなサービスでしょうか。
窪田 こちらは住宅ローンに関して不動産業者さんと一般ユーザーさんの間を当社が取り持つことによって、住宅ローンの手続きの進捗状況が把握できるというメリットがあります。基本的にはグループチャットになっているのですが、電話やメールでも対応をしていて、さらにこのグループチャット以外のやりとりに関してもメールでアプリに共有をすることで、進捗共有の抜け漏れを防いでいます。

 

――詳しくお話を伺ってもよろしいでしょうか。
窪田 弊社調べになってしまうのですが、住宅を購入しようと思われたお客様がどのように流入をされてくるかという部分の話をさせて頂きますと、10%程度はご自身で情報を集められて直接金融機関に足を運ばれます。一方で残りの90%の方は不動産業者さん経由で金融機関さんをご利用されています。弊社としては両方のセグメントのお客様を対応できるサービスを提供させていただいております。まずは10%の方に対しては『住宅ローンの窓口』で対応をさせて頂いております。そして90%の方に対して『いえーる ダンドリ』でカバーしております。では何がユーザーさん不動産業者さんにとってメリットか、先にお伝えしたように弊社のビジョンが『家を買いたいお客様に対して最適な住宅ローンを提供できるような社会の実現』という事を目指しているので、弊社で開発をしているAIレコメンデーションエンジンという物を使って、日本全国の金融機関が扱っている住宅ローンの情報からお客様の要望や属性を基にお客様に最適な住宅ローンをいくつか提案してくれるというエンジンを開発しました。つまり、ユーザーさん視点では限られた選択肢だったものを多くの中から最適な物を選ぶことができる、不動産業者さん視点では負荷のかかる作業から解放された上に審査の承認率が上がる。といったメリットを提供できます。

 

――ユーザーさん、業者さん双方に喜んでもらえるシステムですね。住宅ローン商品を提供している金融機関からの視点はいかがでしょうか。
窪田 実は住宅ローンは取扱金額が大きいので収益にはなるのですが、それにかかわる業務量が多いので、収益率は低いといったような課題がありました。その証拠に大手金融機関様の中でも住宅ローンから撤退をされていたりもします。その課題をどのようにして弊社のサービスが解決をできるのかと申しますと、審査を代行させて頂いたり、商品の営業の部分を弊社サービスが代替することができますので、最適なお客様を金融機関様にご紹介をできるというメリットがございます。まとめると不動産業者様は住宅を販売するために必要だけれども、非常に負担の大きかった住宅ローンづけの業務、金融機関様からするとコストがかかってしまう事によって収益性が下がっていたローン商品の販売といった部分を当社のサービスによって解決をしていただく事ができます。
今後はこの一連のサービスを『iYell住宅ローンプラットホーム』と名付けて環境を構築している段階でございます。

 

――痒い所に手が届く素晴らしいサービスでいらっしゃいますね。
窪田 これまではお家を買おうと思った時にお家を紹介してくれた不動産業者さんが物件購入ユーザーさんに対して住宅ローンの紹介を行う。という事が一般的でした。これは複合的要因から購入ユーザーさんにベストの住宅ローン商品をできていたかというと、残念ながら答えはノーです。不動産業者さんにとって、事務作業は煩雑でとても負荷がかかる、さらに住宅ローンの承認率も決して高くない。それを当社が代行することによって住宅ローンの承認率を上げながら、事務作業の負担から不動産業者さんを開放することによって、ユーザーさんも不動産業者さんもハッピーという状況を作ることができています。また、不動産購入時は事務作業がその他にも多くありますので、それをタスク化してアプリ上で管理をすることで、進捗の管理も容易にできるようになります。その他にもローン返済シミュレーションも提供しています。金額の変更も手入力するのではなくてバーをドラッグすることにより直感的に操作ができ金額の増減把握ができます。

――新橋で運営されておられる店舗について教えてください。
窪田 『住宅ローンの窓口online』という自社運営のメディアで住宅ローンについて情報収集をしていただいて、実店舗である『住宅ローンの窓口』で、対面で詳しく聞きたいというご要望に応えるために、住宅ローンについてご説明をさせて頂ける場を設けさせて頂いております。

 

――来店予約をされた方は新橋の実店舗に行かれる形ですか。
窪田 そうですね。新橋の店舗でも対応させていただけますし、こちらの渋谷の本社でも対応可能となっています。

 

――その他にはどのようなサービスがございますか。
窪田 住宅ローン専用のAIチャットボットという物がありまして、そちらで聞きたい質問がある際は質問ができるようになっています。例えば『変動金利ってなんですか?』という風に質問を入力いただく事で、自動的に質問に答えてくれます。

 

――botなので自動的に返事をしてくれるという事ですよね。
窪田 はいそうです。人的なオペレーターは不在です。現在は当社のサービスとして提供をさせて頂いておりますが、将来的なビジョンとして金融機関様にご導入をいただいて、FAQの部分をAIに代替することで金融機関様からするとコストの削減、ユーザー様からは知りたい事にもっとスムーズにアクセスできる快適性の提供を目標にしています。それに付随して業務効率化ですね。住宅ローンに関する業務をすべて当社へお任せいただく事も可能になります。

 

――不動産に関する口コミサービスも提供されておられますよね。
窪田 『いえーる コンシェル』というサービスがあるのですが、こちらは創業当時からあるサービスです。このサービスを開発した理由としては、不動産業界って『危なそう』「信頼が持てない」というネガティブなイメージをがある。大半の不動産業者さんはまじめにお仕事をされています。しかし、ユーザーさんが漠然とした負のイメージを抱かれながら、大きな金額の取引をされている。そこを解決するためには口コミの力を利用して不動産業者さんの客観的な評価を集めることができれば、ユーザーさんが安心をして取引ができるようにするという理念があります。『いえーる コンシェル』には不動産投資用のバージョンもありまして、そちらは当社が審査を行い信頼できると判断させていただいた不動産投資会社様を紹介させていただいています。

 

――取材準備でiYellさんのHPを拝見していて、サービス以外にも組織として非常に特色がある会社さんだと感じました。特に『福利厚生はコストではなく投資』というお言葉です。根本的にこの言葉を体現していこうと思われたきっかけのようなものはございますか。
窪田 きっかけは難しいのですが、その言葉の本質は何かというと、「人の能力差というのは誤差」だと僕は思っていて、能力が高い人も低い人もいるのですが、その能力差って誤差だと思っています。では誤差じゃない部分は何か。それはモチベーションです。モチベーションによってパフォーマンスが引き出される。例えば能力が低い人のモチベーションが高いときと、能力が高い人のモチベーションが低いときは、前者が超越するんですね。

 

――どのようにしてモチベーション引き出しておられるのでしょうか。
窪田 それは『アップサイド』と『ダウンサイド』両面をカバーすることです。『幸せ』だったり『笑顔』だったり自分のメンタルの充実感だったり、やりがいだったりというアップサイドの領域。逆に「会社はきっと守ってくれるだろう」「何があっても守ってくれる」というダウンサイドの安心感。この両サイドが充実すれば社員は全力で働けるからこそ、モチベーションが湧いてすごくパフォーマンスを発揮してくれます。だから僕は社員がいかにやりたい事がやれていて、楽しいとか幸せとか笑顔とかそういう状態を作り続けることができれば、全員の力が合わさって会社としてすごい力を発揮すると信じています。一例ですが福利厚生の一つに遠隔地にいる両親に会うために、会社が費用を出してサポートしています。そういう部分を整えてあげる事で社員が少しでも働きやすかったり、やりがいを感じたり、幸せになったり、笑顔になったり、仲間の大切さを感じたり、みたいなことを思ってくれるために福利厚生を月に1個増やしています。

 

――その方針はiYell様を設立されていた当時から心に決めていた事だったのでしょうか。
窪田 そうですね。実は今年初めに『社員ファースト』っていう経営方針がいいことなのかって悩んだことがありました。それをかつての部下に悩んでいるという事を話したら、「あ、その答えありますよ」っていうんですね。そして1つの動画が送られてきたんですけれど、5分くらいの動画だったんですけれども、その内容というのが28歳の時、創業する3年前の私が今と全く同じことをスピーチしている動画でした。内容は『俺は絶対起業をするんだ、その時には君たちみたいな素敵なメンバーが常に楽しく働けるような社員がすごく幸せな会社を絶対作るんだ』という事を前職で役員だった時の朝礼で偉そうに20人ほどの前で話をして、『ここで俺は宣言をする』みたいな話をしている動画を見せてくれました。その時に「あ、俺、28歳から同じこと言っているから、ロジカルではなくてエモーショナルな話として、理由はないんですけど自分が命をかけてやりたい生きがいなんだな」みたいなことに最近気が付いて、改めてこの経営方針で行こうと、周りに何を言われようが、自分がこれをやりたいのであればこれをやろうという風に思ったっていう事がありました。

SBIご勤務時代の窪田氏

――しかし、その動画を送ってくれた元部下の方もすごいと思います。窪田さんの悩みを聞いてすぐにその動画が元部下の方の中でリンクをしないと提供できなかった。その動画の内容が相当その方に響いていたのではないでしょうか。
窪田 今思えばなんですけれど、その動画を当時生で聞いていたメンバーの5人くらいは当社に入社しています。今うちの会社で僕に入りたい、と言ってくれて入社した社員の8割はその動画を聞いていた人です。だからやっぱりその動画を聞いてつながっているのだな。と感じています。

 

――ご自身の中で経営方針=窪田さんの生き方・生きざまになっている。
窪田 そうだと思います。それがたぶん母親からもらった大きな愛情だと思っていて、僕も愛情を与えたい。っていう人間なので、ある時期からお金とかにあんまり興味が無くなった。前職で年収1,000万以上を20代でもらっていたこともありましたが、600万くらいからどうでもよくなってきました。でも、今はお金持ちになりたいんですよ。なぜかと言うと、今、社員の夢を社内に張り出しているのですが、これを全部かなえるためにはめちゃくちゃお金がかかります。だから今はお金を稼ぎたい。そういう意味では、自分の為に何かする時って全然モチベーションわかないのですが、人の為になるときはめちゃくちゃモチベーション湧きます。やっぱりそういう性格なのだと思います。

 

――iYellさんの特徴的な採用基準に18のバリューへの共感という物があると思います。
窪田 はい、HPにも載せさせて頂いています。

 

――ある意味、そのスクリーニングを経て入社を皆さんされているので、社風へのミスマッチはないかと思いますが、窪田社長の思いという物を日々どのようにお伝えをされているのでしょうか。
窪田 それは、本当に徹底をしています。実はそれを伝える専門部署があります。「iYellists Communication室(イエリストコミュニケーション)」っていう部署です。iYellistsっていうのは、当社の社員の事です。何をやっているかというと当社のバリューという物がいかに大事かという事をひたすら考えて、社員に伝達をするっていう部署です。僕らみたいなベンチャー企業にはカルチャーを醸成するための部署は普通ないですよね。ベンチャーというのはいかに売り上げを上げていくかという事にフォーカスをします。管理部に人を置かないというのが定石なんですが、当社は逆で管理部から人を置いています。なぜかというとカルチャーがフィットして醸成されて浸透したら、例えば営業がカルチャーの浸透した営業2人と、その反対が3人いたら、絶対2人の方がパフォーマンスは高い。だからこそ先に部署を置いてカルチャーを浸透させていくっていう事が大事。あとは僕が毎月朝礼とかで全100人集めてカルチャーについて30分くらい話をします。しゃべった後には担当者が3時間以内に文字にして全社員にまた配ります。聞き漏れなどもありますから、もう一度読んでもらう。という風にカルチャーを浸透させるという事は徹底をしています。

 

――バリューに共感をして集まった仲間といえども、日々進化している窪田さんの思いを伝えるという事は大事にされているのですね。
窪田 そうですね。価値観に共感をしているっていうレベルにはあるものの、社員によっては全部の価値観をすべて共感しているわけではないこともある。18個中17個だったりとかする場合にはもう1つ共感してもらうために努力をしないといけないと思いますし、その辺は全社員が全18個のバリューに共感してもらえるように努力はし続けています。

社員に対して想いを伝える窪田氏

――話は変わりますが、創業のモチベーションに旧態依然とした住宅ローン業界をもっと効率化させたいという想いがあったという記事を拝見いたしました。そのあたりの進行具合はいかがでしょうか。
窪田 はい、その思いは変わっていませんし、最近はアメリカに行ってきて視察をしてきたのですが、アメリカでさえも結構まだアナログでした。来年の4月か5月にアメリカに子会社を作るのですが、なのでその思いは日本にとどまらず、世界各国で旧態依然とした住宅ローン業界を変えていきたいなという想いはより一層強くなっています。

 

―御社のサービスでAIを導入されているものがあると思います。また、これまでの取材で『AIと人間の共存』で『人ならではの部分』が今後は重要になってくるというご意見を拝読いたしました。この『人ならではの部分』という物に関してお話を伺ってもよろしいでしょうか。
窪田 僕の持論になりますが、人間とAIは共存しえると思っています。これは30年経っても変わらないと思います。AIができる所とAIができないところっていうのは絶対残る。例えばどちらの洋服を買おうか悩んでいる時に、AIに背中を押されるのと、人に背中を押されるのとでは、どちらが『賢いか』ではなくて、エモーショナルな部分として人に背中を押される方が嬉しい。人ならではのそういう大事な部分は残るわけで、例えば当社の場合であれば住宅ローンの提案をAIがばーっと出しました。『この3つからお選びください』とAIは言えるわけですね。でもお客様が選びきれるかといったそうではないこともある。その場合にAIから提案をされた場合と人から説明を受けて提案をされた場合はどちらの方が心が動くのか。納得感が違う。営業とかそういうところはずっと人なんだろうなと思っています。ビックデータの中から3個を選ぶとかはAIでいいと思います。つまり人がAIを活用して自分の強みをフォーカスできるように、本来自分のやるはずではない事務作業とかそういう物はAIに任せて、人は人らしい生産活動にシフトできようになるんだと思います。よく言われるのがAIには女子会ができないという話があり、女子会ならではの連続性のない会話、盛り上がりっていうのはAIには絶対表現できないみたいです。ロジカルではない人間らしい連続性のない会話というのはAIでは代替できない。つまり絶対人間は残るってことじゃないですか。女子会以外にも近いことでいうとお客さんとのたわいもない会話っていうのも大事ですよね。となってくると人同士のつながりというのは絶対AIでは代替されないんだろうなって思います。

ロジカルにビジネスを構築し、それを支えるのはエモーショナルな人間のつながりを大切にするiYellという会社は氏が大切にする『愛』するという事を組織に落とし込んだものだと感じた。ではなぜ氏はそこまでして『愛する』という事を大切にしているのか、次回はそこに迫ってみたい。

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