HOME セミナーリポート 大手信金の現役支店長が暴露する「金融機関の頭の中」(プロフェスサービス社主催セミナーレポート)

大手信金の現役支店長が暴露する「金融機関の頭の中」(プロフェスサービス社主催セミナーレポート)

川端 彰

川端 彰

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株式投資の世界で「相場のことは相場に聞け」という格言があります。かつて相場師といわれた株式アナリストでさえも、相場の予測を外すことは日常茶飯事であり、結局のところ「相場の未来は相場を注視するしか見通す方法はないよね」という意味で、冒頭のような格言が業界内で広まるようになりました。
 不動産投資の世界でも相場がありますが、もっとミクロにみていくと、「不動産投資の融資基準」にも相場はあります。なぜ相場という言葉を使うのかというと、融資基準というのは、不動産市況の変化によって実に目まぐるしく変わり、さらに言えば金融機関、支店ごとに独自のモノサシを持っている不安定な世界だからです。
 しかし、こうした「融資の可否」は、不動産投資を始める人にとってのいわば生命線。融資のことを近くの不動産業者に聞くのもいいかもしれませんが、やはり餅は餅屋。融資のことは融資担当者に聞くのが一番手っ取り早いです。ということで今回は、某大手信金の現役支店長による融資戦略セミナーに参加してきました。

目次

1 . 主催会社について

プロフェスサービス社は一棟単位のアパート・マンション・ビルを販売する不動産会社です。力を入れているのは、販売のみならず、融資から運用、税務面まで幅広いコンサルティングを手掛けています。

主催会社:株式会社プロフェスサービス
設立:2006年8月
所在地:東京都渋谷区恵比寿南1-25-1 恵比寿プラックスビル5階
企業URL:http://ad-cast.co.jp/

2 . セミナーの概要

■開催日:9月16日(土)
■セミナースケジュール
13時~セミナー開始
タイトル「超長期ローンで安心の賃貸経営!~金融機関がこんなことを考えている」
■所要時間:1時間
■定員:20人
■講師: 某大手信金・都内の現役支店長
■開催場所:プロフェスサービス本社セミナールーム(東京都港区六本木1-7-28)

3 . セミナーのポイント

プロフェスサービス社主催のセミナー「超長期ローンで安心の賃貸経営!~金融機関がこんなことを考えている~」を聴講したのは、某大手信金の現役支店長の生の話が聴けるからでした。
不動産投資をする人にとって融資は必要不可欠な要素。大事な要素なのに、融資戦略には明確なノウハウが存在せず、その曖昧な審査基準は常にブラックボックスに隠れたまま。
今回のセミナーは現役支店長が現場の視点で融資の考え方を教えてくれるという希少価値の高いものになっています。不動産業者から聞くアドバイスと現場の融資担当者の話を照らし合わせれば、自分の中のギャップが埋まり、投資戦略を見直すきっかけが得られるかもしれません。

4 . セミナーの内容

まだ夏の蒸し暑さが残る9月半ばの真っ昼間。東京メトロ南北線・六本木一丁目駅から 5分ほど歩いたビルで行われた今回の融資戦略セミナーは、某大手信金の現役支店長による実名をふせた講演。実名をふせているところにやや「情報の非公開性」が帯びていて、無料で聴講できる人たちにとって、それだけでお得さを感じられるのではないでしょうか。

 これは金融機関の人間なら誰もがいうことですが、融資の審査基準は金融機関、さらには支店によってまちまちです。今回登壇したT支店長も「あくまでうちの基準」ということを提示した上で、融資担当者の心理面含めて目安的なノウハウを話しました。

 これから不動産投資を始めたい人、次の物件購入を検討している人を対象とした本セミナーでは、次の段取りでノウハウが公開されました。

① 金融機関が気にすること
② 融資の考え方
③ 自己資金の考え方
④ 借りた後に最も重要なこと

4-1 . 金融機関が気にすること

お金を貸してくれる金融機関が気にすることと聞けば、「それは貸したお金を回収できるどうかに決まっているだろう」ということは誰でも察することができると思います。 それは確かにそうなんですが、では「貸したお金を回収をするために融資担当者は何を見なければならないのか」と聞かれたら、どれだけの人が即答できるでしょうか。 大手信金のT支店長は次の二つの回答を挙げました。 ひとつは、融資を受けたいお客さんがその支店の営業エリア内に住んでいるかどうか。融資担当者が足を運べる範囲かどうかが見られます。これから買おうとしている収益物件もエリア内か否かが見られます。遠方だと敬遠されやすいとのことです。 ふたつ目が資金と負債のバランス。噛み砕いていえば、預金や株式、不動産などを含めたすべての資産に対して、その人がどれくらいの借金を抱えているかが見られます。つまり、すべての資産から借入金を引いた残りの「純資産」がプラスかマイナスかどうかでその人の属性がある程度判断されます。ちなみに資産と負債のバランスは、法人を持っていれば経営者個人の成績と一体で見られます。

4-2 . 融資審査の3本柱

この記事のメインです。その人自身の住まいや会社が営業エリア内にあり、資産バランスも許容範囲内にあるとなったら、いよいよ具体的な融資審査に入ります。

融資審査の基準はごくシンプルで、
a 何に使うのか。
b どうやって返すのか。
c 返せなかったらどうするか。
上記3本柱を軸に進めます。

a 何に使うのか。

この記事を読んでいる人なら、融資の使途は「不動産投資」でしょう。 ここでも問われるのは、その人が買おうとしている不動産が営業エリア内にあるかどうか。近くにないと不動産の視察に手間がかかってしまうためです。 T支店長が在籍する大手信金は東京都内だけで数十店舗展開しています。そのため、不動産の立地が東京都内であるだけで、融資審査が多少有利に働きやすいそうです。
東京が有利に働く理由はその他にもあり、たとえば、
•世界規模で比べると他の有力都市より地価が低いため、世界中の投資家が目をつけている。
•人と情報が集積しており、入居率が安定しやすい、売却が容易
といった事情があります。

b どうやって返すのか。

ここで問われているのは、返済財源と返済期間のことです。融資担当者はどう見極めるのでしょうか。 たとえば一億円の一棟マンションに投資する場合は、年間家賃からその人の儲けを差し引き、なお残ったお金が年間返済額を上回るかどうかが見られます。 計算式であらわすと、 (年間家賃×70%) −100万円 > 年間返済額 となります。 100万円はその人自身の財布に入れたい「儲けの額」を指し、ここでは目安の金額を入れています。また家賃に70%をかける理由は、賃貸マンションが常に満室とは限らないという状況を想定しているからです。 ちなみに本業の給与額は、審査材料としてプラスかマイナスに働くことはあまりないそうです。もちろん給与額が多いに越したことはないですが、審査で問われているのは、あくまで家賃収入で借金を返せるかどうかです。 その人がすでに収益不動産を持っている場合、それは審査対象に含まれます。
計算式は、
減価償却費+支払利息+税引き後利益+一時的な支出+生活費を差し引いた役員報酬or給与の残り額 > 年間返済額
となります。

次に返済期間ですが、ひとつ目安として建物の寿命を指す法定耐用年数が参考にされます。木造は22年、軽量鉄骨は27年、鉄筋コンクリート造は47年と法律で決まっているのですが、実際の建物の寿命はそれよりも長いので、T支店長の支店では、木造•軽量鉄骨 30年、鉄骨造なら 40年と比較的長い目でみます。返済期間もそれを上限に定めるようです。

c 返せなかったらどうするか。

これは担保のことですね。万が一顧客が「返せない」「破産しそう」となったとき、「無い袖は振れないよね」と見逃すわけにはいかないので、融資担当者は返済額に相当する他の金融資産を担保として抑えなければなりません。 顧客がすでに不動産を所有していれば、通常はそれが担保対象になります。T支店長がくだす担保の評価方法は、
1棟物件=満室時家賃 × 10
区分マンション=付近相場の売買価格
戸建て(自宅)=土地(路線価×面積)+建物(固定資産税評価額)
とのことです。

4-3 . 自己資金の考え方

原則20-25%の自己資金か、それに相当する共同担保が求められます。不動産の立地条件が悪かったり、担保評価との差が大幅に乖離していると、30%の自己資金が求められることもあります。

5 . 借りた後に最も重要なこと

次の不動産投資でも融資を打診しようと思っている人は必見です。借りた後の所作は、次回融資の命運を左右します。 融資担当者の「優良顧客は大事にしておきたい!」という心理を逆手にとり、融資担当者を安心させる振る舞いを心がけるとよいです。 一番取り組みやすいのは、口座にガンガン預金してあげることです。「そんなこと!?」と思うかもしれませんが、融資担当者の立場にたてば、毎月引き落とされる借入金の分しか預金がないと「何億も融資したのにこれっぽっちしかないなんて…」となり、担当者の中の優良顧客リストから外れてしまうのです。 預金が潤沢にあれば、「修繕目的できちんと積み立てているんだな」と思われたり、「必要額以上のお金はなるべく下ろさない堅実な人なんだ」と見られる傾向があるそうです。 ということで、次の融資を検討するなら財務内容は極めて重要です。その際に見せる決算書と確定申告書の中身を意識することが肝になります。

6 . セミナーで学んだこと

融資の審査基準は金融機関によりまちまちではありますが、目安のようなものは掴むことができました。 大事なのは、これから買いたい不動産が支店の営業エリア内にあるかどうか。期間内に返済できる手堅い事業内容になっているか。自己資金を20%以上持っているかどうか。とてもシンプルです。 主催者のプロフェスサービス社はこの手の不動産セミナーを定期的に開催しています。詳しく話を聞きたい人は、一度受けにいくといいかもしれません。

投資セミナー

2017/10/13

この記事のライター 川端 彰

ライター。得意分野は不動産関連。取材対象は投資家・オーナーのほか、地場の不動産会社社長、不動産関連企業社長、ITベンチャー、大企業社長・幹部など経営層が中心。累計の取材件数は2000件以上。

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